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2章 8 見たことのないハト
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「良かったですね、リアンナ様。あの女の子のお母さんが元気になられて」
手綱を握りしめて荷馬車を進めているジャンが声をかけてきた。
「あ……そ、そうね。気は持ちようっていうから」
「そんなことはありません。絶対に、リアンナ様のウクレレの曲で元気になったに違いありません」
ニーナが反論する。
「俺もそう思いますよ。やっぱりリアンナ様は聖女様なのではありませんか?」
「ちょっと、やめてよ。私は聖女様じゃないってば。そんなことは2人がよく知ってるでしょう?」
「でも、ウクレレの曲が特別な力を持っていることは間違いありません。だって、現にギンバトやウサギたちが集まってきたじゃありませんか。私は絶対にそう思います」
チラリとニーナは荷馬車に乗っているウサギたちを振り向いた。ギンバトたちは馬車の上を飛びながら、時々幌の上に乗って羽を休めている。
「う~ん……そうなのかなぁ……」
首をひねっていると、ジャンが声をかけてきた。
「リアンナ様。また何か一曲弾いて貰えませんか?」
「あ、私も何か聞きたいです」
「そうね。それじゃ二人のリクエストに応えてあげようかな」
私はウクレレを小脇に抱えた。
「リクエストって何ですか?」
ニーナが首を傾げる。
「う~ん……そうね……弾いてもらいたい曲の要望を出すこと……かな?」
「いいですね、それじゃ俺からリクエストします。明るい曲が聞きたいです!」
「オッケー。明るい曲ね? それじゃこれなんかいいかな?」
ジャンのリクエストに応えて、私は早速「ドレミの歌」を奏で始めた――
****
――16時
私達は町に到着した。町と言ってもこじんまりとしており、規模の大きさはイナクと然程変わりないように見えた。
「今日はここで宿を取りましょう」
御者台のジャンに声をかけた。
「え? 俺としては構いませんが……夜になっても大丈夫なら、次の町に進めますよ?」
「いいのよ、すべての町でマジックを披露するって決めているんだから。それにね、お金のことなら心配しないで。家を出たときよりも、ずっと額が増えているんだから」
そう、今では手持ちのお金は最初の所持金より3倍近くも増えていたのだ。これもマジックのお陰だ。
特技を持っていて、本当に良かった……!
「私はいつでもリアンナ様の意見を尊重しますよ」
ウサギを膝に乗せて、頭を撫でながらニーナが返事をする。
「そうと決まれば、宿屋を探しましょう」
そして私達の宿探しが始まった――
****
宿屋はすぐに見つかった。
町の中心部から少し離れた場所にある宿屋は木立に囲まれた場所にあった。白い壁に青いトンガリ屋根の宿屋は、別荘地にあるペンションを彷彿とさせる。
早速ジャンが空き室があるか確認しに行き、その間私達は荷馬車の外で待っていた。
辺りでは美しい鳥のさえずりが聞こえてくる。
「リアンナ様。鳥の声がステキですね」
「そうね。ここに泊まれば鳥のさえずりで目が覚めそうね。ギンバトたちも木の上で眠れそうだし……あれ?」
そのとき、気付いた。
幌の上に止まっているギンバト達の中に1羽だけ、違うハトが混ざっているのだ。首と胴体部分は紫色で、羽は白。
ギンバトの2倍近くは大きい。
「え? 何でしょう、あのハトは……。もしかして、リアンナ様の曲に惹かれてついてきてしまったのでしょうか?」
ニーナが不思議そうに首を傾げる。
「さ、さぁ……でも、あんなに大きいハトはマジックには不向き……あれ? 何だろう? 足に何か付いているみたい」
よく見ると、そのハトには右足に銀の筒のようなものがくくりつけられている。
「本当ですね……あ! もしかして、あれは伝書鳩かもしれませんよ!」
ニーナがハトを指さした。
「伝書鳩?」
首を傾げたその時。
「オスカー!!」
突然、背後から男性の声が聞こえた――
手綱を握りしめて荷馬車を進めているジャンが声をかけてきた。
「あ……そ、そうね。気は持ちようっていうから」
「そんなことはありません。絶対に、リアンナ様のウクレレの曲で元気になったに違いありません」
ニーナが反論する。
「俺もそう思いますよ。やっぱりリアンナ様は聖女様なのではありませんか?」
「ちょっと、やめてよ。私は聖女様じゃないってば。そんなことは2人がよく知ってるでしょう?」
「でも、ウクレレの曲が特別な力を持っていることは間違いありません。だって、現にギンバトやウサギたちが集まってきたじゃありませんか。私は絶対にそう思います」
チラリとニーナは荷馬車に乗っているウサギたちを振り向いた。ギンバトたちは馬車の上を飛びながら、時々幌の上に乗って羽を休めている。
「う~ん……そうなのかなぁ……」
首をひねっていると、ジャンが声をかけてきた。
「リアンナ様。また何か一曲弾いて貰えませんか?」
「あ、私も何か聞きたいです」
「そうね。それじゃ二人のリクエストに応えてあげようかな」
私はウクレレを小脇に抱えた。
「リクエストって何ですか?」
ニーナが首を傾げる。
「う~ん……そうね……弾いてもらいたい曲の要望を出すこと……かな?」
「いいですね、それじゃ俺からリクエストします。明るい曲が聞きたいです!」
「オッケー。明るい曲ね? それじゃこれなんかいいかな?」
ジャンのリクエストに応えて、私は早速「ドレミの歌」を奏で始めた――
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――16時
私達は町に到着した。町と言ってもこじんまりとしており、規模の大きさはイナクと然程変わりないように見えた。
「今日はここで宿を取りましょう」
御者台のジャンに声をかけた。
「え? 俺としては構いませんが……夜になっても大丈夫なら、次の町に進めますよ?」
「いいのよ、すべての町でマジックを披露するって決めているんだから。それにね、お金のことなら心配しないで。家を出たときよりも、ずっと額が増えているんだから」
そう、今では手持ちのお金は最初の所持金より3倍近くも増えていたのだ。これもマジックのお陰だ。
特技を持っていて、本当に良かった……!
「私はいつでもリアンナ様の意見を尊重しますよ」
ウサギを膝に乗せて、頭を撫でながらニーナが返事をする。
「そうと決まれば、宿屋を探しましょう」
そして私達の宿探しが始まった――
****
宿屋はすぐに見つかった。
町の中心部から少し離れた場所にある宿屋は木立に囲まれた場所にあった。白い壁に青いトンガリ屋根の宿屋は、別荘地にあるペンションを彷彿とさせる。
早速ジャンが空き室があるか確認しに行き、その間私達は荷馬車の外で待っていた。
辺りでは美しい鳥のさえずりが聞こえてくる。
「リアンナ様。鳥の声がステキですね」
「そうね。ここに泊まれば鳥のさえずりで目が覚めそうね。ギンバトたちも木の上で眠れそうだし……あれ?」
そのとき、気付いた。
幌の上に止まっているギンバト達の中に1羽だけ、違うハトが混ざっているのだ。首と胴体部分は紫色で、羽は白。
ギンバトの2倍近くは大きい。
「え? 何でしょう、あのハトは……。もしかして、リアンナ様の曲に惹かれてついてきてしまったのでしょうか?」
ニーナが不思議そうに首を傾げる。
「さ、さぁ……でも、あんなに大きいハトはマジックには不向き……あれ? 何だろう? 足に何か付いているみたい」
よく見ると、そのハトには右足に銀の筒のようなものがくくりつけられている。
「本当ですね……あ! もしかして、あれは伝書鳩かもしれませんよ!」
ニーナがハトを指さした。
「伝書鳩?」
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「オスカー!!」
突然、背後から男性の声が聞こえた――
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