74 / 81
5章 12 私が本物の聖女なら……
しおりを挟む
オスカーは何処までも飛んでいく。時折木の上に停まっては、私がやってくるのを待ってくれている。
「い、一体何処まで飛んでいくのよ……」
裸足で草原を小走りしているので、私の足は傷だらけだった。
うう……こんなことなら倒れている騎士のブーツでも拝借してくれば良かった。
だけどサイズなんか合うはず無いし、スリッパならまだしもブーツを履くのは抵抗感が半端ではなかった。
「足の怪我なんか構っていられないわ。まずはカインの元へ急がなくちゃ」
カインは、もはや殿下に逆らった騎士とみなされている。縛られて無抵抗な状態で、ひどい暴力を受けている可能性だってある。
もしくは……。
恐ろしい考えが脳裏に浮かび、ブンブン首を振る。大丈夫、カインは強い。他の騎士たちに負けるはずなんかないんだから!
足の痛みを堪え、必死でオスカーの後を追っていくと港が見えてきた。港には大きなレンガ造りの建物が立ち並び、その中の一つに向かってオスカーは飛んでいく。
多分、あの中にカインがいるに違いない!
すると思っていた通り、オスカーは開いていた窓の中に飛び込んでいった。
「カイン……ッ!」
私も建物へ駆け寄り……激しい金属音が耳に飛び込んできた。
キィイインッ!!
ガキッ!!
ま、まさか……?
恐る恐る窓から覗き込むと、カインが2人の騎士相手に剣で戦っていた。
足元には3人の倒れた騎士がいる。
もしかして、カインが倒したのだろうか?
カインは次々と襲ってくる3人の騎士の攻撃を剣で受け止めて戦っている。
すると1人の騎士が叫んだ。
「バカな奴だ!! 剣を抜かずに我らと戦えるとでも思っているのか!?」
「え?」
よく見ると、カインは剣を鞘から抜かずに戦っている。
「そうだ!! リアンナ様がそれを望んでいるからだ!!」
カインが叫びながら、鞘つきの剣で相手の攻撃を避けている。
「貴様! 偽物聖女に絆されたか!?」
「殿下に捨てられるような女だぞ!!」
「裏切り者め!!」
「黙れっ! リアンナ様を侮辱するな!! あの方は本物の聖女だ!!」
カインの言葉に息を呑む。
カインは私が本物の聖女だと信じている。
私は頭上を見上げた。
空には多くのカモメが空を飛んでいる。
もし……もし、私が本物の聖女なら……!!
「お願いっ!! カインを……助けてっ!!」
私はウクレレを奏でた。
それは今まで弾いたことも無い不思議な音楽。身体が勝手に動いて、音楽を奏でる。
すると、突然空を旋回していたカモメたちが一斉に急降下して窓の中へ次々と飛び込んでいく。その中には鳶もいた。
「ぎゃあああッ!!」
「な、何だッ!! 何故鳥が……!」
「痛いッ! やめろっ! 突っつくな!」
その声に私は入口から中へ飛び込んだ。
すると、そこには無数の鳥たちに突かれて襲われている騎士たちの姿があった。
そしてその様子を呆然と見ているカイン。
「カインッ!!」
扉の前で叫ぶと、カインが顔を上げて驚きの表情を浮かべる。
「リアンナ様っ!?」
「助けに来たわ!! 今のうちに逃げましょう!」
カインは少しの間、鳥たちに襲われて悲鳴を上げている騎士たちを見つめ……。
「はい! リアンナ様っ!」
笑顔で返事をすると、私の元へ駆け寄ってきた。
「リアンナ様、良く無事で……」
「話は後よ! 今のうちにここから離れましょう!」
鳥たちに襲われている騎士達は私達に気づいていない。
「はい!」
カインは頷くと、私の手を握りしめて駆け出した――
「い、一体何処まで飛んでいくのよ……」
裸足で草原を小走りしているので、私の足は傷だらけだった。
うう……こんなことなら倒れている騎士のブーツでも拝借してくれば良かった。
だけどサイズなんか合うはず無いし、スリッパならまだしもブーツを履くのは抵抗感が半端ではなかった。
「足の怪我なんか構っていられないわ。まずはカインの元へ急がなくちゃ」
カインは、もはや殿下に逆らった騎士とみなされている。縛られて無抵抗な状態で、ひどい暴力を受けている可能性だってある。
もしくは……。
恐ろしい考えが脳裏に浮かび、ブンブン首を振る。大丈夫、カインは強い。他の騎士たちに負けるはずなんかないんだから!
足の痛みを堪え、必死でオスカーの後を追っていくと港が見えてきた。港には大きなレンガ造りの建物が立ち並び、その中の一つに向かってオスカーは飛んでいく。
多分、あの中にカインがいるに違いない!
すると思っていた通り、オスカーは開いていた窓の中に飛び込んでいった。
「カイン……ッ!」
私も建物へ駆け寄り……激しい金属音が耳に飛び込んできた。
キィイインッ!!
ガキッ!!
ま、まさか……?
恐る恐る窓から覗き込むと、カインが2人の騎士相手に剣で戦っていた。
足元には3人の倒れた騎士がいる。
もしかして、カインが倒したのだろうか?
カインは次々と襲ってくる3人の騎士の攻撃を剣で受け止めて戦っている。
すると1人の騎士が叫んだ。
「バカな奴だ!! 剣を抜かずに我らと戦えるとでも思っているのか!?」
「え?」
よく見ると、カインは剣を鞘から抜かずに戦っている。
「そうだ!! リアンナ様がそれを望んでいるからだ!!」
カインが叫びながら、鞘つきの剣で相手の攻撃を避けている。
「貴様! 偽物聖女に絆されたか!?」
「殿下に捨てられるような女だぞ!!」
「裏切り者め!!」
「黙れっ! リアンナ様を侮辱するな!! あの方は本物の聖女だ!!」
カインの言葉に息を呑む。
カインは私が本物の聖女だと信じている。
私は頭上を見上げた。
空には多くのカモメが空を飛んでいる。
もし……もし、私が本物の聖女なら……!!
「お願いっ!! カインを……助けてっ!!」
私はウクレレを奏でた。
それは今まで弾いたことも無い不思議な音楽。身体が勝手に動いて、音楽を奏でる。
すると、突然空を旋回していたカモメたちが一斉に急降下して窓の中へ次々と飛び込んでいく。その中には鳶もいた。
「ぎゃあああッ!!」
「な、何だッ!! 何故鳥が……!」
「痛いッ! やめろっ! 突っつくな!」
その声に私は入口から中へ飛び込んだ。
すると、そこには無数の鳥たちに突かれて襲われている騎士たちの姿があった。
そしてその様子を呆然と見ているカイン。
「カインッ!!」
扉の前で叫ぶと、カインが顔を上げて驚きの表情を浮かべる。
「リアンナ様っ!?」
「助けに来たわ!! 今のうちに逃げましょう!」
カインは少しの間、鳥たちに襲われて悲鳴を上げている騎士たちを見つめ……。
「はい! リアンナ様っ!」
笑顔で返事をすると、私の元へ駆け寄ってきた。
「リアンナ様、良く無事で……」
「話は後よ! 今のうちにここから離れましょう!」
鳥たちに襲われている騎士達は私達に気づいていない。
「はい!」
カインは頷くと、私の手を握りしめて駆け出した――
1,002
あなたにおすすめの小説
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
夏灯みかん
ファンタジー
生まれながらに強い魔力を持つ少女レイラは、聖女として大神殿の小部屋で、祈るだけの生活を送ってきた。
けれど王太子に「身元不明の孤児だから」と婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」
追放の道中で出会った冒険者のステファンと狼男ライガに拾われ、レイラは初めて外の世界で暮らし始める。
冒険者としての仕事、初めてのカフェでのお茶会。
隣国での生活の中で、レイラは少しずつ自分の居場所を作っていく。
一方、レイラが去った王国では魔物が発生し、大神殿の大司教は彼女を取り戻そうと動き出していた。
――私はなんなの? どこから来たの?
これは、救う存在として利用されてきた少女が、「自分のこれから」を選び直していく物語。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】
転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】
10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした――
※他サイトでも投稿中
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる