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1-11 良く知る場所
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「さあ、最後の令嬢・・・シルビア。君の番だよ。」
アンリ王子は私をじっと見つめる。
「は、はい・・・。」
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・・
耳元で煩い位に鳴り響く鐘の音に震えながら私は水晶玉に手を置いた。するとその直後、水晶の中に何かモヤのようなものが現れ始めた。
「「!」」
私とアンリ王子は同時に息を飲んだ。それは今まで誰にも起こらなかった現象だった。やがてその靄は徐々に集まり始め、何かの形を作り始めた。それは・・鐘の形をしていた。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・
この時になって私は気が付いた。そうだ・・鐘の音は・・・この水晶から響いていたのだ・・・。
そして、私は鐘の音を聞きながら・・・今までの自分の死にざまを思い出し、急激に気が遠くなっていくのを感じた―。
****
カチコチカチコチ・・・・
何処かで時計の音が聞こえている・・・。私はゆっくり目を開けると、室内はうす暗く、ベッドサイドに置かれたアルコールランプがユラユラと揺れながら部屋を照らしていた。見慣れた天井に・・寝心地の良いベッドの記憶・・。
「え・・?この部屋・・もしかして・・!」
次の瞬間、私はここが何処なのか思い出して飛び起きた。そして薄暗い部屋をきょろきょろと見渡した。
「そうだわ・・この部屋は私が王宮で自室として与えられた部屋・・・。」
その部屋は今までループを繰り返して生きてきた時と同じ部屋だったのだ。
今・・・一体何時なのだろう?部屋にかけてある時計を見ると、時計は6時を指している。
「朝の6時・・・って言うわけないわよね・・・。」
今が18時だとすると・・・第1回目のテストに残った令嬢たちが勢ぞろいしてダイニングルームに集まっているはず・・・。
「こうしてはいられないわ・・・。私も行かないと・・!」
慌てて起き上がると、足元には自分が履いていた靴がきちんと揃えられていた。それによく見れば私が持ってきたトランクケースが全て部屋の中に運び込まれている。過去の記憶によれば、これらの荷物を部屋に運び入れてくれたのは新しく私の専属メイドに選ばれた彼女たちの手によって運ばれてきたはず。
不思議なことに、メイドたちはループする度に毎回顔ぶれが違っていた。きっと今回も違うメイドなのだろう。
気を失ってしまった私の面倒を見させてしまったのだろうから、せめて礼の一つも言いたかったけれども肝心のメイドの姿が何処にも見当たらない。
「まあ、いいわ。食事から戻ってきた後にお礼を言いましょう。」
簡単に髪を直すと、私は急いで部屋を出てダイニングルームへと向かった―。
****
カチャ・・・・
静かにドアを開けると、やはりそこは過去の歴史通りダイニングルームの場所で間違いなかった。
ダイニングルームには左右に長方形の大きなテーブルが置かれ、テストに合格した令嬢たちが整然と座っていた。そして上座のテーブルにはアンリ王子と・・ジュリエッタ様が並んで座っている。そしてアンリ王子を見守るように彼から数メートル離れた場所にはユベール様が立っている。これも見慣れた光景だった。
令嬢たちは正式な候補者でもないのに、アンリ王子の隣に座るジュリエッタに明らかな嫉妬の目を向けている。そして・・・。
「おや・・・君は確かシルビア嬢だったね・・・。もう気分は良くなったのかい?」
突如、アンリ王子が扉付近に立っていた私に気づいたのか、大きな声で話しかけてきた。すると一斉に向けられる令嬢たちの目。
「は、はい・・。おかげさまで・・。ご心配頂きありがとうございます。」
私は深々と頭を下げた。
「ふ~ん・・それにしても・・・よくここにみんなが集まっていると分かったね?」
何処か探るような眼でアンリ王子は尋ねてくる。・・・・本当に勘弁してほしい。ただでさえ、王子に話しかけられているという事で令嬢たちから睨まれているのに、今度は何故この場所が分かったのか尋ねられるなんて・・・。私は目立たず、静かに脱落してここを去りたいのに・・。
「あ、あの・・それは・・・。」
答えに詰まっているとユベールが口を挟んできた。
「王子、早く彼女に座って貰わないと全員が食事を始めることが出来ません。」
「ああ・・そうだったね。それじゃ君も空いてる席に座ってくれ。」
アンリ王子に促され、私は頭を下げると一番後ろの空いている席に座った。
それを見届けるとアンリ王子はワインが注がれたグラスを持って立ち上がった。
「皆さん、それではグラスを持って下さい。」
アンリ王子に促され、令嬢たちは目の前のワイングラスを手に取った。もちろん私も。それを見届けると再びアンリ王子は口を開いた。
「では・・・これから長くて半年、短くてひと月・・・全員で仲良くやっていこう。乾杯っ!」
微妙なアンリ王子の乾杯に合わせて・・・私たちも乾杯した。
こうして私の王宮での今までのループとはちょっと違った13回目の新しい生活が幕を開けた―。
アンリ王子は私をじっと見つめる。
「は、はい・・・。」
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・・
耳元で煩い位に鳴り響く鐘の音に震えながら私は水晶玉に手を置いた。するとその直後、水晶の中に何かモヤのようなものが現れ始めた。
「「!」」
私とアンリ王子は同時に息を飲んだ。それは今まで誰にも起こらなかった現象だった。やがてその靄は徐々に集まり始め、何かの形を作り始めた。それは・・鐘の形をしていた。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・
この時になって私は気が付いた。そうだ・・鐘の音は・・・この水晶から響いていたのだ・・・。
そして、私は鐘の音を聞きながら・・・今までの自分の死にざまを思い出し、急激に気が遠くなっていくのを感じた―。
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カチコチカチコチ・・・・
何処かで時計の音が聞こえている・・・。私はゆっくり目を開けると、室内はうす暗く、ベッドサイドに置かれたアルコールランプがユラユラと揺れながら部屋を照らしていた。見慣れた天井に・・寝心地の良いベッドの記憶・・。
「え・・?この部屋・・もしかして・・!」
次の瞬間、私はここが何処なのか思い出して飛び起きた。そして薄暗い部屋をきょろきょろと見渡した。
「そうだわ・・この部屋は私が王宮で自室として与えられた部屋・・・。」
その部屋は今までループを繰り返して生きてきた時と同じ部屋だったのだ。
今・・・一体何時なのだろう?部屋にかけてある時計を見ると、時計は6時を指している。
「朝の6時・・・って言うわけないわよね・・・。」
今が18時だとすると・・・第1回目のテストに残った令嬢たちが勢ぞろいしてダイニングルームに集まっているはず・・・。
「こうしてはいられないわ・・・。私も行かないと・・!」
慌てて起き上がると、足元には自分が履いていた靴がきちんと揃えられていた。それによく見れば私が持ってきたトランクケースが全て部屋の中に運び込まれている。過去の記憶によれば、これらの荷物を部屋に運び入れてくれたのは新しく私の専属メイドに選ばれた彼女たちの手によって運ばれてきたはず。
不思議なことに、メイドたちはループする度に毎回顔ぶれが違っていた。きっと今回も違うメイドなのだろう。
気を失ってしまった私の面倒を見させてしまったのだろうから、せめて礼の一つも言いたかったけれども肝心のメイドの姿が何処にも見当たらない。
「まあ、いいわ。食事から戻ってきた後にお礼を言いましょう。」
簡単に髪を直すと、私は急いで部屋を出てダイニングルームへと向かった―。
****
カチャ・・・・
静かにドアを開けると、やはりそこは過去の歴史通りダイニングルームの場所で間違いなかった。
ダイニングルームには左右に長方形の大きなテーブルが置かれ、テストに合格した令嬢たちが整然と座っていた。そして上座のテーブルにはアンリ王子と・・ジュリエッタ様が並んで座っている。そしてアンリ王子を見守るように彼から数メートル離れた場所にはユベール様が立っている。これも見慣れた光景だった。
令嬢たちは正式な候補者でもないのに、アンリ王子の隣に座るジュリエッタに明らかな嫉妬の目を向けている。そして・・・。
「おや・・・君は確かシルビア嬢だったね・・・。もう気分は良くなったのかい?」
突如、アンリ王子が扉付近に立っていた私に気づいたのか、大きな声で話しかけてきた。すると一斉に向けられる令嬢たちの目。
「は、はい・・。おかげさまで・・。ご心配頂きありがとうございます。」
私は深々と頭を下げた。
「ふ~ん・・それにしても・・・よくここにみんなが集まっていると分かったね?」
何処か探るような眼でアンリ王子は尋ねてくる。・・・・本当に勘弁してほしい。ただでさえ、王子に話しかけられているという事で令嬢たちから睨まれているのに、今度は何故この場所が分かったのか尋ねられるなんて・・・。私は目立たず、静かに脱落してここを去りたいのに・・。
「あ、あの・・それは・・・。」
答えに詰まっているとユベールが口を挟んできた。
「王子、早く彼女に座って貰わないと全員が食事を始めることが出来ません。」
「ああ・・そうだったね。それじゃ君も空いてる席に座ってくれ。」
アンリ王子に促され、私は頭を下げると一番後ろの空いている席に座った。
それを見届けるとアンリ王子はワインが注がれたグラスを持って立ち上がった。
「皆さん、それではグラスを持って下さい。」
アンリ王子に促され、令嬢たちは目の前のワイングラスを手に取った。もちろん私も。それを見届けると再びアンリ王子は口を開いた。
「では・・・これから長くて半年、短くてひと月・・・全員で仲良くやっていこう。乾杯っ!」
微妙なアンリ王子の乾杯に合わせて・・・私たちも乾杯した。
こうして私の王宮での今までのループとはちょっと違った13回目の新しい生活が幕を開けた―。
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