命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
81 / 107

5-2 ユベールとキリアン

しおりを挟む
「半月ぶりだな、シルビア。元気だったか?」

Yシャツにボトムスというラフな姿のユベールは腰に剣すらさしていなかった。
びっくりする位穏やかな声と顔で私を見下ろすユベールにどう対応してよいか分らず戸惑っていると、彼は眉を潜めた。

「何だ?その呆然とした顔は?ひょっとして尋ねて迷惑だったか?」

少しムッとした顔でユベールは私を見た。

「え?あ、あの…そんなつもりは無かったのです。ただ明日帰って来ると聞かされていたので、少し戸惑っただけです」

「え?俺が帰って来る話…知っていたのか?」

ユベールが意外そうな顔をした。

「はい、キリアン様に聞きました」

「何でキリアンに…まさか、シルビア。魔石探しの仲間はあいつにしたのか?」

「え?ええ。そうですけど…?」

するとユベールの態度が豹変し、突然私の両肩を掴んできた。何故?何故ユベールはこんなに怒っているのだろう?

「お前!あんな男を仲間にしたのかっ?!」

「え?!あ、あんな男って…?」

キリアンのどこが悪いのだろう?明るく、社交的なタイプの男性だと思うけれども。けど…ユベールを嫌っているように思えた。

「よりにもよってあんな男を…」

ユベールは溜息をつくと私の肩から手を下ろし、前髪をかき上げてジロリと私を睨みつけた。

「あの…ひょっとすると私の事、酷く怒っていますか?」

「ああ。怒っている。シルビア、お前が誰を仲間にするかはお前の自由だ。だが人を見る目が無さすぎる。キリアンだけは絶対に駄目だ。あいつは…」

その時、闇に包まれた廊下の奥で声が聞こえた。

「何だい?ユベール。帰ってきたばかりで慌てて何処へ行ったかと思えば…シルビアに会いに来てたのかい?しかも俺の悪口でも話していたのかな?」

現れたのは何とキリアンだった。

「キリアン…」

ユベールは何故かキリアンから私をかばうように前に立ちはだかった。

「お前…後をつけてきたのか?」

「ああ、まあな。何しろお前の部屋は俺の隣なんだから。帰ってきて早々に部屋を出たから何処へ行くのかと思ってつけてみたら…」

そしてキリアンはユベールの肩越しにチラリと私を見ると言った。

「まさかシルビアに会う為だったとはね。そんなに早く会いたかったのかい?」

え…?まさかユベールが私に…?ユベールの大きな背中を見て胸が高鳴ったその時…。

「違う、まだ残っているか心配だったから様子を見に来ただけだ。魔石探しに妥協して帰ったりしていないか確認しに来たんだ」

「!」

しかし…ユベールの言葉は私を失望させるものだった。思い上がっていた。ユベールが少しは私の事を気にかけてくれているかと思っていただけに…。思わずうつむいてしまった。するとキリアンが言った。

「あ~あ…可哀想に。シルビア、ショックを受けてるよ」

私に背中を見せていたユベールは私の表情に気付いていない。キリアンに指摘されて振り向いたユベールと目が合ってしまった。

「!シルビア…」

「ユベール様、私は…」

口を開きかけた時、キリアンが言った。

「ユベール、君はアンリ王子の旅行に同行していたから当然知らないだろうけど、彼女は本当に魔石探しを頑張っていたんだよ。アンリ王子の期待に応えるためにね。いつも終わる時間には真っ青になって、体力も激しく消耗して…最初のうちは立っていることも出来ないくらいに」

「何だって…?!お前、そんなに無理していたのか?!」

ユベールは驚いた様子で私を見た。

「は、はい…」

「でも仕方ないだろう?アンリ王子がシルビアに無茶ぶりの注文をつけるからさ。頑張るしか無いだろう」

「シルビア…魔石は何個集まったんだ?」

「恐らく80個は…」

「そうか、ならもう今月は無理するな。それだけ集まっているならアンリ王子の指定した基準には達しているのだから」

そしてキリアンを睨みつけた。

「何故、シルビアにそんなに無理をさせた?」

「待って下さい!何故キリアン様を責めるのですか?私が勝手に探しただけですよ?」

するとキリアンが言った。

「まぁ、確かに不測の事態に備えて魔石は沢山集めておいた方が良いとはアドバイスしたからね。何しろ彼女は初日に毒蛇に噛まれて死にかけたくらいだから」

「!」

ユベールの肩が大きく跳ね…私の方を振り向いた。

その瞳は動揺のためか、大きく震えていた―。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、 12歳の時からの日常だった。 恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。 それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。 ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。 『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、 魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___ (※転生ものではありません) ※完結しました

悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」 ――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。 処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。 今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!? 己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?! 襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、 誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、  誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。 今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!

処理中です...