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第1話 私の日課
毎朝6時きっかりに起きる。それが私の日課だった―。
コンコン
扉をノックする音が聞こえる。
「アンジェラお嬢様…朝ですがお目覚めになっていますか?」
あの声は…私の専属メイドのミルバの声だ。
「ええ。起きてるわ。入ってミルバ」
カチャリ…
扉が静かに開かれ、私よりも2歳年下のメイドのミルバが現れた。
「おはようございます、アンジェラ様」
まだ幼さの残るそばかすがチャームポイントの赤毛のミルバがぺこりと頭を下げて現れた。
「ええ。おはよう。ミルバ。今朝も良い天気ね」
ちょうど私はドレッサーの前に座って髪をブラッシングするところだった。
「まぁ、アンジェラ様。ブラッシングなら私に任せて下さい」
ミルバが慌てて私の元へとやって来た。
「あら、別にこれくらい1人でやるから構わないのに。だってミルバは忙しいじゃない」
「いいえ、私はアンジェラ様の専属メイドとして雇われているのですから。お世話させて頂くのが私の仕事です。さ、ブラシを貸して下さい」
ミルバが私に手を差し出して来た。
「分ったわ、それじゃお願いするわ」
ブラシを渡すとミルバはニッコリ笑いながら受け取り、背後に回ると丁寧にブラッシングを始めた。
「本当にアンジェラ様のお髪は美しいですね。銀糸の様な長くツヤのある髪…。それだけではありません。真っ白な陶器の様な肌にアンバーの瞳…本当に美しいです」
「あ、ありがとう」
お世辞かも知れないけれども、ミルバの言葉は心地よかった。
「アンジェラ様、本日も学校帰りに店に寄るのですか?」
「ええ、寄るわ。出来上がった品を納品しておきたいのよ。でも今日は置いて来るだけだからすぐに帰って来るわ。そうね…17時には帰ってこれるのじゃないかしら」
「はい、承知致しました」
その後も私はミルバと何気ない会話をしながら朝の支度を手伝って貰った―。
****
朝食までの時間、私は自室で同じ大きさにカットした正方形の端切れを1枚1枚縫い合わせていた。
「アンジェラ様、それは確か『パッチワーク』っていうものですよね?」
ベッドのシーツカバーを取り換えていたミルバが声を掛けて来た。
「ええ、そうよ。どう?この柄の組み合わせ」
つなぎ合わせたパッチワークを見せながらミルバに尋ねた。
「凄く素敵なデザインですね…一見すると布の柄がまるきりバラバラなのに、こうして1枚1枚組み合わせるとこんなに素晴らしくなるんですね。それに可愛らしいです。まさか端切れがこんなに有効活用できるなんて思いもしませんでした」
ミルバは褒めるのがとても上手だ。彼女に褒められると次々と新しいアイデアが浮かんでくるから不思議だ。
「ところで今回は何を作ってらっしゃるんのですか?」
「ええ。これは大作になるわよ。タペストリーを作っているの。時間はかかるけど、やりがいはあるわ」
「本当にアンジェラ様は手芸が大好きなのですね。しかも斬新なアイデアを沢山おもちでらっしゃるし」
ミルバの言葉に私は頷く。
「ええ、大好き。手芸は私の全てだもの」
そして私は再び集中して朝食までの空き時間を利用して針を動かしていく―。
コンコン
扉をノックする音が聞こえる。
「アンジェラお嬢様…朝ですがお目覚めになっていますか?」
あの声は…私の専属メイドのミルバの声だ。
「ええ。起きてるわ。入ってミルバ」
カチャリ…
扉が静かに開かれ、私よりも2歳年下のメイドのミルバが現れた。
「おはようございます、アンジェラ様」
まだ幼さの残るそばかすがチャームポイントの赤毛のミルバがぺこりと頭を下げて現れた。
「ええ。おはよう。ミルバ。今朝も良い天気ね」
ちょうど私はドレッサーの前に座って髪をブラッシングするところだった。
「まぁ、アンジェラ様。ブラッシングなら私に任せて下さい」
ミルバが慌てて私の元へとやって来た。
「あら、別にこれくらい1人でやるから構わないのに。だってミルバは忙しいじゃない」
「いいえ、私はアンジェラ様の専属メイドとして雇われているのですから。お世話させて頂くのが私の仕事です。さ、ブラシを貸して下さい」
ミルバが私に手を差し出して来た。
「分ったわ、それじゃお願いするわ」
ブラシを渡すとミルバはニッコリ笑いながら受け取り、背後に回ると丁寧にブラッシングを始めた。
「本当にアンジェラ様のお髪は美しいですね。銀糸の様な長くツヤのある髪…。それだけではありません。真っ白な陶器の様な肌にアンバーの瞳…本当に美しいです」
「あ、ありがとう」
お世辞かも知れないけれども、ミルバの言葉は心地よかった。
「アンジェラ様、本日も学校帰りに店に寄るのですか?」
「ええ、寄るわ。出来上がった品を納品しておきたいのよ。でも今日は置いて来るだけだからすぐに帰って来るわ。そうね…17時には帰ってこれるのじゃないかしら」
「はい、承知致しました」
その後も私はミルバと何気ない会話をしながら朝の支度を手伝って貰った―。
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朝食までの時間、私は自室で同じ大きさにカットした正方形の端切れを1枚1枚縫い合わせていた。
「アンジェラ様、それは確か『パッチワーク』っていうものですよね?」
ベッドのシーツカバーを取り換えていたミルバが声を掛けて来た。
「ええ、そうよ。どう?この柄の組み合わせ」
つなぎ合わせたパッチワークを見せながらミルバに尋ねた。
「凄く素敵なデザインですね…一見すると布の柄がまるきりバラバラなのに、こうして1枚1枚組み合わせるとこんなに素晴らしくなるんですね。それに可愛らしいです。まさか端切れがこんなに有効活用できるなんて思いもしませんでした」
ミルバは褒めるのがとても上手だ。彼女に褒められると次々と新しいアイデアが浮かんでくるから不思議だ。
「ところで今回は何を作ってらっしゃるんのですか?」
「ええ。これは大作になるわよ。タペストリーを作っているの。時間はかかるけど、やりがいはあるわ」
「本当にアンジェラ様は手芸が大好きなのですね。しかも斬新なアイデアを沢山おもちでらっしゃるし」
ミルバの言葉に私は頷く。
「ええ、大好き。手芸は私の全てだもの」
そして私は再び集中して朝食までの空き時間を利用して針を動かしていく―。
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