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第9話 待ち伏せ
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青年が去っていった後、背後から声をかけられた。
「アンジェラさん…大丈夫だった?」
振り向くとそこに立っていたのは同じクラスの女子生徒で、他に2人の女子生徒たちもいる。彼女たちは全員クラスメイト達だった。
「ええ。あの親切な方のお陰で助かったわ」
すると1人の女子生徒が言った。
「あの方は確か臨時講師の方よ。週に数回だけ教えに来ているの。でも私達の学年は担当していないけどね」
「そうなの…」
だから見たことが無かったのか。
「けれどごめんなさい。貴女が酷い目に遭っているのに…止めることが出来なくて」
女子生徒は申し訳なさそうに言った。
「仕方ないわ。ニコラスはかなり力のある伯爵家の人だから…」
ここにいる女子生徒たちは全員が男爵家なのでニコラスに歯向かえることなど出来るはずも無い。
「でも気にかけてくれただけ嬉しいわ、ありがとう」
私は彼女たちにお礼を述べた時に昼休み終了5分前のチャイムが鳴り響き、私達は連れ立って学生食堂を後にした―。
****
15時半―
今日の授業が全て終了し、私は停車場へ向かっていた。
「ペリーヌ…もう待っているかしら…」
すると校舎の出入り口でニコラスとパメラが此方を向いて立っている姿が目に入った。
…嫌な予感がする。すると案の定、ニコラスは私を見ると言った。
「おい、アンジェラ。お前に話がある。とりあえず中庭のベンチで話をしよう」
「早く行くわよ」
パメラまで命令口調で言う。
どうしてこの2人は私の予定などお構いなしに勝手な事ばかり言ってくるのだろう。
「いいえ、行かないわ」
「何だって?」
途端にニコラスの眉間にシワが寄る。
「お前…折角俺がお前の為に時間を割いてやろうとしているのに断るつもりか?」
まるで喧嘩腰の口調だ。
「はい、私はそんな事お願いしてませんから。では失礼します」
急がなければペリーヌを待たせてしまう。そのまま素通りしようとするとニコラスが声を荒らげた。
「待てよっ!」
「…何ですか?」
振り向くとパメラが尋ねてきた。
「あの男の人は誰なの?アンジェラさんの知り合い?」
「…は?」
あまりの突然の話に一瞬固まってしまった。
「知らない人よ。始めて会ったわ」
「嘘を付くな。あの男は学生じゃなかった。お前の知り合いの学校関係者だろう?そうじゃなければ誰からも相手にされないお前を助ける奴などいるはずないからな」
「…本気で言ってるの?」
もう馬鹿らしくてこれ以上相手にする時間も無駄だ。
「私はこれから用事があるから、帰らせてもらいます。待ち合わせもあるし」
「おい!待てよっ!まだ話は終わっていないんだよっ!」
尚も私を引き留めようとするニコラスに言った。
「いい加減にして下さいっ!用事があると言っているでしょう?!生憎、私はあなた達のような暇人ではないのです。失礼しますっ!」
「な、だ、誰が暇人だっ!」
「そうよっ!失礼だわっ!」
背後から文句を言ってくるニコラスとパメラを無視し、私は停車場に急ぎ足で向かった。
****
停車場へ行くとベンチに腰掛けているペリーヌを発見した。
「ペリーヌッ!」
大きな声で手を振ってペリーヌの名を呼ぶと、私に気付いた彼女が立ち上がってこちらへ向かって掛けてきた。
「遅かったわね。アンジェラ。一体どうしたの?」
2人で私の馬車へ向かって歩きながらペリーヌが尋ねてきた。
「ごめんなさい。来る途中でニコラスとパメラに捕まってしまったの。でも相手にしなかったわ」
すると昼間の事件を思い出したのかペリーヌが悔しそうに言った。
「本当に頭にくるわ。一体何様のつもりよ。伯爵家だからって威張って…気に入らないわ。アンジェラ、あの後大丈夫だった?」
その時、私の迎えの馬車が目に止まった。
「その話の続きは馬車に乗ってから話すわ」
「ええ。そうね」
「お迎えありがとう、ジムさん」
御者台に座るジムに声をかけた。
「お帰りなさいませ、お嬢様。お友達もご一緒ですか?」
ジムが笑顔で答える。
「ええ、そうなの。2人でお店に行くからよろしくね」
「承知致しました。ではお乗り下さい」
そして私とペリーヌを乗せた馬車はガラガラと音を立てて走り出した―。
「アンジェラさん…大丈夫だった?」
振り向くとそこに立っていたのは同じクラスの女子生徒で、他に2人の女子生徒たちもいる。彼女たちは全員クラスメイト達だった。
「ええ。あの親切な方のお陰で助かったわ」
すると1人の女子生徒が言った。
「あの方は確か臨時講師の方よ。週に数回だけ教えに来ているの。でも私達の学年は担当していないけどね」
「そうなの…」
だから見たことが無かったのか。
「けれどごめんなさい。貴女が酷い目に遭っているのに…止めることが出来なくて」
女子生徒は申し訳なさそうに言った。
「仕方ないわ。ニコラスはかなり力のある伯爵家の人だから…」
ここにいる女子生徒たちは全員が男爵家なのでニコラスに歯向かえることなど出来るはずも無い。
「でも気にかけてくれただけ嬉しいわ、ありがとう」
私は彼女たちにお礼を述べた時に昼休み終了5分前のチャイムが鳴り響き、私達は連れ立って学生食堂を後にした―。
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15時半―
今日の授業が全て終了し、私は停車場へ向かっていた。
「ペリーヌ…もう待っているかしら…」
すると校舎の出入り口でニコラスとパメラが此方を向いて立っている姿が目に入った。
…嫌な予感がする。すると案の定、ニコラスは私を見ると言った。
「おい、アンジェラ。お前に話がある。とりあえず中庭のベンチで話をしよう」
「早く行くわよ」
パメラまで命令口調で言う。
どうしてこの2人は私の予定などお構いなしに勝手な事ばかり言ってくるのだろう。
「いいえ、行かないわ」
「何だって?」
途端にニコラスの眉間にシワが寄る。
「お前…折角俺がお前の為に時間を割いてやろうとしているのに断るつもりか?」
まるで喧嘩腰の口調だ。
「はい、私はそんな事お願いしてませんから。では失礼します」
急がなければペリーヌを待たせてしまう。そのまま素通りしようとするとニコラスが声を荒らげた。
「待てよっ!」
「…何ですか?」
振り向くとパメラが尋ねてきた。
「あの男の人は誰なの?アンジェラさんの知り合い?」
「…は?」
あまりの突然の話に一瞬固まってしまった。
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「嘘を付くな。あの男は学生じゃなかった。お前の知り合いの学校関係者だろう?そうじゃなければ誰からも相手にされないお前を助ける奴などいるはずないからな」
「…本気で言ってるの?」
もう馬鹿らしくてこれ以上相手にする時間も無駄だ。
「私はこれから用事があるから、帰らせてもらいます。待ち合わせもあるし」
「おい!待てよっ!まだ話は終わっていないんだよっ!」
尚も私を引き留めようとするニコラスに言った。
「いい加減にして下さいっ!用事があると言っているでしょう?!生憎、私はあなた達のような暇人ではないのです。失礼しますっ!」
「な、だ、誰が暇人だっ!」
「そうよっ!失礼だわっ!」
背後から文句を言ってくるニコラスとパメラを無視し、私は停車場に急ぎ足で向かった。
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「ペリーヌッ!」
大きな声で手を振ってペリーヌの名を呼ぶと、私に気付いた彼女が立ち上がってこちらへ向かって掛けてきた。
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