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第69話 気が早い家族
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「成程…そのような事があったとは…」
父が腕組みをして頷く。
「うん。彼となら良い義理の兄弟関係を築けそうだな」
兄が笑みを浮かべて私を見た。
「え…ええっ?!きょ、兄弟関係ですかっ?!」
何て気の早い…。
「でもアンジェラの話を聞く限りではとても好青年だと思うわ。何しろ誰一人としてニコラス様に叩かれそうになっているアンジェラを助けようとしない所へデリクさんが現れて助けてくれたのでしょう?おまけに教会に暮らす貧しい子供たちの為に食べ物を届けてあげるなんて…きっとその青年ならきっとアンジェラを幸せにしてくれるはずだわ」
「お、お母様まで…」
すると兄が父に尋ねた。
「ところで父上からはデリクと言う人物はどのように見えましたか?」
「うん…そうだな。兎に角穏やかで…とても優しそうな人物に思えたよ。まさにニコラス様とは真逆なタイプだな。それに何より彼自身がアンジェラに興味を持っていたからね」
そして父はチラリと私を見た。
デリクさんが私に興味を…?
その言葉にますます自分の顔が赤くなる。すると父が私に声を掛けて来た。
「…それでどうする?アンジェラ。デリクさんと…会って話をしてみるかい?」
「え?!あ、あの…。は、はい…お願いします…」
私は真っ赤になりながら、返事をした―。
****
その日の夜―
いつもの様に睡眠前の日課となった出品用の布小物を縫っていると、ベッドメイキングをしていたミルバが声を掛けて来た。
「アンジェラ様、今夜は随分ご機嫌ですね。何か良いことでもありましたか?」
「あ?分っちゃった?さすがはミルバね」
「ええ。何と言っても私はアンジェラお嬢様の専属メイドですから」
ミルバはニッコリ笑みを浮かべると私を見た。
「実はね…私に新しい婚約者候補の方が現れたのだけど、今度の方はとても素敵な男性なのよ。それが嬉しくてつい…ね」
恥ずかしそうに言うと、ミルバが目を見開いた。
「まぁ!そうだったのですか?それは良かったですね。おめでとうございますっ!」
ミルバはまるで自分の事の様に喜んでいる。
「アンジェラ様。こんな言い方をしては失礼かもしれませんが…はっきり申し上げて、ニコラス様は婚約者としてはいかがなものかとずっと以前から思っていたのです。ましてやあの方は平気で弱い者たちに手を上げて来るような人でしたから…。だから私、こんな縁組潰れてしまえばいいとずっと思っていたんです。でもこれで一安心です。アンジェラ様に嫌がらせをするパメラもいなくなり、ニコラス様との悪縁も切れて、良縁に恵まれたのですから」
「良縁に恵まれたなんて…気が早いわよ。まだ婚約者候補としては正式にお会いした事が無いのだから」
けれど口ではそう言いながら私は内心期待に胸を膨らませていた。デリクさんは男性でありながら私の手作り商品にとても関心を示してくれた。
あの人となら、この先もずっと良い関係を築いていけそうな予感がする―。
父が腕組みをして頷く。
「うん。彼となら良い義理の兄弟関係を築けそうだな」
兄が笑みを浮かべて私を見た。
「え…ええっ?!きょ、兄弟関係ですかっ?!」
何て気の早い…。
「でもアンジェラの話を聞く限りではとても好青年だと思うわ。何しろ誰一人としてニコラス様に叩かれそうになっているアンジェラを助けようとしない所へデリクさんが現れて助けてくれたのでしょう?おまけに教会に暮らす貧しい子供たちの為に食べ物を届けてあげるなんて…きっとその青年ならきっとアンジェラを幸せにしてくれるはずだわ」
「お、お母様まで…」
すると兄が父に尋ねた。
「ところで父上からはデリクと言う人物はどのように見えましたか?」
「うん…そうだな。兎に角穏やかで…とても優しそうな人物に思えたよ。まさにニコラス様とは真逆なタイプだな。それに何より彼自身がアンジェラに興味を持っていたからね」
そして父はチラリと私を見た。
デリクさんが私に興味を…?
その言葉にますます自分の顔が赤くなる。すると父が私に声を掛けて来た。
「…それでどうする?アンジェラ。デリクさんと…会って話をしてみるかい?」
「え?!あ、あの…。は、はい…お願いします…」
私は真っ赤になりながら、返事をした―。
****
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いつもの様に睡眠前の日課となった出品用の布小物を縫っていると、ベッドメイキングをしていたミルバが声を掛けて来た。
「アンジェラ様、今夜は随分ご機嫌ですね。何か良いことでもありましたか?」
「あ?分っちゃった?さすがはミルバね」
「ええ。何と言っても私はアンジェラお嬢様の専属メイドですから」
ミルバはニッコリ笑みを浮かべると私を見た。
「実はね…私に新しい婚約者候補の方が現れたのだけど、今度の方はとても素敵な男性なのよ。それが嬉しくてつい…ね」
恥ずかしそうに言うと、ミルバが目を見開いた。
「まぁ!そうだったのですか?それは良かったですね。おめでとうございますっ!」
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「アンジェラ様。こんな言い方をしては失礼かもしれませんが…はっきり申し上げて、ニコラス様は婚約者としてはいかがなものかとずっと以前から思っていたのです。ましてやあの方は平気で弱い者たちに手を上げて来るような人でしたから…。だから私、こんな縁組潰れてしまえばいいとずっと思っていたんです。でもこれで一安心です。アンジェラ様に嫌がらせをするパメラもいなくなり、ニコラス様との悪縁も切れて、良縁に恵まれたのですから」
「良縁に恵まれたなんて…気が早いわよ。まだ婚約者候補としては正式にお会いした事が無いのだから」
けれど口ではそう言いながら私は内心期待に胸を膨らませていた。デリクさんは男性でありながら私の手作り商品にとても関心を示してくれた。
あの人となら、この先もずっと良い関係を築いていけそうな予感がする―。
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