68 / 119
第68話 もっと罰を!
しおりを挟む
「アンジェラ…も、もしかしてその反応は…?」
兄が愕然とした表情を浮かべて私を見た。
「まさか…」
「ひょっとして…?」
父も母も私の方を見つめる。
「あ、あの。実は授業を教わった事は無いのですが…学校でお会いしたことがあるんです」
「え?!そ、そんな話は初耳だが?一体いつどこで知り合ったのだ?」
普段冷静な父が何故か狼狽えている。
「教えてくれ!」
「そうよ、話して頂戴?」
兄も母も詰め寄って来た。
「はい、実は…」
そこで私はデリクさんとどのようにして知り合ったのか詳しい経緯を説明した。
親友のペリーヌと学食でランチを食べていた時にパメラが1人で私たちの元へやってきて、いきなりランチボックスを奪ったこと。
そしてわざと床に落とし、中に入っていたロールサンドを全て駄目にされてしまったところまでを話し終えると、兄が怒りを露わにした。
「何だってっ?!その生意気な平民パメラは生意気にもお前のランチボックスを奪って食べ物を床に落としたのか?何故そんな肝心な事を言わなかったのだ?」
「ああ、そうだ。人の物を取り上げて食べ物を粗末にするなど許せる範疇を超えているぞ?」
父は手にしていたフォークを強く握りしめ…柄をグニャリと歪ませてしまった。
「本当に彼女は性格が歪んでいるわね…」
母は溜息をついた。
「ええ、そうです。そこで私は注意したのですが、わざとでは無いと涙目で訴えて来たのです。そこへニコラス様が現れて…」
その後、ニコラスに手を上げられそうになった話までを終えたところ、話が中断されてしまった。何故なら兄が突然口を開いたからだ。
「あの馬鹿はそこまであの平民にいれこんでいたのか?!本当に救いようが無い阿保だ!」
兄は吐き捨てる様に言った。
「うむ、まさにその通りだ。常識的で考えれば普通は分る筈なのだが…。アンジェラはコンラート家から直々にニコラス様の許婚にしたいと申し出てきているのに、よりにもよってお前を蔑ろにし、代わりに平民の恋人に入れ込むとは…情けない…」
父が腕組しながら難しい顔をする。
「本当に腹立たしい話ですわね。でもこのまま黙っているのは癪に障ります。あなた、今からでも遅くありません。今の話も伯爵家に告げるべきです!」
母が強気な態度で父に訴える。
「ええ、そうですね。この際だから些細な事でも全て報告するべきでしょう。あの阿保はもっと罰を受けるべきなのです」
兄が頷く。
「え~と…話が大分それてしまいましたが…でもニコラス様はもう廃嫡処分になって屋敷を追い出されたのですよね?だったら今更コンラート家にそのような報告をしても遅いのではありませんか?」
すると兄が反論した。
「いいや、アンジェラ。遅いことは何も無いぞ?あの阿保は廃嫡処分にはされたが、まだ家族の縁が切れたわけでは無い。挙句に財産まで分けて貰えているのだ」
「確かにそうですが…」
「今の話をコンラート家に報告すれば、ひょっとしてもっとニコラス様に罰を与えるかもしれないわよ?」
「でも…もう十分ニコラスは罰を与えられたと思いますが…」
「うむ…しかし、ニコラス様はもっと処罰されるべきかもしれないな…。もとはと言えば、パメラがお前に対する態度をそこまで増長させた全ての原因はニコラス様にあるのだからな…。取りあえず、明日コンラート家に報告しよう。それで?デリクさんと出会った時の続きを聞かせてくれるかい?」
父が笑みを浮かべながら、催促して来る。
「はい」
そして私はその後の続きを話した。
叩かれそうになった私を止めに現れた人物がデリクさんだった事、床に落ちてしまったロールサンドを一緒に拾ってくれた事、ニコラスが置いて行った学食の食事を教会で暮らす身寄りのない子供たちの為に持って行った事を―。
兄が愕然とした表情を浮かべて私を見た。
「まさか…」
「ひょっとして…?」
父も母も私の方を見つめる。
「あ、あの。実は授業を教わった事は無いのですが…学校でお会いしたことがあるんです」
「え?!そ、そんな話は初耳だが?一体いつどこで知り合ったのだ?」
普段冷静な父が何故か狼狽えている。
「教えてくれ!」
「そうよ、話して頂戴?」
兄も母も詰め寄って来た。
「はい、実は…」
そこで私はデリクさんとどのようにして知り合ったのか詳しい経緯を説明した。
親友のペリーヌと学食でランチを食べていた時にパメラが1人で私たちの元へやってきて、いきなりランチボックスを奪ったこと。
そしてわざと床に落とし、中に入っていたロールサンドを全て駄目にされてしまったところまでを話し終えると、兄が怒りを露わにした。
「何だってっ?!その生意気な平民パメラは生意気にもお前のランチボックスを奪って食べ物を床に落としたのか?何故そんな肝心な事を言わなかったのだ?」
「ああ、そうだ。人の物を取り上げて食べ物を粗末にするなど許せる範疇を超えているぞ?」
父は手にしていたフォークを強く握りしめ…柄をグニャリと歪ませてしまった。
「本当に彼女は性格が歪んでいるわね…」
母は溜息をついた。
「ええ、そうです。そこで私は注意したのですが、わざとでは無いと涙目で訴えて来たのです。そこへニコラス様が現れて…」
その後、ニコラスに手を上げられそうになった話までを終えたところ、話が中断されてしまった。何故なら兄が突然口を開いたからだ。
「あの馬鹿はそこまであの平民にいれこんでいたのか?!本当に救いようが無い阿保だ!」
兄は吐き捨てる様に言った。
「うむ、まさにその通りだ。常識的で考えれば普通は分る筈なのだが…。アンジェラはコンラート家から直々にニコラス様の許婚にしたいと申し出てきているのに、よりにもよってお前を蔑ろにし、代わりに平民の恋人に入れ込むとは…情けない…」
父が腕組しながら難しい顔をする。
「本当に腹立たしい話ですわね。でもこのまま黙っているのは癪に障ります。あなた、今からでも遅くありません。今の話も伯爵家に告げるべきです!」
母が強気な態度で父に訴える。
「ええ、そうですね。この際だから些細な事でも全て報告するべきでしょう。あの阿保はもっと罰を受けるべきなのです」
兄が頷く。
「え~と…話が大分それてしまいましたが…でもニコラス様はもう廃嫡処分になって屋敷を追い出されたのですよね?だったら今更コンラート家にそのような報告をしても遅いのではありませんか?」
すると兄が反論した。
「いいや、アンジェラ。遅いことは何も無いぞ?あの阿保は廃嫡処分にはされたが、まだ家族の縁が切れたわけでは無い。挙句に財産まで分けて貰えているのだ」
「確かにそうですが…」
「今の話をコンラート家に報告すれば、ひょっとしてもっとニコラス様に罰を与えるかもしれないわよ?」
「でも…もう十分ニコラスは罰を与えられたと思いますが…」
「うむ…しかし、ニコラス様はもっと処罰されるべきかもしれないな…。もとはと言えば、パメラがお前に対する態度をそこまで増長させた全ての原因はニコラス様にあるのだからな…。取りあえず、明日コンラート家に報告しよう。それで?デリクさんと出会った時の続きを聞かせてくれるかい?」
父が笑みを浮かべながら、催促して来る。
「はい」
そして私はその後の続きを話した。
叩かれそうになった私を止めに現れた人物がデリクさんだった事、床に落ちてしまったロールサンドを一緒に拾ってくれた事、ニコラスが置いて行った学食の食事を教会で暮らす身寄りのない子供たちの為に持って行った事を―。
157
あなたにおすすめの小説
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした
まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」
王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。
大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。
おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。
ワシの怒りに火がついた。
ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。
乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!!
※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる