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第76話 緊張の瞬間
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「お帰りなさいませ、アンジェラ様」
屋敷に帰宅した私を出迎えてくれたのはミルバだった。
「ただいま、ミルバ。お父様はいらっしゃるかしら?」
「はい、ご主人様でしたら執務室にいらっしゃいますよ」
「そうなのね?それじゃすぐにお父様の所に行くから私の荷物を自室に運んでおいて貰えるかしら?」
「ええ、お任せ下さい」
「よろしくね」
ミルバに荷物を預けると私は父の執務室へ向かった―。
コンコン
「お父様、いらっしゃいますか?」
声を掛けながら父の執務室をノックした。
「ああ、お入り。アンジェラ」
部屋の中から父の声が聞こえてきた。
「失礼します」
カチャリと扉を開けて部屋に入ると父が書斎机に向かい、ペンを走らせていた。そして顔を上げて私の姿を見ると、ペンを置いた。
「お帰り、アンジェラ。珍しいこともあるな。帰宅してすぐに私の所へやってくるとは。さては何かあったな?」
「はい、そうです。実はニコラス様が放課後学園に来ました」
「何だって?ニコラス様が?」
父が眉をしかめた。
「はい、そうです。校舎の出入り口付近の垣根の陰に隠れて私を待ち伏せしていたのです」
「そうだったのか…。全く…相変わらずあの方は理解できない行動を取られる方だ」
父は頭を抑えてため息をつく。
「ええ、本当に理解に苦しみます。私に用があったみたいですが当然拒否しました」
「そうか…何かされたりしなかったか?」
心配そうに父が尋ねてきた。
「いえ、それは大丈夫です。何しろ呼び止められた場所が職員室の前だったので、すぐに先生方の目に止まり、駆けつけていただいたので事なきを得ました。そしてそのままニコラス様は生徒指導室へと連行されて行きました」
「そうか…それなら良かったが…でも今の話はコンラート家に報告しておくべきかもしれないな」
「あの…その話なら、…多分大丈夫です…」
「何故大丈夫なのだ?」
「はい。実は駆けつけてきた先生方の中には偶然デリクさんもいたのです」
「え?デリクさん…?もしやコンラート家の養子となったあの方の事か?」
「はい。デリクさんがコンラート家に報告しておくと話しておられました。それで…突然ですが今夜21時にデリクさんが来ることになりました。何やら早急に話したいことがあるそうで…」
「何だって?!それは大変だっ!」
父は私の話を聞くと立ち上がった。
「それでは今夜はいつもよりも夕食の時間を早めるように厨房に伝えよう。デリク氏の為にお茶の用意もさせなければっ!」
そして父は書斎机の上のベルを鳴らした―。
****
21時―
父の指示でいつもよりも早目に夕食を取り終えた私達家族は応接室に集まり、ソファに座っていた。
「それにしてもこんなに早くアンジェラの次の婚約者候補に会うことになるとは思わなかったな」
腕組みをした兄が神妙そうな顔つきで口を開いた。
「ええ、そうね。でも早急の話って…何かしら。気になるわね」
「うむ。そうだな。まぁ、アンジェラに関することなのは確実だろうが…」
母の言葉に父が相槌を打つ。
「…」
それは私が一番気になる所だった。もしかして…婚約の話は無かった事にしてもらいたいと言う話なのだろうか…?
不安な気持ちで待っていると、応接室の扉がノックされた。
「デリク・コンラート様がお見えになりました」
扉の外でフットマンの声が聞こえる。
「ああ、お通ししてくれ」
父がドアに向かって声を掛ける。
「失礼致します」
そして扉がゆっくり開かれ、デリクさんの姿が現れた―。
屋敷に帰宅した私を出迎えてくれたのはミルバだった。
「ただいま、ミルバ。お父様はいらっしゃるかしら?」
「はい、ご主人様でしたら執務室にいらっしゃいますよ」
「そうなのね?それじゃすぐにお父様の所に行くから私の荷物を自室に運んでおいて貰えるかしら?」
「ええ、お任せ下さい」
「よろしくね」
ミルバに荷物を預けると私は父の執務室へ向かった―。
コンコン
「お父様、いらっしゃいますか?」
声を掛けながら父の執務室をノックした。
「ああ、お入り。アンジェラ」
部屋の中から父の声が聞こえてきた。
「失礼します」
カチャリと扉を開けて部屋に入ると父が書斎机に向かい、ペンを走らせていた。そして顔を上げて私の姿を見ると、ペンを置いた。
「お帰り、アンジェラ。珍しいこともあるな。帰宅してすぐに私の所へやってくるとは。さては何かあったな?」
「はい、そうです。実はニコラス様が放課後学園に来ました」
「何だって?ニコラス様が?」
父が眉をしかめた。
「はい、そうです。校舎の出入り口付近の垣根の陰に隠れて私を待ち伏せしていたのです」
「そうだったのか…。全く…相変わらずあの方は理解できない行動を取られる方だ」
父は頭を抑えてため息をつく。
「ええ、本当に理解に苦しみます。私に用があったみたいですが当然拒否しました」
「そうか…何かされたりしなかったか?」
心配そうに父が尋ねてきた。
「いえ、それは大丈夫です。何しろ呼び止められた場所が職員室の前だったので、すぐに先生方の目に止まり、駆けつけていただいたので事なきを得ました。そしてそのままニコラス様は生徒指導室へと連行されて行きました」
「そうか…それなら良かったが…でも今の話はコンラート家に報告しておくべきかもしれないな」
「あの…その話なら、…多分大丈夫です…」
「何故大丈夫なのだ?」
「はい。実は駆けつけてきた先生方の中には偶然デリクさんもいたのです」
「え?デリクさん…?もしやコンラート家の養子となったあの方の事か?」
「はい。デリクさんがコンラート家に報告しておくと話しておられました。それで…突然ですが今夜21時にデリクさんが来ることになりました。何やら早急に話したいことがあるそうで…」
「何だって?!それは大変だっ!」
父は私の話を聞くと立ち上がった。
「それでは今夜はいつもよりも夕食の時間を早めるように厨房に伝えよう。デリク氏の為にお茶の用意もさせなければっ!」
そして父は書斎机の上のベルを鳴らした―。
****
21時―
父の指示でいつもよりも早目に夕食を取り終えた私達家族は応接室に集まり、ソファに座っていた。
「それにしてもこんなに早くアンジェラの次の婚約者候補に会うことになるとは思わなかったな」
腕組みをした兄が神妙そうな顔つきで口を開いた。
「ええ、そうね。でも早急の話って…何かしら。気になるわね」
「うむ。そうだな。まぁ、アンジェラに関することなのは確実だろうが…」
母の言葉に父が相槌を打つ。
「…」
それは私が一番気になる所だった。もしかして…婚約の話は無かった事にしてもらいたいと言う話なのだろうか…?
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扉の外でフットマンの声が聞こえる。
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「失礼致します」
そして扉がゆっくり開かれ、デリクさんの姿が現れた―。
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