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1章 5 初めての手料理
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カミラがヒルダの待つアパートメントへ戻ったのは午後6時だった。
鍵を開けて中へ入ると、部屋の中に美味しそうな匂いが漂っている。
「ヒルダお嬢様、遅くなってすみませんでした。」
カミラが廊下のフックに脱いだコートを掛けて部屋へ入るとキッチンでは髪をゴムで一つにまとめ、エプロンを付けたヒルダがお玉を持ってキッチンに立っていた。
「お帰りなさい、カミラ。」
ヒルダは少しだけ笑みを浮かべた。カミラの前でだけはヒルダは少しだけカウベリーに住んでいた頃の感情が現れるのだ。
「まあ、ヒルお嬢様。もしかしてお食事を作っていらしたのですか?」
カミラは目を見開いた。
「ええ。今日はとても寒くて雪も降って来たから・・以前カミラにホワイトシチューの作り方を教えて貰ったでしょう?あの後、レシピをメモしておいたの。それを見ながら作っていたのよ。味はどうかしら?・・・味見してくれる?」
ヒルダは小皿にお玉ですくったシチューをよそうと、カミラに差し出した。
「はい、では頂きます。」
カミラは熱々のシチューをフウフウ冷ましながら飲んでみた。野菜と牛乳の甘みが程よく利き、優しい味つけだった。
「美味しいっ!ヒルダお嬢様っ!とても美味しいですよっ!初めて作ったとは思えませんっ!」
カミラは笑顔で言った。
「ほんとう?う、嬉しいわ・・・。カミラに喜んでもらえて・・・。」
ヒルダははにかみながら言った。
「ええ、ヒルダお嬢様は本当に教えれば何でもすぐに出来る様になる方ですね。先生として教えがいがあります。」
冗談めかしてカミラが言うと、ヒルダは少しだけ頬を赤く染めた。
「それはカミラの教え方が上手だから・・・・それと、私はもうお嬢様じゃないからヒルダって呼んで?」
「え・・?ですが・・・お嬢様はいつまでたっても私の大切なお嬢様ですよ?」
しかしヒルダは首を振った。
「ううん、もうフィールズ家は私の家じゃ無いし・・・私はもう二度とカウベリーに帰る事を許されない身だもの・・・。ここ、ロータスで生きていくって決めたの。もう故郷を出た時・・・カウベリーのヒルダ・フィールズは・・・死んだのよ。だから私はもうただのヒルダよ?」
儚げに笑みを浮かべるヒルダを見てカミラは胸が詰まりそうになった。
「分かりました・・。そこまで仰るのであれば・・・。その代わり、ヒルダ様と呼ばせて下さい。それ位は・・・許して頂けますよね?」
カミラは真剣な瞳でヒルダを見つめた。
「カミラ・・・分かったわ。」
ヒルダは頷くと、カミラに言った。
「それじゃ、カミラ。食事にしましょう?私ね、学校帰りに可愛らしいパン屋を見つけたの。だから買って帰って来たのよ。そのパンと一緒にシチューを食べましょう?」
「それはいいですね。では食事にしましょうか?」
そしてヒルダとカミラは小さなテーブルに向かい合わせに座り、ヒルダの作った温かいホワイトシチューに、ロールパンで囁かな食事を始めた。
たわいない会話をしながらカミラはヒルダの様子を伺った。1年前・・・この地にやって来た時のヒルダはまるで死人の様だった。1日中ボンヤリと過ごし、呼びかけにも応じない日々・・・。
そんなヒルダを心配したカミラと、カミラの姉はヒルダを連れて色々な場所を案内した。優しく語り掛け、ヒルダが穏やかな生活を送れるように心がけた。部屋の中は可愛らしいインテリアで飾りつけ、炊事や家事・・・色々な事を姉と2人でヒルダに教え・・・ようやく人並みの感情を取り戻せた頃は高等学校へ入学する月になっていた。今のヒルダがあるのは正にカミラと姉のお陰であった。
(奥様に又・・・お手紙を書く内容が増えたわ。ヒルダお嬢様が1人で料理を作れるようになりましたって・・・。)
カミラは気付かない内にヒルダを見つめていたようだった。
「どうしたの?カミラ。」
「いえ、とても美味しいシチューだなと思いまして。」
「本当?それなら今度はクッキーにも挑戦してみようかしら?」
「それは素敵ですね。ヒルダ様のクッキー・・・今から楽しみです。」
カミラの言葉にヒルダは少しだけ笑みを浮かべるのだった。
窓の外ではシンシンと雪が降り積もり、外の世界を白く染めて行った―。
鍵を開けて中へ入ると、部屋の中に美味しそうな匂いが漂っている。
「ヒルダお嬢様、遅くなってすみませんでした。」
カミラが廊下のフックに脱いだコートを掛けて部屋へ入るとキッチンでは髪をゴムで一つにまとめ、エプロンを付けたヒルダがお玉を持ってキッチンに立っていた。
「お帰りなさい、カミラ。」
ヒルダは少しだけ笑みを浮かべた。カミラの前でだけはヒルダは少しだけカウベリーに住んでいた頃の感情が現れるのだ。
「まあ、ヒルお嬢様。もしかしてお食事を作っていらしたのですか?」
カミラは目を見開いた。
「ええ。今日はとても寒くて雪も降って来たから・・以前カミラにホワイトシチューの作り方を教えて貰ったでしょう?あの後、レシピをメモしておいたの。それを見ながら作っていたのよ。味はどうかしら?・・・味見してくれる?」
ヒルダは小皿にお玉ですくったシチューをよそうと、カミラに差し出した。
「はい、では頂きます。」
カミラは熱々のシチューをフウフウ冷ましながら飲んでみた。野菜と牛乳の甘みが程よく利き、優しい味つけだった。
「美味しいっ!ヒルダお嬢様っ!とても美味しいですよっ!初めて作ったとは思えませんっ!」
カミラは笑顔で言った。
「ほんとう?う、嬉しいわ・・・。カミラに喜んでもらえて・・・。」
ヒルダははにかみながら言った。
「ええ、ヒルダお嬢様は本当に教えれば何でもすぐに出来る様になる方ですね。先生として教えがいがあります。」
冗談めかしてカミラが言うと、ヒルダは少しだけ頬を赤く染めた。
「それはカミラの教え方が上手だから・・・・それと、私はもうお嬢様じゃないからヒルダって呼んで?」
「え・・?ですが・・・お嬢様はいつまでたっても私の大切なお嬢様ですよ?」
しかしヒルダは首を振った。
「ううん、もうフィールズ家は私の家じゃ無いし・・・私はもう二度とカウベリーに帰る事を許されない身だもの・・・。ここ、ロータスで生きていくって決めたの。もう故郷を出た時・・・カウベリーのヒルダ・フィールズは・・・死んだのよ。だから私はもうただのヒルダよ?」
儚げに笑みを浮かべるヒルダを見てカミラは胸が詰まりそうになった。
「分かりました・・。そこまで仰るのであれば・・・。その代わり、ヒルダ様と呼ばせて下さい。それ位は・・・許して頂けますよね?」
カミラは真剣な瞳でヒルダを見つめた。
「カミラ・・・分かったわ。」
ヒルダは頷くと、カミラに言った。
「それじゃ、カミラ。食事にしましょう?私ね、学校帰りに可愛らしいパン屋を見つけたの。だから買って帰って来たのよ。そのパンと一緒にシチューを食べましょう?」
「それはいいですね。では食事にしましょうか?」
そしてヒルダとカミラは小さなテーブルに向かい合わせに座り、ヒルダの作った温かいホワイトシチューに、ロールパンで囁かな食事を始めた。
たわいない会話をしながらカミラはヒルダの様子を伺った。1年前・・・この地にやって来た時のヒルダはまるで死人の様だった。1日中ボンヤリと過ごし、呼びかけにも応じない日々・・・。
そんなヒルダを心配したカミラと、カミラの姉はヒルダを連れて色々な場所を案内した。優しく語り掛け、ヒルダが穏やかな生活を送れるように心がけた。部屋の中は可愛らしいインテリアで飾りつけ、炊事や家事・・・色々な事を姉と2人でヒルダに教え・・・ようやく人並みの感情を取り戻せた頃は高等学校へ入学する月になっていた。今のヒルダがあるのは正にカミラと姉のお陰であった。
(奥様に又・・・お手紙を書く内容が増えたわ。ヒルダお嬢様が1人で料理を作れるようになりましたって・・・。)
カミラは気付かない内にヒルダを見つめていたようだった。
「どうしたの?カミラ。」
「いえ、とても美味しいシチューだなと思いまして。」
「本当?それなら今度はクッキーにも挑戦してみようかしら?」
「それは素敵ですね。ヒルダ様のクッキー・・・今から楽しみです。」
カミラの言葉にヒルダは少しだけ笑みを浮かべるのだった。
窓の外ではシンシンと雪が降り積もり、外の世界を白く染めて行った―。
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