文字の大きさ
大
中
小
334 / 566
番外編 エドガーとアンナ
雪が降り積もっているカウベリー。
エドガーは朝から自室で今年度納められた税金の資料に目を通していた。
コンコン
不意にエドガーの扉がノックされた。
「はい」
すると声が聞こえた。
「エドガー様宛に小包が届いております」
「小包…?入ってくれ」
「失礼致します」
カチャリと扉が開かれ、入って来たのはフィールズ家の執事であり、ルドルフの父でもあるマルコだった。
「差出人は書かれていないのですが、あて先はエドガー様になっております」
マルコが持ってきたのは両手に乗るほどの小包だった。
「ありがとう」
エドガーが礼を述べると、マルコは恭しく頭を下げて去って行った。
パタン…
扉が閉ざされると、エドガーは早速小包を開封し始めた。
「一体誰からなんだ…?」
その時、エドガーは発送先の住所がロータスになっていることに気付いた。
「え?ロータス…?まさかっ!」
急いで小包を開封すると、青いラッピングをした箱のようなものが入っている。エドガーはラッピング用紙が破けないように慎重に広げると中から細長い木の箱が現れた。
「これは…?」
エドガーは木の蓋を開けると、そこにはとても美しいガラス製の万年筆が入っていた。
「何て美しい万年筆なんだ…」
そして箱の中にメッセージカードが添えられていた。エドガーは震える手でメッセージカードを広げた。
『メリークリスマス。お兄様。またお会いしたいです。 ヒルダ』
「ヒルダ…ッ!」
エドガーは珍しいガラス製の万年筆の送り主がヒルダだと言う事を知り、胸が熱くなった。
「ヒルダ…俺の為にわざわざクリスマスプレゼントを買ってくれたなんて…」
エドガーの顔に笑みが浮かぶ。愛するヒルダからのプレゼントだ。嬉しくてたまらなかった。
「それにしても何て見事な万年筆だろう。きっと高かっただろうに…」
エドガーは万年筆を持って自分の眼前にかかげた。ガラス製の万年筆は光沢を放ち、それは美しいデザインだった。ペン軸の部分が青く染められ、まるでヒルダの青い瞳を思い起こさせた。
「使うのはもったいないが、試し書きをしてみるか。」
エドガーは早速インク壺にガラス製の万年筆を浸し、紙に自分のサインを書いてみた。万年筆の書き心地は素晴らしくてエドガーは大満足だった。
「ありがとう、ヒルダ。この万年筆…大切に使わせて貰うよ。」
エドガーは万年筆をギュッと握りしめ、遠く離れたヒルダに礼を述べた―。
その日の午後―
「こんにちは~。エドガー様。」
午後、いつものようにアンナが馬車に乗ってエドガーの元へとやってきた。学校が冬期休暇に入ってからと言うもの、アンナは毎日フィールズ家にやって来ていた。
カチャリ…
アンナはエドガーの部屋を開けると、いつもはエドガーが書斎机に向かって仕事をしているのに今日に限っていない。
「エドガー様?」
アンナはキョロキョロしながら机に近付き、ガラス製の万年筆を見つけた。
「まあ!何て素敵な万年筆なの…とっても綺麗…」
アンナは万年筆を手に取ってみた。そして窓際に持って行き、太陽の光にかざしてみるとガラスがキラキラと光り輝く。
「わあ…本当に何て素晴らしいんでしょう…」
その時、カチャリと扉が開いてエドガーが現れた。そしてアンナに気が付いた。
「やぁ、アンナ嬢。来ていたのかい?」
すると不意に声を掛けられたアンナは驚いた。
「え?あっ!」
その瞬間、持っていた万年筆を床に落としてしまった。
ガシャーンッ!!
派手な音を立てて壊れる万年筆。
「キャアッ!」
アンナは悲鳴を上げた。
「え?!今の音はっ?!」
驚いたのはエドガーだった。驚いてアンナの元へ駆け寄るとそこには粉々に砕け散った万年筆が散らばっている。
「あ!万年筆が…っ!」
エドガーは慌てて拾い上げようとしてガラスの先端で指先を傷つけてしまった。
「痛っ…!」
「エドガー様っ!大丈夫ですかっ?!」
アンナはエドガーに駆け寄ると、涙ぐんで謝罪した。
「ご、ごめんなさい…エドガー様。私、万年筆を…。それに怪我まで負わせてしまったわ。」
「いや…壊れてしまったものは仕方が無いよ。それよりアンナ嬢に怪我が無くて良かった。」
(すまない、ヒルダ…。)
エドガーはアンナに優しく言いながら心の中で詫びるのだった―。
エドガーは朝から自室で今年度納められた税金の資料に目を通していた。
コンコン
不意にエドガーの扉がノックされた。
「はい」
すると声が聞こえた。
「エドガー様宛に小包が届いております」
「小包…?入ってくれ」
「失礼致します」
カチャリと扉が開かれ、入って来たのはフィールズ家の執事であり、ルドルフの父でもあるマルコだった。
「差出人は書かれていないのですが、あて先はエドガー様になっております」
マルコが持ってきたのは両手に乗るほどの小包だった。
「ありがとう」
エドガーが礼を述べると、マルコは恭しく頭を下げて去って行った。
パタン…
扉が閉ざされると、エドガーは早速小包を開封し始めた。
「一体誰からなんだ…?」
その時、エドガーは発送先の住所がロータスになっていることに気付いた。
「え?ロータス…?まさかっ!」
急いで小包を開封すると、青いラッピングをした箱のようなものが入っている。エドガーはラッピング用紙が破けないように慎重に広げると中から細長い木の箱が現れた。
「これは…?」
エドガーは木の蓋を開けると、そこにはとても美しいガラス製の万年筆が入っていた。
「何て美しい万年筆なんだ…」
そして箱の中にメッセージカードが添えられていた。エドガーは震える手でメッセージカードを広げた。
『メリークリスマス。お兄様。またお会いしたいです。 ヒルダ』
「ヒルダ…ッ!」
エドガーは珍しいガラス製の万年筆の送り主がヒルダだと言う事を知り、胸が熱くなった。
「ヒルダ…俺の為にわざわざクリスマスプレゼントを買ってくれたなんて…」
エドガーの顔に笑みが浮かぶ。愛するヒルダからのプレゼントだ。嬉しくてたまらなかった。
「それにしても何て見事な万年筆だろう。きっと高かっただろうに…」
エドガーは万年筆を持って自分の眼前にかかげた。ガラス製の万年筆は光沢を放ち、それは美しいデザインだった。ペン軸の部分が青く染められ、まるでヒルダの青い瞳を思い起こさせた。
「使うのはもったいないが、試し書きをしてみるか。」
エドガーは早速インク壺にガラス製の万年筆を浸し、紙に自分のサインを書いてみた。万年筆の書き心地は素晴らしくてエドガーは大満足だった。
「ありがとう、ヒルダ。この万年筆…大切に使わせて貰うよ。」
エドガーは万年筆をギュッと握りしめ、遠く離れたヒルダに礼を述べた―。
その日の午後―
「こんにちは~。エドガー様。」
午後、いつものようにアンナが馬車に乗ってエドガーの元へとやってきた。学校が冬期休暇に入ってからと言うもの、アンナは毎日フィールズ家にやって来ていた。
カチャリ…
アンナはエドガーの部屋を開けると、いつもはエドガーが書斎机に向かって仕事をしているのに今日に限っていない。
「エドガー様?」
アンナはキョロキョロしながら机に近付き、ガラス製の万年筆を見つけた。
「まあ!何て素敵な万年筆なの…とっても綺麗…」
アンナは万年筆を手に取ってみた。そして窓際に持って行き、太陽の光にかざしてみるとガラスがキラキラと光り輝く。
「わあ…本当に何て素晴らしいんでしょう…」
その時、カチャリと扉が開いてエドガーが現れた。そしてアンナに気が付いた。
「やぁ、アンナ嬢。来ていたのかい?」
すると不意に声を掛けられたアンナは驚いた。
「え?あっ!」
その瞬間、持っていた万年筆を床に落としてしまった。
ガシャーンッ!!
派手な音を立てて壊れる万年筆。
「キャアッ!」
アンナは悲鳴を上げた。
「え?!今の音はっ?!」
驚いたのはエドガーだった。驚いてアンナの元へ駆け寄るとそこには粉々に砕け散った万年筆が散らばっている。
「あ!万年筆が…っ!」
エドガーは慌てて拾い上げようとしてガラスの先端で指先を傷つけてしまった。
「痛っ…!」
「エドガー様っ!大丈夫ですかっ?!」
アンナはエドガーに駆け寄ると、涙ぐんで謝罪した。
「ご、ごめんなさい…エドガー様。私、万年筆を…。それに怪我まで負わせてしまったわ。」
「いや…壊れてしまったものは仕方が無いよ。それよりアンナ嬢に怪我が無くて良かった。」
(すまない、ヒルダ…。)
エドガーはアンナに優しく言いながら心の中で詫びるのだった―。
感想
あなたにおすすめの小説
〔完結〕婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載中です)
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。