許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
6 / 77

6 謝罪

しおりを挟む
 母から痛み止めの薬草のお茶をもらって飲み干した私はそのままベッドで休む事にした。

「お母さん・・・私、このまま頭痛が治るまで寝るから、もしキャロルが来たらよろしくね?」

「ええ。分かったわ。それじゃ・・ゆっくり休みなさい。」

「うん・・・。」

そして私は眠りについた・・・。



 どの位寝ていただろうか・・。

「・・分かりましたよ。とにかく少しテアと話をさせて下さい。」

ドアの外でヘンリーの声がする。

「何を言ってるの。テアは具合が悪くて寝てるのよ?」

母の声も聞こえてきた。あ・・・もしかしてヘンリーがキャロルを連れて来てくれたのかもしれない。慌てて起き上がると、もう頭痛は治まっていた。ベッドの下にあるスリッパを履くと、急いで部屋のドアに向かい、ガチャリと開けた。

「あ・・。」

「まあ。テアッ!もう具合はいいの?」

扉の真ん前にはヘンリーと母がいて、2人が同時に振り向いた。

「ええ、もう良くなったわ。」

するとヘンリーが声をかけてきた。

「テア、少し話があるんだ。部屋へ入ってもいいか?」

「テア・・・。」

母は心配そうに私を見ている。

「お母さん。ヘンリーと2人で話があるから・・キャロルはもう来てるんでしょう?」

「ええ、客間にいるわ。そこでメイドとおしゃべりしてるわよ。」

「それじゃ、後でキャロルの所に行くから。」

母はチラリと不満そうな目でヘンリーを見て、ため息をつくと言った。

「分かったわ・・。それじゃ後で降りてきなさいよ。」

「はい。」


そしてヘンリーは部屋の中へ入り、母は背を向けると立ち去って行った。

パタン・・・

部屋のドアが閉じられると、ヘンリーは無言でソファに座ると腕組みをした。何だかその顔は怒っているようにも感じる。

「ヘンリー。キャロルを連れて来てくれてありがとう。」

私もテーブルを挟んでヘンリーの向かい側のソファに座るとお礼を言った。

「ああ・・。」

そして私に言った。

「テア・・お前、母親に何か言ったのか?」

「え?何かって・・・・?」

「テアは編頭痛の持病があるのに、何か無茶をさせたんじゃないかって責められたんだよ。」

「え?私・・・別に何も言ってないよ?」

「そうか・・?とにかく具合が悪いのに、お前を1人で屋敷に帰らせたことでおばさんに俺は責められたんだよ。・・・元はと言えば、テアの方から俺にキャロルの出迎えと観光案内を頼んで来たんだろう?それなのに・・なんで俺が責められなくちゃならないんだよ。」

「あ・・・そうだよね・・・。ヘンリーの言う通りだね。ごめんなさい。最初から頼んでいなければ・・お母さんに怒られることも無かったし・・。」

するとヘンリーは言った。

「いや、別にキャロルの出迎えは問題はないけどな。・・・すごく喜んでくれたし。案内のし甲斐があったよ。それで学校が始まるのは3日後だろう?明日もキャロルに観光案内をしてあげる事になったから迎えに来る約束をしたのさ。」

「え・・?そうなんだ。それじゃ私も一緒に行くね。」

「え?」

そこでヘンリーが固まった。

「お前も・・・来るのか?」

「う、うん・・。」

そこでハッと気が付いた。そうだ・・・ヘンリーはキャロルと2人で行きたいんだ。だけど・・私が付いて行かないで2人だけで行くのはあまりに不自然で、又ヘンリーが悪く言われてしまうかもしれない。

「そうか・・・分かったよ。」

何所かつまらなそうにヘンリーは言うと、立ち上がった。

「それじゃ、俺・・帰るから。」

「うん。エントランスまで送るよ。」

「・・・。」

ヘンリーは返事もしないで席を立ってドアへと向かって歩いて行く。私も慌てて立ち上がるとヘンリーの後を追った。


 エントランスへ向かって歩いてると、応接室からキャロルの笑い声が聞こえてきた。

「待って、ヘンリー。キャロルに声を掛けてくるから。」

「あ?ああ。頼む。」

応接室のドアを開けると、そこにはメイドと楽し気に会話をしているキャロルの姿があった。

「キャロル・・・。」

声を掛けると、パッと顔を上げて私を見た。

「まあ!もう具合は良くなったのね?」

「ええ。今ヘンリーが帰ると言うから・・。」

「あら、じゃあお礼を言った方がいいわね?」

キャロルは駆け足でやって来ると、ヘンリーの前に立った。

「今日はありがとう、ヘンリー。明日もよろしくね。楽しみだわ。」

「うん、僕も楽しみだよ。それで・・テアが明日どうしてもついてきたいって言ってるんだけど・・・。」

ヘンリーは私をチラリと見た。

「あら?私はちっとも構わないわ。皆で一緒に行けばいいじゃない。ね?テア。」

「え、ええ・・そうね。」

「それじゃ・・また明日。」

ヘンリーはキャロルに笑いかけると、エントランスを出て行った―。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。 「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」 そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。 ——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。 「最近、おまえが気になるんだ」 「もっと夫婦としての時間を持たないか?」 今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。 愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。 わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。 政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ “白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。 だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。 理由は簡単だった。 「君は役に立ちすぎた」から。 すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、 “静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。 そこで待っていたのは―― 期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。 前に出なくていい。 誰かのために壊れなくていい。 何もしなくても、ここにいていい。 「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」 婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、 何者にもならなくていいヒロインの再生と、 放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。 これは、 “役に立たなくなった”令嬢が、 ようやく自分として生き始める物語。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

かつて番に婚約者を奪われた公爵令嬢は『運命の番』なんてお断りです。なのに獣人国の王が『お前が運命の番だ』と求婚して来ます

神崎 ルナ
恋愛
「運命の番に出会ったからローズ、君との婚約は解消する」  ローズ・ファラント公爵令嬢は婚約者のエドモンド・ザックランド公爵令息にそう言われて婚約を解消されてしまう。  ローズの居るマトアニア王国は獣人国シュガルトと隣接しているため、数は少ないがそういった可能性はあった。  だが、今回の婚約は幼い頃から決められた政略結婚である。  当然契約違反をしたエドモンド側が違約金を支払うと思われたが――。 「違約金? 何のことだい? お互いのうちどちらかがもし『運命の番』に出会ったら円満に解消すること、って書いてあるじゃないか」  確かにエドモンドの言葉通りその文面はあったが、タイミングが良すぎた。  ここ数年、ザックランド公爵家の領地では不作が続き、ファラント公爵家が援助をしていたのである。  その領地が持ち直したところでこの『運命の番』騒動である。  だが、一応理には適っているため、ローズは婚約解消に応じることとなる。  そして――。  とあることを切っ掛けに、ローズはファラント公爵領の中でもまだ発展途上の領地の領地代理として忙しく日々を送っていた。  そして半年が過ぎようとしていた頃。  拙いところはあるが、少しずつ治める側としての知識や社交術を身に付けつつあったローズの前に一人の獣人が現れた。  その獣人はいきなりローズのことを『お前が運命の番だ』と言ってきて。        ※『運命の番』に関する独自解釈がありますm(__)m

処理中です...