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第1章 43 外の誰かと…
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私とたっくんは水族館で1時間たっぷり見学して館内を出た。
「あ~面白かった」
たっくんが嬉しそうに笑っている。そんな彼を見ていると自分の心が温かくなっていく気がする。
「ねぇ、たっくん。それじゃ博物館に行こうか?たっくんは昆虫が大好きだよね?この博物館には昆虫も展示してあるんだよ?」
「本当?!僕…行きたいっ!」
「よし、それじゃ行こうか?」
そして私とたっくんは博物館へと足を向けた―。
****
「うわ~っ!すっごいっ!」
あちこち色々な昆虫の標本や展示物を見て回り…私たちはこの博物館のメインブースの温室にやってきていた。この場所は学校の体育館程の広さのドーム型の温室で、天井の高さは見上げるほど高い。おそらくマンションの3階部分位の高さに匹敵?するかもしれない。
そしてここでは熱帯地域に生息する美しい蝶や珍しい昆虫たちが植物や木々の周りを飛び回ったり、葉っぱや木の上を動き回っていた。
「あっ!あの蝶は『ユリシス』だっ!」
たっくんが青く、美しい蝶を指さすと興奮したように声を上げた。
「へ~あの綺麗な蝶は『ユリシス』って言うんだ。名前も素敵だね」
私は目の前をヒラヒラと飛んで行った青い蝶を見ながら、たっくんに尋ねた。
「うん、『ユリシス』って言う蝶はね、一度見ると、幸せになれるという伝説があるんだよ。しかも自分の身体に止まったら、もっと幸せが訪れるんだって!」
たっくんの興奮は止まらない。
「本当?それじゃ私とたっくんも幸せになれるかな?」
「うん、多分なれるよ」
ニコリと笑うたっくん。でもその笑顔は少し寂しげに見えた。
たっくん…。
私はたっくんの手を握りしめた。
「それじゃ、先に進もうか?」
「うん!」
たっくんと温室を歩きながら私は心に誓った。
大丈夫、私が…たっくんを守って幸せにしてあげるんだから―と。
****
午後2時―
私とたっくんはコンビニで買ったおにぎりとお茶で公園のベンチに座り、遅めのランチを食べていた。
「ねぇ、たっくん。本当にプラネタリウムには行かなくて良かったの?」
鮭おにぎりを美味しそうに食べているたっくんに尋ねた。
「うん、いいよ。時間もあまり無いし」
「そう…?」
私の予定では2人でプラネタリウムも見る予定だったのだけれども、昆虫館で思いもかけず、長い時間過ごしていたから時間が無くなってしまったのだ。
「プラネタリウムは今度お兄ちゃんと一緒に2人でデートでくればいいよ」
たっくんが笑顔で私に言う。
「え?え?デート?!」
その言葉に思わず顔が真っ赤になる。
「うん、デートしないの?お兄ちゃんと。好きなんだよね?お兄ちゃんの事」
「た、たっくん…い、いきなり何言いだすの…?」
突然の事で動揺が止まらない。
「え?違うの?」
「う、ううん…。好き、だよ…。拓也さんの事」
無邪気に聞かれ、正直に答えてしまった。
「良かった~。お兄ちゃん、お姉ちゃんと両思いだったんだ」
その言葉に仰天する。
「拓也さん…私の事何か言ってたの?」
こんな子供に何恋愛話をしているのだろうと思いつつ、つい尋ねてしまった。
「うん、お兄ちゃん言ってたよ。お姉ちゃんは初恋の人なんだって。ずーっと前から好きだったって言ってたよ?」
「え…?」
その言葉に私の身体から一気に熱が冷めていく。
初恋の人…?ずっと前から好きだった…?
どういうことなの?私と拓也さんはまだ出会ったばかりなのに…?
ひょっとすると…拓也さんは私と誰かを勘違いしているのではないだろうか―?
「あ~面白かった」
たっくんが嬉しそうに笑っている。そんな彼を見ていると自分の心が温かくなっていく気がする。
「ねぇ、たっくん。それじゃ博物館に行こうか?たっくんは昆虫が大好きだよね?この博物館には昆虫も展示してあるんだよ?」
「本当?!僕…行きたいっ!」
「よし、それじゃ行こうか?」
そして私とたっくんは博物館へと足を向けた―。
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「うわ~っ!すっごいっ!」
あちこち色々な昆虫の標本や展示物を見て回り…私たちはこの博物館のメインブースの温室にやってきていた。この場所は学校の体育館程の広さのドーム型の温室で、天井の高さは見上げるほど高い。おそらくマンションの3階部分位の高さに匹敵?するかもしれない。
そしてここでは熱帯地域に生息する美しい蝶や珍しい昆虫たちが植物や木々の周りを飛び回ったり、葉っぱや木の上を動き回っていた。
「あっ!あの蝶は『ユリシス』だっ!」
たっくんが青く、美しい蝶を指さすと興奮したように声を上げた。
「へ~あの綺麗な蝶は『ユリシス』って言うんだ。名前も素敵だね」
私は目の前をヒラヒラと飛んで行った青い蝶を見ながら、たっくんに尋ねた。
「うん、『ユリシス』って言う蝶はね、一度見ると、幸せになれるという伝説があるんだよ。しかも自分の身体に止まったら、もっと幸せが訪れるんだって!」
たっくんの興奮は止まらない。
「本当?それじゃ私とたっくんも幸せになれるかな?」
「うん、多分なれるよ」
ニコリと笑うたっくん。でもその笑顔は少し寂しげに見えた。
たっくん…。
私はたっくんの手を握りしめた。
「それじゃ、先に進もうか?」
「うん!」
たっくんと温室を歩きながら私は心に誓った。
大丈夫、私が…たっくんを守って幸せにしてあげるんだから―と。
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午後2時―
私とたっくんはコンビニで買ったおにぎりとお茶で公園のベンチに座り、遅めのランチを食べていた。
「ねぇ、たっくん。本当にプラネタリウムには行かなくて良かったの?」
鮭おにぎりを美味しそうに食べているたっくんに尋ねた。
「うん、いいよ。時間もあまり無いし」
「そう…?」
私の予定では2人でプラネタリウムも見る予定だったのだけれども、昆虫館で思いもかけず、長い時間過ごしていたから時間が無くなってしまったのだ。
「プラネタリウムは今度お兄ちゃんと一緒に2人でデートでくればいいよ」
たっくんが笑顔で私に言う。
「え?え?デート?!」
その言葉に思わず顔が真っ赤になる。
「うん、デートしないの?お兄ちゃんと。好きなんだよね?お兄ちゃんの事」
「た、たっくん…い、いきなり何言いだすの…?」
突然の事で動揺が止まらない。
「え?違うの?」
「う、ううん…。好き、だよ…。拓也さんの事」
無邪気に聞かれ、正直に答えてしまった。
「良かった~。お兄ちゃん、お姉ちゃんと両思いだったんだ」
その言葉に仰天する。
「拓也さん…私の事何か言ってたの?」
こんな子供に何恋愛話をしているのだろうと思いつつ、つい尋ねてしまった。
「うん、お兄ちゃん言ってたよ。お姉ちゃんは初恋の人なんだって。ずーっと前から好きだったって言ってたよ?」
「え…?」
その言葉に私の身体から一気に熱が冷めていく。
初恋の人…?ずっと前から好きだった…?
どういうことなの?私と拓也さんはまだ出会ったばかりなのに…?
ひょっとすると…拓也さんは私と誰かを勘違いしているのではないだろうか―?
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