ある日、悪役令嬢の私の前にヒロインが落ちてきました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
16 / 25

第16話 悪役令嬢、ヒロインと喫茶店へ行く

しおりを挟む
 よし、ようやくアルフォンソ王子はノエルに注目してくれるようになった。

アルフォンソ王子は何故かじっと私を見ている…。

え?何故私を見ているのだろうか…?

その時、ようやく気が付いた。私の背後にはノエルが立っている。
成程、私を通り越してノエルを見つめていたと言うわけなのか。

そこで私はノエルがアルフォンソ王子の目にとまるようにスススッと脇にずれた。

「それじゃ、ノエル。邪魔者は消えるから後は頑張りなさいよ?」

そっとノエルに耳打ちした。

「え?ええ」

曖昧に返事をするノエル。

「おい?2人で何をコソコソ話してるんだ?」

アルフォンソ王子が、多分ノエルに話しかけてきた。

「それではお2人とも、私はこれで失礼します」

頭を下げて、脱兎のごとくその場から走り去る私。

「お、おいっ?!どこへ行くっ?!」

背後からアルフォンソ王子の声が聞こえたような気がするけれども‥うん、きっと空耳に違いないっ!

そして私はこの日はノエルにお弁当を駄目にされてしまったので、久しぶりに学園併設のカフェテリアで1人ランチを取ることになるのだった―。



****


その日の放課後―。


いつものように学校が終わり、楽し気に会話しながら帰る学生たちに混ざって1人で歩いていると背後から声を掛けられた。

「待ちなさいよっ!アリーナ・バローッ!」

「え?もしや…」

振り向くとそこに立っていたのは、やはりこの物語のヒロイン、ノエルだった。

「あら、ノエルじゃない」

「あら、ノエルじゃないわよっ!」

するとノエルがズカズカと私に近づいてきた。…何だか機嫌が悪そうだ。

「どうしたの?何だか機嫌が悪そうだけど…?」

「悪そう、じゃなくて悪いのよ!実際!」

「何?どうして機嫌が悪いの?アルフォンソ王子とお話出来たんでしょう?」

「ええ。出来たわ。そのことでちょっと話があるのよ!時間はあるかしら?」

「そうね…別に構わないわよ。次のバスに乗ればいいわけだし…」

「なら行くわよっ!」

ノエルは私の腕を掴むと、ずんずん歩き始めた。

「ちょ、ちょっと!何処に行くのよ?!」

「喫茶店よ!」

そして私は半ば引きずられるようにノエルに喫茶店へ連れていかれた―。




****


 2人で入った喫茶店は学園からほど近い場所にあった。

店内は同じ制服を着た学生たちが楽し気におしゃべりをしている。

「わぁ…このお店って、学生たちに人気だったのね…」

「そうみたいね。あ、あの席が空いてるわ。座りましょう」

ノエルが一番奥に空いているテーブル席を見つけたので、そこに座ることにした。

「何にする?今日のおすすめセットは紅茶にチョコレートケーキみたいよ?」

ノエルがメニュー表を見ながら説明した。

「あら、美味しそうね。ならそれにするわ。ノエルは?」

「そうね…私もそうするわ。すみませーん!」

ノエルが手を上げると、すぐにウェイトレスさんがやって来た。

「お待たせいたしました。ご注文は?」

「紅茶とチョコレートケーキセットを2つ下さい」

ノエルは素早く注文した。

「かしこまりました」

頭を下げて、店員さんが去って行くと早速私はノエルに話しかけた。

「ねぇ。こうしてみると、私達って友達同士に見えない?」

「そうね」

何処かイライラした様子でノエルが返事をする。

「え?どうしたの?てっきりそんなはずないでしょうっ!って言い返されるかと思ったのに」

「こっちはそういわけにはいかないのよ…」

ノエルがボソリと呟いた。

「え?どうかしたの?」

「いえ、別に」

そこまで話した時…。

「お待たせ致しました」

ウェイトレスが私とノエルの前に湯気の立つ紅茶とチョコレートケーキを運んできた。
そして私たちの前に置くと、「ごゆっくりどうぞ」と言って去って行く。

「うわ~…美味しそう…それじゃ早速いただきま~す」

すると…。

「ちょっと待ちなさい」

突然ノエルが止めた。

「ええ~…何よ…」

「いい?アリーナ。不本意だけど…今日から私と貴女は友人同士よ?そのことをちゃんとアルフォンソ様に伝えるのよ?分かった?」


ノエルは妙なことを口にした――。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【短編】誰も幸せになんかなれない~悪役令嬢の終末~

真辺わ人
恋愛
私は前世の記憶を持つ悪役令嬢。 自分が愛する人に裏切られて殺される未来を知っている。 回避したいけれど回避できなかったらどうしたらいいの? *後編投稿済み。これにて完結です。 *ハピエンではないので注意。

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

婚約破棄を望む伯爵令嬢と逃がしたくない宰相閣下との攻防戦~最短で破棄したいので、悪役令嬢乗っ取ります~

甘寧
恋愛
この世界が前世で読んだ事のある小説『恋の花紡』だと気付いたリリー・エーヴェルト。 その瞬間から婚約破棄を望んでいるが、宰相を務める美麗秀麗な婚約者ルーファス・クライナートはそれを受け入れてくれない。 そんな折、気がついた。 「悪役令嬢になればいいじゃない?」 悪役令嬢になれば断罪は必然だが、幸運な事に原作では処刑されない事になってる。 貴族社会に思い残すことも無いし、断罪後は僻地でのんびり暮らすのもよかろう。 よしっ、悪役令嬢乗っ取ろう。 これで万事解決。 ……て思ってたのに、あれ?何で貴方が断罪されてるの? ※全12話で完結です。

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

光の王太子殿下は愛したい

葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。 わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。 だが、彼女はあるときを境に変わる。 アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。 どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。 目移りなどしないのに。 果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!? ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。 ☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います

珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。 最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。 それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

処理中です...