50 / 376
4-10 抑えきれない怒り
その頃、シュミットはアリアドネが働いている作業場に足を運んでいた。巨大倉庫のような大きな作業場では下働きや領民達が入り乱れて、様々な仕事を行っている。
薪割や、粉ひき、糸紡ぎ…まさに圧巻の光景だった。
「アリアドネ様はどちらにいらっしゃるのだろう…?」
シュミットは必死になって探したが、誰もアリアドネの行方を知らない。
そこでシュミットは寮長のマリアの元に向かった。
「すみません、マリアさん。アリアドネの行方を御存じではありませんか?」
丁度マリアは領民達と干し肉の加工作業の最中だった。
「アリアドネ?あの娘なら1人で針仕事をしていはずだけど…?あら?いないみたいねぇ」
アリアドネが作業をしていた場所はもぬけの殻になっている。
「え…?では一体どちらへ…?」
するとそこへダリウスが声を掛けて来た。
「あの…もしかするとアリアドネを探していらっしゃいますか?」
「ええ、そうです。貴方は誰ですか?」
シュミットはダリウスに尋ねた。
「俺は越冬期間をここで過ごす為にやって来た領民で、ダリウスと言います。アリアドネとは親しくしています」
「そうですか…」
シュミットはダリウスを見て思った。
(ひょっとして、スティーブが話していた人物は彼の事なのだろうか?)
「それで、貴方はアリアドネが何所へ行ったのか知っていると言う事ですか?」
アリアドネと親しい…その言葉を聞いただけで、何故かシュミットはダリウスに尋問するかのような口調で問い詰めていた。
「いえ、何所へ行ったのかは知りませんが…ただ、2人のメイドとあの地下通路を通って行く姿を見ました。手にはブリキのバケツを持っていたので…もしかすると炭を城に運んで行ったのかもしれません」
ダリウスの言葉にシュミットは青ざめた。
「な、何だって…?城に…?しかもメイド達と…」
「それはまずいわね…」
マリアも深刻そうな顔を浮かべる。
「あ、あの…城にアリアドネが行けば何故危ないのですか?」
ダリウスは理由が分らずに2人に尋ねた。
「理由はマリアさんから聞いてください!私はすぐにアリアドネを探しに行かないといけないのでっ!」
シュミットはそれだけ告げるとアリアドネが消えて行った地下通路に駆け足で向かった。その様子を見届けたマリアは溜息をつくとダリウスを見た。
「いいかい、あの城はね…」
「え…っ?!」
ダリウスはその話に顔色が青ざめた―。
****
一方その頃―
「答えろっ!!貴様ら…神聖な城内で…しかもこんな真昼間から一体何の話をしていたっ?!」
エルウィンの怒声が響き渡り、腰から剣を抜くと兵士たちに向けた。
「お、お許しをッ!!」
アリアドネの腕を掴んでいた兵士が怯えた様子でひれ伏した。残りの兵士にメイド達まで床に平伏す。
そこでアリアドネも慌てて、平伏そうとすると…。
「お前はそんな事をする必要は無い」
エルウィンがアリアドネに言った。
「え…?」
「俺が頭に来ているのは…こいつらだ…。いつからこの城は娼館になったのだ?俺はそんな事…一度だって許可したことは無いぞ…?」
エルウィンからは激しい怒りが感じ取れる。その殺気の凄まじさは彼等を震え上がらせるには十分だった。
「貴様ら、目障りだ…とっとと俺の視界から消え失せろ!二度と望まぬ相手に強要するなっ!分ったかっ!」
「す、すみませんでした!!」
「申し訳ございません!!」
彼等はまるで悲鳴のような声を上げ、バタバタと長い廊下を走り去って行った。
「くそっ…!」
エルウィンは苛立ちながら剣を鞘に納め…ゆっくりとアリアドネの方を向いた―。
薪割や、粉ひき、糸紡ぎ…まさに圧巻の光景だった。
「アリアドネ様はどちらにいらっしゃるのだろう…?」
シュミットは必死になって探したが、誰もアリアドネの行方を知らない。
そこでシュミットは寮長のマリアの元に向かった。
「すみません、マリアさん。アリアドネの行方を御存じではありませんか?」
丁度マリアは領民達と干し肉の加工作業の最中だった。
「アリアドネ?あの娘なら1人で針仕事をしていはずだけど…?あら?いないみたいねぇ」
アリアドネが作業をしていた場所はもぬけの殻になっている。
「え…?では一体どちらへ…?」
するとそこへダリウスが声を掛けて来た。
「あの…もしかするとアリアドネを探していらっしゃいますか?」
「ええ、そうです。貴方は誰ですか?」
シュミットはダリウスに尋ねた。
「俺は越冬期間をここで過ごす為にやって来た領民で、ダリウスと言います。アリアドネとは親しくしています」
「そうですか…」
シュミットはダリウスを見て思った。
(ひょっとして、スティーブが話していた人物は彼の事なのだろうか?)
「それで、貴方はアリアドネが何所へ行ったのか知っていると言う事ですか?」
アリアドネと親しい…その言葉を聞いただけで、何故かシュミットはダリウスに尋問するかのような口調で問い詰めていた。
「いえ、何所へ行ったのかは知りませんが…ただ、2人のメイドとあの地下通路を通って行く姿を見ました。手にはブリキのバケツを持っていたので…もしかすると炭を城に運んで行ったのかもしれません」
ダリウスの言葉にシュミットは青ざめた。
「な、何だって…?城に…?しかもメイド達と…」
「それはまずいわね…」
マリアも深刻そうな顔を浮かべる。
「あ、あの…城にアリアドネが行けば何故危ないのですか?」
ダリウスは理由が分らずに2人に尋ねた。
「理由はマリアさんから聞いてください!私はすぐにアリアドネを探しに行かないといけないのでっ!」
シュミットはそれだけ告げるとアリアドネが消えて行った地下通路に駆け足で向かった。その様子を見届けたマリアは溜息をつくとダリウスを見た。
「いいかい、あの城はね…」
「え…っ?!」
ダリウスはその話に顔色が青ざめた―。
****
一方その頃―
「答えろっ!!貴様ら…神聖な城内で…しかもこんな真昼間から一体何の話をしていたっ?!」
エルウィンの怒声が響き渡り、腰から剣を抜くと兵士たちに向けた。
「お、お許しをッ!!」
アリアドネの腕を掴んでいた兵士が怯えた様子でひれ伏した。残りの兵士にメイド達まで床に平伏す。
そこでアリアドネも慌てて、平伏そうとすると…。
「お前はそんな事をする必要は無い」
エルウィンがアリアドネに言った。
「え…?」
「俺が頭に来ているのは…こいつらだ…。いつからこの城は娼館になったのだ?俺はそんな事…一度だって許可したことは無いぞ…?」
エルウィンからは激しい怒りが感じ取れる。その殺気の凄まじさは彼等を震え上がらせるには十分だった。
「貴様ら、目障りだ…とっとと俺の視界から消え失せろ!二度と望まぬ相手に強要するなっ!分ったかっ!」
「す、すみませんでした!!」
「申し訳ございません!!」
彼等はまるで悲鳴のような声を上げ、バタバタと長い廊下を走り去って行った。
「くそっ…!」
エルウィンは苛立ちながら剣を鞘に納め…ゆっくりとアリアドネの方を向いた―。
あなたにおすすめの小説
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
【完結】氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~
雨宮羽那
恋愛
魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。
そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!
詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。
家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。
同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!?
「これは契約結婚のはずですよね!?」
◇◇◇◇
恋愛小説大賞に応募しています。
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"
モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです!
※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。
※表紙はAIイラストです。文字入れは「装丁カフェ」様を使用しております。
※小説内容にはAI不使用です。