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6-4 エルウィンの危険な発言
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「アリアドネ様。では私が代わりに女性寮までお連れします」
シュミットが頭を下げた。
「でも宜しいのですか?シュミット様はお忙しい方ですよねエルウィン様と一緒にお仕事があるのではありませんか?」
「いえ、少しの間なら構いません。それにエルウィン様はただいま治安部隊の騎士団長の方とお話し中ですから」
歩きながらシュミットは説明する。
「治安部隊…そのようなものがあるのですね?」
「ええ、そうなのです。城内で起こった揉め事を解決する為の専属部隊なのです」
「揉め事…」
アリアドネにはそれが何の事なのか分かってしまった。
「…」
シュミットはそんなアリアドネの様子を少しの間黙って見ていたが、すぐに口を開いた。
「ランベール様の件ですが…我らの見解から、犯人は恐らく個人的にランベール様を狙ったものだと見ています。ためらいもなく、一突きで心臓を狙っていましたから。あの方はかなり多くの者たちから恨みを買っておりましたので…。犠牲になってしまった門番には気の毒な事をしてしまいした。城の者達は皆動揺しておりますが、第2、第3の殺人は起こることは無いでしょう。それに城の警備も強化します。ご安心下さい。何しろ『アイゼンシュタット城』の騎士団は『レビアス』王国の最強部隊なのですから」
「ええ、そうですね。ありがとうございます。それを聞いて安心しました」
アリアドネは笑みを浮かべてシュミットを見た。
「いいえ、安心頂けたようで何よりです」
シュミットはアリアドネの笑みに胸を高鳴らせながら返事をした―。
****
「よし、アリアドネ様は寮に戻られて部屋の鍵もかけたから大丈夫だろう。各場所へ通じる地下通路には警備兵を2名ずつ配置したし…」
シュミットはアリアドネを部屋に送り届けた後、頭の中で城の警備兵の配置図を頭に思い描きながら執務室へ向かった―。
コンコン
エルウィンの執務室の前に到着するとシュミットは扉をノックした。
『誰だ?』
扉の奥からエルウィンの声が聞こえる。
「私です、シュミットです」
『ああ、お前か。入れ』
「失礼致します」
扉を開いて部屋の中に足を踏み入れると、エルウィンとエデルガルトがテーブルを挟んで向かい合わせに座っていた。
「シュミット、お前一体何処に行っていたんだ?」
「はい、スティーブに用があって、仕事場へ行っておりました」
言いながらシュミットは空いている席に腰掛けた。
「…チッ!アイツも仕事場に通っていたのか…」
エルウィンのつぶやきをエデルガルトは聞き逃さなかった。
「そう言えば、ランベール様は仕事場に行かれたそうですね?…珍しいこともあるものです。この様な言い方をしては何ですが…ランベール様は下働きと領民たちを軽視している所がありましたので、自ら足を赴くとは…」
チラリとエルウィンの様子を見ながらエデルガルトは首をひねった。
「…叔父上はまた3年前と同じ過ちを犯しそうになったんです」
ボソリとエルウィンは言った。
「3年前…?まさか当時15歳の領民の娘を無理やり手籠めにして自殺に追いやったあの事件ですか…?」
エデルガルトは眉をしかめた。
「ええ、そうです。叔父上はまた新しくやってきた領民の女に目をつけまた。そこを俺たちが捉えて地下牢へ閉じ込めてやったのですよ」
「…」
シュミットはその話を黙って聞いていた。エルウィンの言葉の端々に感情の昂りがうかがえた。
「…作用でございましたか。しかし…もうお亡くなりになった方をどうこう言うのは気が引けますが…まさかまたその様な事をされていたとは…」
「ああ、あんな奴…殺されて当然だ。いや、むしろ殺してくれた人間に感謝したいくらいだ」
腕組みしながら危険発言をするエルウィンをシュミットとエデルガルトが注意をしたのは言うまでも無かった―。
シュミットが頭を下げた。
「でも宜しいのですか?シュミット様はお忙しい方ですよねエルウィン様と一緒にお仕事があるのではありませんか?」
「いえ、少しの間なら構いません。それにエルウィン様はただいま治安部隊の騎士団長の方とお話し中ですから」
歩きながらシュミットは説明する。
「治安部隊…そのようなものがあるのですね?」
「ええ、そうなのです。城内で起こった揉め事を解決する為の専属部隊なのです」
「揉め事…」
アリアドネにはそれが何の事なのか分かってしまった。
「…」
シュミットはそんなアリアドネの様子を少しの間黙って見ていたが、すぐに口を開いた。
「ランベール様の件ですが…我らの見解から、犯人は恐らく個人的にランベール様を狙ったものだと見ています。ためらいもなく、一突きで心臓を狙っていましたから。あの方はかなり多くの者たちから恨みを買っておりましたので…。犠牲になってしまった門番には気の毒な事をしてしまいした。城の者達は皆動揺しておりますが、第2、第3の殺人は起こることは無いでしょう。それに城の警備も強化します。ご安心下さい。何しろ『アイゼンシュタット城』の騎士団は『レビアス』王国の最強部隊なのですから」
「ええ、そうですね。ありがとうございます。それを聞いて安心しました」
アリアドネは笑みを浮かべてシュミットを見た。
「いいえ、安心頂けたようで何よりです」
シュミットはアリアドネの笑みに胸を高鳴らせながら返事をした―。
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「よし、アリアドネ様は寮に戻られて部屋の鍵もかけたから大丈夫だろう。各場所へ通じる地下通路には警備兵を2名ずつ配置したし…」
シュミットはアリアドネを部屋に送り届けた後、頭の中で城の警備兵の配置図を頭に思い描きながら執務室へ向かった―。
コンコン
エルウィンの執務室の前に到着するとシュミットは扉をノックした。
『誰だ?』
扉の奥からエルウィンの声が聞こえる。
「私です、シュミットです」
『ああ、お前か。入れ』
「失礼致します」
扉を開いて部屋の中に足を踏み入れると、エルウィンとエデルガルトがテーブルを挟んで向かい合わせに座っていた。
「シュミット、お前一体何処に行っていたんだ?」
「はい、スティーブに用があって、仕事場へ行っておりました」
言いながらシュミットは空いている席に腰掛けた。
「…チッ!アイツも仕事場に通っていたのか…」
エルウィンのつぶやきをエデルガルトは聞き逃さなかった。
「そう言えば、ランベール様は仕事場に行かれたそうですね?…珍しいこともあるものです。この様な言い方をしては何ですが…ランベール様は下働きと領民たちを軽視している所がありましたので、自ら足を赴くとは…」
チラリとエルウィンの様子を見ながらエデルガルトは首をひねった。
「…叔父上はまた3年前と同じ過ちを犯しそうになったんです」
ボソリとエルウィンは言った。
「3年前…?まさか当時15歳の領民の娘を無理やり手籠めにして自殺に追いやったあの事件ですか…?」
エデルガルトは眉をしかめた。
「ええ、そうです。叔父上はまた新しくやってきた領民の女に目をつけまた。そこを俺たちが捉えて地下牢へ閉じ込めてやったのですよ」
「…」
シュミットはその話を黙って聞いていた。エルウィンの言葉の端々に感情の昂りがうかがえた。
「…作用でございましたか。しかし…もうお亡くなりになった方をどうこう言うのは気が引けますが…まさかまたその様な事をされていたとは…」
「ああ、あんな奴…殺されて当然だ。いや、むしろ殺してくれた人間に感謝したいくらいだ」
腕組みしながら危険発言をするエルウィンをシュミットとエデルガルトが注意をしたのは言うまでも無かった―。
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