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9-8 非道なゾーイ
その頃、エルウィンはオズワルドからロイが今日は1日不在ということを聞いたので久しぶりに2人に会いに行こうと廊下を歩いていた。
「ミカエルとウリエルは元気にしているだろうか…」
エルウィンはロイが苦手だった。
まるで人形のように整った顔は何を考えているのか全く表情がない。
女と見間違えそうな容姿に、細い線のような身体。
しかし、一度剣を握らせればその強さはかなりのものであり、また銃の扱いにも長けている。
オズワルドの腹心で無ければ、自分の部下に欲しいと一時思ったこともあるほどだったが…。
「あいつは無愛想なうえ、無口でとっつきにくいからな…」
エルウィンは自分自身も周囲からそう思われていることに気付いてはいなかったのだ。
「まぁいい。早く2人に会いに行こう」
その時…。
ガチャーンッ!!
廊下の先で何か激しく物が割れる音が響き渡った―。
****
「あ!な、何をするんですかっ?!その飲み物とお菓子はミカエル様とウリエル様のですよ?!どうしてこんな酷いことを…」
アリアドネは粉々に砕け散ったティーセットに飲み物ですっかり濡れてしまった床を見てゾーイに訴えた。
「ふんっ!あんたが悪いのよっ!元は卑しい下働きの癖に、色目を使ってエルウィン様とロイ様を誘惑なんかするからよ!この身の程知らずがっ!さっさと片付けたらどう?」
ゾーイは腕組みをしながらアリアドネを睨みつけた。
他の2人のメイドは楽しげにその様子を眺めている。
「私はそのような真似は一切しておりませんっ!」
「ほらほら!早く片付けなさいよっ!」
「破片が飛び散って危ないでしょう?」
「…」
アリアドネは唇を黙って噛んでいたが…。
(ゾーイさんが私を恨むのは無理もないかも…)
そこで仕方なく、床にしゃがんで破片を拾い上げようとした時…。
ドスッ!
いきなりアリアドネは背中を踏みつけられ、割れた破片の上に身体を押し付けられてしまった。
「キャアッ!」
食器の破片がアリアドネの身体を傷つけた。
それだけではない。
床の上にこぼれたお茶で身体も濡れる。
「あ~ら、失礼。そんな所にうずくまっていたなんて気付かなかったわ」
ゾーイはアリアドネが破片で傷を負って血を流していようが、身体が濡れていようがお構いなしだ。
いや、そもそも頭に血が登っていたゾーイはアリアドネが怪我をして血を流していることすら気付いてはいなかったのだ。
しかし、これには流石に2人のメイドも驚いた。
「ちょ、ちょっとゾーイッ!」
「いくら何でもやりすぎでしょう?!この子、怪我したわよっ!」
「うるさいわねっ!私は子爵家の人間、元は侍女だったのよっ!あんたたちとは違うんだからっ!口出ししないでよっ!」
そして更にアリアドネを踏みつける足に力を込めた。
「い、痛い…わ…お、お願い…や、やめて下さい…」
ガラスの破片の上に押し付けられた痛みもさることながら、ヒールが背中に食い込む痛みのほうが勝っていた。
「フフフ…いいざまね。下働きの分際で、ミカエルとウリエルの専属メイドになんかなるからよっ!」
その時―。
「貴様っ!一体そこで何をしている!」
広々とした廊下に怒声が響き渡った―。
「ミカエルとウリエルは元気にしているだろうか…」
エルウィンはロイが苦手だった。
まるで人形のように整った顔は何を考えているのか全く表情がない。
女と見間違えそうな容姿に、細い線のような身体。
しかし、一度剣を握らせればその強さはかなりのものであり、また銃の扱いにも長けている。
オズワルドの腹心で無ければ、自分の部下に欲しいと一時思ったこともあるほどだったが…。
「あいつは無愛想なうえ、無口でとっつきにくいからな…」
エルウィンは自分自身も周囲からそう思われていることに気付いてはいなかったのだ。
「まぁいい。早く2人に会いに行こう」
その時…。
ガチャーンッ!!
廊下の先で何か激しく物が割れる音が響き渡った―。
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「あ!な、何をするんですかっ?!その飲み物とお菓子はミカエル様とウリエル様のですよ?!どうしてこんな酷いことを…」
アリアドネは粉々に砕け散ったティーセットに飲み物ですっかり濡れてしまった床を見てゾーイに訴えた。
「ふんっ!あんたが悪いのよっ!元は卑しい下働きの癖に、色目を使ってエルウィン様とロイ様を誘惑なんかするからよ!この身の程知らずがっ!さっさと片付けたらどう?」
ゾーイは腕組みをしながらアリアドネを睨みつけた。
他の2人のメイドは楽しげにその様子を眺めている。
「私はそのような真似は一切しておりませんっ!」
「ほらほら!早く片付けなさいよっ!」
「破片が飛び散って危ないでしょう?」
「…」
アリアドネは唇を黙って噛んでいたが…。
(ゾーイさんが私を恨むのは無理もないかも…)
そこで仕方なく、床にしゃがんで破片を拾い上げようとした時…。
ドスッ!
いきなりアリアドネは背中を踏みつけられ、割れた破片の上に身体を押し付けられてしまった。
「キャアッ!」
食器の破片がアリアドネの身体を傷つけた。
それだけではない。
床の上にこぼれたお茶で身体も濡れる。
「あ~ら、失礼。そんな所にうずくまっていたなんて気付かなかったわ」
ゾーイはアリアドネが破片で傷を負って血を流していようが、身体が濡れていようがお構いなしだ。
いや、そもそも頭に血が登っていたゾーイはアリアドネが怪我をして血を流していることすら気付いてはいなかったのだ。
しかし、これには流石に2人のメイドも驚いた。
「ちょ、ちょっとゾーイッ!」
「いくら何でもやりすぎでしょう?!この子、怪我したわよっ!」
「うるさいわねっ!私は子爵家の人間、元は侍女だったのよっ!あんたたちとは違うんだからっ!口出ししないでよっ!」
そして更にアリアドネを踏みつける足に力を込めた。
「い、痛い…わ…お、お願い…や、やめて下さい…」
ガラスの破片の上に押し付けられた痛みもさることながら、ヒールが背中に食い込む痛みのほうが勝っていた。
「フフフ…いいざまね。下働きの分際で、ミカエルとウリエルの専属メイドになんかなるからよっ!」
その時―。
「貴様っ!一体そこで何をしている!」
広々とした廊下に怒声が響き渡った―。
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