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10-11 ダリウスの正体
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「さぁ、アリアドネ。好きなだけ食べるといい」
アリアドネの向かい側に座ったダリウスは満面の笑みを浮かべながらテーブルの上にずらりと並べられた料理を勧めた。
テーブルには肉料理や卵料理、オードブルに何種類ものパンが乗っている。
「え、ええ…」
曖昧に返事をしながらアリアドネは他のテーブル席に付いている人々をチラリと見た。
賑やかに食事をしている彼等は全員浅黒い肌に軍服姿の青年たちで、その数は15名だった。
「彼らが気になるのか?」
肉料理を口にしていたダリウスがアリアドネに声を掛けてきた。
「ええ、気になるのは当然よ。ダリウス…貴方は一体何者なの?彼らは貴方の何なの?」
勝手に訳の分からない場所に連れて来られたアリアドネは、ついダリウスを咎めるような口調になってしまった。
「随分今日はご機嫌斜めだな…。でもそんなところも可愛らしいけどな?」
ダリウスは気にも留める様子もなく、笑顔でアリアドネを見る。
「ダリウス、からかわないで教えて頂戴。私には聞く権利が十分あると思うけど?」
「ああ、分かったよ。でも説明して欲しいなら食事をするんだ。大体君は細すぎる。そんな細い身体では父上も母上も心配するからな」
「え…?どういう意味なの…?」
アリアドネはさっぱり訳が分からずに首をひねった。
「とにかく料理が温かいうちに食べろよ。冷めたら味も落ちるぞ?」
「ええ…」
ダリウスに言われ、渋々アリアドネは手近にあった卵料理を口にした。
「…美味しいわ…」
「だろう?『レビアス』王国は巨大国家だし、『アイデン』地域は辺境伯様が国の砦として守っているから報奨金も褒美も沢山貰っている…金持ちなんだよ、あの城は。全く…戦争で金儲けしているなんて最低な連中だ」
何処か吐き捨てるような言い方をするダリウスの言葉遣いがアリアドネは気に障った。
「そんな言い方をしないで?あの城は国を守る為に皆で全力で尽くしているのよ?その苦労は計り知れないと思うわ」
「へ~…随分『アイゼンシュタット城』の連中に肩入れしているんだな?あんな野蛮な奴らに…」
「ダリウス、『アイゼンシュタット城』のことを悪く言わないで」
アリアドネはダリウスに非難の目を向けた。その姿に流石のダリウスも弱腰になり、頭を下げて謝って来た。
「すまない…。今のは少し言い方が悪かった。頼むからそんな顔をしないでくれないか?」
「分かったわ…それでは貴方のことを教えてくれる?」
「ああ。俺の名前はダリウス・ヴィン・アキーラ。小国『カフィア』の第一王子だ。越冬期間中に『アイゼンシュタット城』へ潜入し、あの城の弱点を探っていたんだよ。そして…ここにいる連中は全員俺の騎士だ」
「え…?な、何ですって…?」
アリアドネはその言葉に顔面蒼白になった。
「あの城は本当に強固だからな…流石、厳塞要徼《げんさいようきょう》と呼ばれるだけのことがある。だからあの城の内部から崩していこうと思って俺が自ら潜入していたんだ。そこで思いもかけない収穫があった…」
そしてダリウスはアリアドネの手を握った。
「え?」
ダリウスの突然の行動に戸惑うアリアドネ。
「アリアドネ。俺の気持ちはとっくに気付いているんだろう?君が好きだ。どうか俺の妻になってくれ。あんな『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィンなんかよりもずっと君を大切にする。それに…例え嫌だと言っても…強引に国に連れ帰るからな?」
そしてダリウスはアリアドネの握りしめる手にますます力を込めた―。
アリアドネの向かい側に座ったダリウスは満面の笑みを浮かべながらテーブルの上にずらりと並べられた料理を勧めた。
テーブルには肉料理や卵料理、オードブルに何種類ものパンが乗っている。
「え、ええ…」
曖昧に返事をしながらアリアドネは他のテーブル席に付いている人々をチラリと見た。
賑やかに食事をしている彼等は全員浅黒い肌に軍服姿の青年たちで、その数は15名だった。
「彼らが気になるのか?」
肉料理を口にしていたダリウスがアリアドネに声を掛けてきた。
「ええ、気になるのは当然よ。ダリウス…貴方は一体何者なの?彼らは貴方の何なの?」
勝手に訳の分からない場所に連れて来られたアリアドネは、ついダリウスを咎めるような口調になってしまった。
「随分今日はご機嫌斜めだな…。でもそんなところも可愛らしいけどな?」
ダリウスは気にも留める様子もなく、笑顔でアリアドネを見る。
「ダリウス、からかわないで教えて頂戴。私には聞く権利が十分あると思うけど?」
「ああ、分かったよ。でも説明して欲しいなら食事をするんだ。大体君は細すぎる。そんな細い身体では父上も母上も心配するからな」
「え…?どういう意味なの…?」
アリアドネはさっぱり訳が分からずに首をひねった。
「とにかく料理が温かいうちに食べろよ。冷めたら味も落ちるぞ?」
「ええ…」
ダリウスに言われ、渋々アリアドネは手近にあった卵料理を口にした。
「…美味しいわ…」
「だろう?『レビアス』王国は巨大国家だし、『アイデン』地域は辺境伯様が国の砦として守っているから報奨金も褒美も沢山貰っている…金持ちなんだよ、あの城は。全く…戦争で金儲けしているなんて最低な連中だ」
何処か吐き捨てるような言い方をするダリウスの言葉遣いがアリアドネは気に障った。
「そんな言い方をしないで?あの城は国を守る為に皆で全力で尽くしているのよ?その苦労は計り知れないと思うわ」
「へ~…随分『アイゼンシュタット城』の連中に肩入れしているんだな?あんな野蛮な奴らに…」
「ダリウス、『アイゼンシュタット城』のことを悪く言わないで」
アリアドネはダリウスに非難の目を向けた。その姿に流石のダリウスも弱腰になり、頭を下げて謝って来た。
「すまない…。今のは少し言い方が悪かった。頼むからそんな顔をしないでくれないか?」
「分かったわ…それでは貴方のことを教えてくれる?」
「ああ。俺の名前はダリウス・ヴィン・アキーラ。小国『カフィア』の第一王子だ。越冬期間中に『アイゼンシュタット城』へ潜入し、あの城の弱点を探っていたんだよ。そして…ここにいる連中は全員俺の騎士だ」
「え…?な、何ですって…?」
アリアドネはその言葉に顔面蒼白になった。
「あの城は本当に強固だからな…流石、厳塞要徼《げんさいようきょう》と呼ばれるだけのことがある。だからあの城の内部から崩していこうと思って俺が自ら潜入していたんだ。そこで思いもかけない収穫があった…」
そしてダリウスはアリアドネの手を握った。
「え?」
ダリウスの突然の行動に戸惑うアリアドネ。
「アリアドネ。俺の気持ちはとっくに気付いているんだろう?君が好きだ。どうか俺の妻になってくれ。あんな『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィンなんかよりもずっと君を大切にする。それに…例え嫌だと言っても…強引に国に連れ帰るからな?」
そしてダリウスはアリアドネの握りしめる手にますます力を込めた―。
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