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10-13 怯えるアリアドネ
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「ランベール様殺害犯が…オズワルド様…?本当なの?その話は」
「ああ、勿論本当の話だ。何しろ俺はオズワルドがランベールを殺害する現場を見ていたからな」
「え‥?」
「オズワルドは牢屋番を殺害した後、まっすぐ地下牢へ行った。そして、牢屋から出してもらえると思って駆け寄って来たランベールを殺害したんだ」
淡々と話すダリウスにアリアドネは尋ねた。
「どうして貴方がそんなことを知っているの?」
「そんなのは簡単さ。何しろ俺は見ていたからさ。オズワルドがランベールを殺害する現場をね」
「な、何ですって…?」
ダリウスの言葉にアリアドネは恐怖を覚えた。
「どうしたんだ?アリアドネ。そんな目で俺を見て…」
「だ、だって貴方はランベール様が殺されるのを平気で見ていたわけでしょう?どうしてそんな真似が出来るの?止めようとは思わなかったの?」
「止める?何故俺が止めなければならないんだ?」
まるで訳が分からないと言わんばかりに首を傾げるダリウスがアリアドネは怖くなった。
「だってそうでしょう?よりにもよって人殺しなんて…!」
「別に。例えオズワルドがランベールを殺害しなくても、俺があいつを殺害するつもりだったからね」
「え…?」
アリアドネはその言葉に心臓が止まりそうになった。
「ど、どうしてランベール様を殺害しようなんて思ったの…?」
「そんなのは決まっている。あの男は…よりにもよってアリアドネ。君を手籠めにしようとした」
ダリウスはその瞬間険しい顔になり、憎悪の込められた声を上げた。その声が以外にも大きく、アリアドネは羞恥で頬を赤く染めた。
「や、やめて。ダリウス。そんな大きな声を出さないで。他の人達に聞かれてしまうわ」
「そうか…それは悪かった。とにかくあいつは俺のアリアドネを穢そうとしたんだ。殺されたって当然だろう?だから俺は地下牢に忍び込んだ。ランベールを殺す為にね。そしたら驚きだよ。地下牢に行けば辺りには血の匂いが満ちていた。一体何が起きているのかと思ってランベールの閉じ込められている地下牢に行くとオズワルドが血に濡れた剣を構えて立っていたんだ。牢屋の中では床の上に倒れているランベールの姿があった」
「……」
アリアドネはダリウスのあまりにも血生臭い話に眉をしかめながら話を聞いていた。
それでもまだ話はまだ続く。
「ランベールを殺害したオズワルドはそのまま牢屋を出ようとして、俺と鉢合わせしたんだ。クックック……傑作だったなぁ……あの時のあいつの驚いた顔は……。いつもまるで鉄仮面のような顔をしているくせに…本当に面白い物を見せて貰えたよ」
おかしくてたまらないと言わんばかりに肩を震わせて笑いを堪えているダリウス。
そんなダリウスがアリアドネは恐ろしくてたまらなかった。
(な、何?ダリウスのこの異様な雰囲気は。彼はこんな人だったの?怖い‥‥)
アリアドネが恐怖で震えていると、何を勘違いしたのかダリウスが声を掛けてきた。
「どうしたんだ?アリアドネ……随分震えているじゃないか?それに殆ど食事も口にしていない。ひょっとして具合でも悪いのか?」
「え、ええ……そうかもしれないわ。少し体調が悪いみたい」
アリアドネは何とかダリウスから解放されたくて、頷いた。
「そうか、なら部屋で休んだ方がいい。もうこの宿屋に部屋を用意してある。案内してやろう」
ダリウスは立ち上がり、アリアドネに近づいて腕を握りしめると無理やり立ち上がらせた。
「キャアッ!」
勢いあまってダリウスに倒れこむと、そのまま抱き寄せられた。
「お前ら!警戒は怠るなよ!」
『はいっ!!』
ダリウスの言葉にその場で食事をしていた騎士達は一斉に声を揃えて返事をした。
「よし、アリアドネ。行こうか」
ダリウスはアリアドネを抱き寄せたまま強引に2階へと連れて行く。
「は、離して!場所さえ教えてくれれば1人で行けるから!」
アリアドネは必死で暴れるも、ダリウスの力には全くかなわない。
「いいや、駄目だ。離すわけにはいかない。もし俺が手を離せば君は何処かへ逃げるだろう?」
「そんな、逃げられるはずがないでしょう?!私はここが何処かも分からないのに!」
しかし、ダリウスは聞く耳を持たずにアリアドネを離さない。
そしてある部屋の前で足を止めると扉を開けた。
「…!」
部屋の扉を開けた途端、目の前に1人で寝るには大きすぎるベッドがアリアドネの目に飛び込んできた。
(ま、まさか…)
その時…。
バタン
背後で扉が閉まる音が聞こえた。
「!」
ハッとなってアリアドネが振り返った時…。
カチャリ
ダリウスによって部屋の鍵が掛けられた――。
「ああ、勿論本当の話だ。何しろ俺はオズワルドがランベールを殺害する現場を見ていたからな」
「え‥?」
「オズワルドは牢屋番を殺害した後、まっすぐ地下牢へ行った。そして、牢屋から出してもらえると思って駆け寄って来たランベールを殺害したんだ」
淡々と話すダリウスにアリアドネは尋ねた。
「どうして貴方がそんなことを知っているの?」
「そんなのは簡単さ。何しろ俺は見ていたからさ。オズワルドがランベールを殺害する現場をね」
「な、何ですって…?」
ダリウスの言葉にアリアドネは恐怖を覚えた。
「どうしたんだ?アリアドネ。そんな目で俺を見て…」
「だ、だって貴方はランベール様が殺されるのを平気で見ていたわけでしょう?どうしてそんな真似が出来るの?止めようとは思わなかったの?」
「止める?何故俺が止めなければならないんだ?」
まるで訳が分からないと言わんばかりに首を傾げるダリウスがアリアドネは怖くなった。
「だってそうでしょう?よりにもよって人殺しなんて…!」
「別に。例えオズワルドがランベールを殺害しなくても、俺があいつを殺害するつもりだったからね」
「え…?」
アリアドネはその言葉に心臓が止まりそうになった。
「ど、どうしてランベール様を殺害しようなんて思ったの…?」
「そんなのは決まっている。あの男は…よりにもよってアリアドネ。君を手籠めにしようとした」
ダリウスはその瞬間険しい顔になり、憎悪の込められた声を上げた。その声が以外にも大きく、アリアドネは羞恥で頬を赤く染めた。
「や、やめて。ダリウス。そんな大きな声を出さないで。他の人達に聞かれてしまうわ」
「そうか…それは悪かった。とにかくあいつは俺のアリアドネを穢そうとしたんだ。殺されたって当然だろう?だから俺は地下牢に忍び込んだ。ランベールを殺す為にね。そしたら驚きだよ。地下牢に行けば辺りには血の匂いが満ちていた。一体何が起きているのかと思ってランベールの閉じ込められている地下牢に行くとオズワルドが血に濡れた剣を構えて立っていたんだ。牢屋の中では床の上に倒れているランベールの姿があった」
「……」
アリアドネはダリウスのあまりにも血生臭い話に眉をしかめながら話を聞いていた。
それでもまだ話はまだ続く。
「ランベールを殺害したオズワルドはそのまま牢屋を出ようとして、俺と鉢合わせしたんだ。クックック……傑作だったなぁ……あの時のあいつの驚いた顔は……。いつもまるで鉄仮面のような顔をしているくせに…本当に面白い物を見せて貰えたよ」
おかしくてたまらないと言わんばかりに肩を震わせて笑いを堪えているダリウス。
そんなダリウスがアリアドネは恐ろしくてたまらなかった。
(な、何?ダリウスのこの異様な雰囲気は。彼はこんな人だったの?怖い‥‥)
アリアドネが恐怖で震えていると、何を勘違いしたのかダリウスが声を掛けてきた。
「どうしたんだ?アリアドネ……随分震えているじゃないか?それに殆ど食事も口にしていない。ひょっとして具合でも悪いのか?」
「え、ええ……そうかもしれないわ。少し体調が悪いみたい」
アリアドネは何とかダリウスから解放されたくて、頷いた。
「そうか、なら部屋で休んだ方がいい。もうこの宿屋に部屋を用意してある。案内してやろう」
ダリウスは立ち上がり、アリアドネに近づいて腕を握りしめると無理やり立ち上がらせた。
「キャアッ!」
勢いあまってダリウスに倒れこむと、そのまま抱き寄せられた。
「お前ら!警戒は怠るなよ!」
『はいっ!!』
ダリウスの言葉にその場で食事をしていた騎士達は一斉に声を揃えて返事をした。
「よし、アリアドネ。行こうか」
ダリウスはアリアドネを抱き寄せたまま強引に2階へと連れて行く。
「は、離して!場所さえ教えてくれれば1人で行けるから!」
アリアドネは必死で暴れるも、ダリウスの力には全くかなわない。
「いいや、駄目だ。離すわけにはいかない。もし俺が手を離せば君は何処かへ逃げるだろう?」
「そんな、逃げられるはずがないでしょう?!私はここが何処かも分からないのに!」
しかし、ダリウスは聞く耳を持たずにアリアドネを離さない。
そしてある部屋の前で足を止めると扉を開けた。
「…!」
部屋の扉を開けた途端、目の前に1人で寝るには大きすぎるベッドがアリアドネの目に飛び込んできた。
(ま、まさか…)
その時…。
バタン
背後で扉が閉まる音が聞こえた。
「!」
ハッとなってアリアドネが振り返った時…。
カチャリ
ダリウスによって部屋の鍵が掛けられた――。
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