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10-14 囮と追跡
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今を遡ること2時間程前—。
「エルウィン様っ!ダリウスたちの居場所が分かりました!」
城外で出立の準備をしていたエルウィン達の元へシュミットが駆けつけてきた。
「何っ?!分かったのかっ?!」
馬に鞍をつけていたエルウィンが声を上げた。
「はい!各宿場村で飼育されている伝書鳩が伝言を持って飛んできたのです!」
「でかしたぞっ!それで場所はどこだっ!」
「はい、この城より6つ先にある宿場村『ヘクサ』に見慣れない集団が現れたそうです。人数は15名だと言う事です」
「15名か…。意外と少ないな…もしかすると、20名だけで行動していたのか?そして残りの5名は伏兵として何処かにいるのか…?」
「どうします?こちらも人員を削減しますか?」
「うむ…」
シュミットの言葉に考え来むエルウィン。するとそこへエデルガルトが数名の騎士を連れて現れた。
「エルウィン様、人員を削減してはなりませんぞ」
「師匠」
「彼らは砂漠の民です。雪には慣れていないはず。その様な者達が20名弱で行動しているとは思えません」
「分かりました」
エルウィンは頷くとシュミットに命じた。
「人員は削減するな。30名で行動する。スティーブに伝えて来てくれ!」
「承知致しました!」
シュミットは頷くと踵を返し、スティーブの元へ向かった。
「ではエルウィン様、彼らがリストアップした騎士達です。いかがでしょうか?」
エデルガルトはエルウィンにメモ紙を手渡してきた。
「拝見します」
エルウィンは素早く目を通すと、満足げに頷いた。
「ありがとうございます、流石は師匠です」
「お急ぎ下さい、エルウィン様。あの村は外洋へ続く海に近い宿場です。ひょっとすると彼らは小舟に乗って『ヘクサ』までやって来たかもしれません。海に出られては、もう追いつくことは不可能です」
「分かりました。師匠。必ず奴らに追いつき…この城を謀ったことを後悔させてやります」
エルウィンは不敵な笑みを浮かべた―。
****
雪原の中をスティーブを先頭にアイゼンシュタット城の選りすぐりの騎士達が馬で駆けていた。その人数は10名。
「お前達!よく聞けっ!奴らは恐らくどこかに潜み、我らを狙っている可能性がある!気を抜くなっ!」
スティーブは背後を振り向くと騎士達に向かって叫んだ。
『はいっ!』
一斉に返事をする騎士達。そして林の中へ入る直前、スティーブは彼らに命じた。
「全員剣を抜けっ!」
スティーブの言葉に全員が剣を抜いた。その時―。
ヒュンッ!
ヒュンッ!
ヒュンッ!
林の中から一斉に弓矢が飛んできた。
それを剣で薙ぎ払いながらスティーブは叫んだ。
「やはり潜んでいたなっ!全員攻撃態勢に入れっ!!」
『はっ!!』
スティーブの声が林の中に響き渡った。
実はスティーブがひきつれた隊は囮だったのである。
わざと目立つ雪原を走り、敵の目を引く為の。
一方、エルウィンはアイゼンシュタット城の者達しか知らない獣道を走っていた。
この道が最も早く、敵に気付かれない道だったからである。
(アリアドネッ!どうか…どうか無事でいてくれっ!!)
エルウィンはアリアドネの無事を祈り、馬で駆けていた――。
「エルウィン様っ!ダリウスたちの居場所が分かりました!」
城外で出立の準備をしていたエルウィン達の元へシュミットが駆けつけてきた。
「何っ?!分かったのかっ?!」
馬に鞍をつけていたエルウィンが声を上げた。
「はい!各宿場村で飼育されている伝書鳩が伝言を持って飛んできたのです!」
「でかしたぞっ!それで場所はどこだっ!」
「はい、この城より6つ先にある宿場村『ヘクサ』に見慣れない集団が現れたそうです。人数は15名だと言う事です」
「15名か…。意外と少ないな…もしかすると、20名だけで行動していたのか?そして残りの5名は伏兵として何処かにいるのか…?」
「どうします?こちらも人員を削減しますか?」
「うむ…」
シュミットの言葉に考え来むエルウィン。するとそこへエデルガルトが数名の騎士を連れて現れた。
「エルウィン様、人員を削減してはなりませんぞ」
「師匠」
「彼らは砂漠の民です。雪には慣れていないはず。その様な者達が20名弱で行動しているとは思えません」
「分かりました」
エルウィンは頷くとシュミットに命じた。
「人員は削減するな。30名で行動する。スティーブに伝えて来てくれ!」
「承知致しました!」
シュミットは頷くと踵を返し、スティーブの元へ向かった。
「ではエルウィン様、彼らがリストアップした騎士達です。いかがでしょうか?」
エデルガルトはエルウィンにメモ紙を手渡してきた。
「拝見します」
エルウィンは素早く目を通すと、満足げに頷いた。
「ありがとうございます、流石は師匠です」
「お急ぎ下さい、エルウィン様。あの村は外洋へ続く海に近い宿場です。ひょっとすると彼らは小舟に乗って『ヘクサ』までやって来たかもしれません。海に出られては、もう追いつくことは不可能です」
「分かりました。師匠。必ず奴らに追いつき…この城を謀ったことを後悔させてやります」
エルウィンは不敵な笑みを浮かべた―。
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雪原の中をスティーブを先頭にアイゼンシュタット城の選りすぐりの騎士達が馬で駆けていた。その人数は10名。
「お前達!よく聞けっ!奴らは恐らくどこかに潜み、我らを狙っている可能性がある!気を抜くなっ!」
スティーブは背後を振り向くと騎士達に向かって叫んだ。
『はいっ!』
一斉に返事をする騎士達。そして林の中へ入る直前、スティーブは彼らに命じた。
「全員剣を抜けっ!」
スティーブの言葉に全員が剣を抜いた。その時―。
ヒュンッ!
ヒュンッ!
ヒュンッ!
林の中から一斉に弓矢が飛んできた。
それを剣で薙ぎ払いながらスティーブは叫んだ。
「やはり潜んでいたなっ!全員攻撃態勢に入れっ!!」
『はっ!!』
スティーブの声が林の中に響き渡った。
実はスティーブがひきつれた隊は囮だったのである。
わざと目立つ雪原を走り、敵の目を引く為の。
一方、エルウィンはアイゼンシュタット城の者達しか知らない獣道を走っていた。
この道が最も早く、敵に気付かれない道だったからである。
(アリアドネッ!どうか…どうか無事でいてくれっ!!)
エルウィンはアリアドネの無事を祈り、馬で駆けていた――。
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