218 / 376
12-14 噂を知ったエルウィン
しおりを挟む
「戻ったぞ!」
上機嫌で執務室へエルウィンが帰ってきた。
「あ、お帰りさないませ。エルウィン様」
「大将、お帰り!」
執務室には仕事をしているシュミットと、何故かソファに座って剣の手入れをしているスティーブの姿まであった。
「何だ?何故スティーブ、お前までいるんだ?」
「まぁまぁ、そう硬いこと言わずに大将。座って下さいよ」
眉をしかめるエルウィンに、スティーブは悪怯れることもなく自分の向かい側の席を勧めた。
「うむ……」
ソファに座り、腕組みするエルウィンに早速2人は尋ねてきた。
「それで、エルウィン様。どうでしたか?」
「その様子だと、良い結果だったみたいですね?」
「ああ、聞いてくれ。あの弱虫だったミカエルとウリエルが、何と将来騎士になりたいと申し出てきたんだ。驚きだろう?」
「なんと!そうなのですか?」
「すごい成長じゃないですか!」
シュミットとスティーブも驚きの表情を浮かべる。
「ああ、あの2人……俺やロイのように強くなりたいそうだ」
腕組みしながら鼻高々のエルウィンに、スティーブとシュミットは一瞬顔を見合わせ…続きをスティーブが促した。
「そうでしたか、でもこれでアイゼンシュタットも安泰ですね。次の城主候補が見つかったのですから」
「ああ、全くだ。死んだ者を悪く言うのも何だが、叔父上は最低な男だった。だが、あの2人は違うぞ。見どころがある。早速明日から訓練を始めようと思っている」
「なるほど、ミカエル様とウリエル様のお話は良く分かりました。それで?一番肝心なアリアドネ様とのお話はどうなりましたか?」
スティーブが尋ねた。
「うん?アリアドネ……?アリアドネがどうした?」
「お忘れですか?アリアドネ様を説得する為に意気込んで執務室を出られたではありませんか?
「あ!そ、そうだった!!そのことはすっかり忘れていた!」
「何ですってっ?!」
「大将!マジですかっ?!」
「ああ…くそっ!俺としたことが…肝心なことを…。ま、まぁいい…。どうせ1週間後には陛下に謁見する為に2人で『レビアス』国へ向かわなければならないからな。話す機会はいつでもあるし……」
エルウィンは右手で頭を押さえた。
「まぁ…でも、エルウィン様は女性に対しては奥手だと思っていたのですが…これで安心しましたよ」
「ああ、そうだな。それどころか見直しましたよ。一度振られたくらいで諦めない所は尊敬に値しますね。俺だったら無理だろうな~」
「…は?お前たち、一体さっきから何を言ってるんだ?」
エルウィンは顔を上げて2人を見た。
「え?何って、アリアドネ様に求婚しに行ったのですよね?」
「もう城中の皆がその話で持ちきりですよ?」
シュミットとスティーブの話にエルウィンは青ざめた。
「お、おい……何だ?その話は。俺がアリアドネに会いに行ったのは、この城を出ていくのを考え直してもらえないか説得に行く為だったんだぞ?!」
「そうだったのですか?エルウィン様はアリアドネ様に結婚を申し込んだという噂が城中に伝わっていますよ?!」
「それでついでに言えば、エルウィン様はアリアドネ様に結婚を断られたという噂も既に流れていますぜ?」
「ふ、ふざけるなっ!!何でそんな話になるんだ?!結婚を申し込むどころか、俺はアリアドネに告白すらしたことないぞっ!!」
エルウィンの怒声が執務室に響き渡るのだった――。
上機嫌で執務室へエルウィンが帰ってきた。
「あ、お帰りさないませ。エルウィン様」
「大将、お帰り!」
執務室には仕事をしているシュミットと、何故かソファに座って剣の手入れをしているスティーブの姿まであった。
「何だ?何故スティーブ、お前までいるんだ?」
「まぁまぁ、そう硬いこと言わずに大将。座って下さいよ」
眉をしかめるエルウィンに、スティーブは悪怯れることもなく自分の向かい側の席を勧めた。
「うむ……」
ソファに座り、腕組みするエルウィンに早速2人は尋ねてきた。
「それで、エルウィン様。どうでしたか?」
「その様子だと、良い結果だったみたいですね?」
「ああ、聞いてくれ。あの弱虫だったミカエルとウリエルが、何と将来騎士になりたいと申し出てきたんだ。驚きだろう?」
「なんと!そうなのですか?」
「すごい成長じゃないですか!」
シュミットとスティーブも驚きの表情を浮かべる。
「ああ、あの2人……俺やロイのように強くなりたいそうだ」
腕組みしながら鼻高々のエルウィンに、スティーブとシュミットは一瞬顔を見合わせ…続きをスティーブが促した。
「そうでしたか、でもこれでアイゼンシュタットも安泰ですね。次の城主候補が見つかったのですから」
「ああ、全くだ。死んだ者を悪く言うのも何だが、叔父上は最低な男だった。だが、あの2人は違うぞ。見どころがある。早速明日から訓練を始めようと思っている」
「なるほど、ミカエル様とウリエル様のお話は良く分かりました。それで?一番肝心なアリアドネ様とのお話はどうなりましたか?」
スティーブが尋ねた。
「うん?アリアドネ……?アリアドネがどうした?」
「お忘れですか?アリアドネ様を説得する為に意気込んで執務室を出られたではありませんか?
「あ!そ、そうだった!!そのことはすっかり忘れていた!」
「何ですってっ?!」
「大将!マジですかっ?!」
「ああ…くそっ!俺としたことが…肝心なことを…。ま、まぁいい…。どうせ1週間後には陛下に謁見する為に2人で『レビアス』国へ向かわなければならないからな。話す機会はいつでもあるし……」
エルウィンは右手で頭を押さえた。
「まぁ…でも、エルウィン様は女性に対しては奥手だと思っていたのですが…これで安心しましたよ」
「ああ、そうだな。それどころか見直しましたよ。一度振られたくらいで諦めない所は尊敬に値しますね。俺だったら無理だろうな~」
「…は?お前たち、一体さっきから何を言ってるんだ?」
エルウィンは顔を上げて2人を見た。
「え?何って、アリアドネ様に求婚しに行ったのですよね?」
「もう城中の皆がその話で持ちきりですよ?」
シュミットとスティーブの話にエルウィンは青ざめた。
「お、おい……何だ?その話は。俺がアリアドネに会いに行ったのは、この城を出ていくのを考え直してもらえないか説得に行く為だったんだぞ?!」
「そうだったのですか?エルウィン様はアリアドネ様に結婚を申し込んだという噂が城中に伝わっていますよ?!」
「それでついでに言えば、エルウィン様はアリアドネ様に結婚を断られたという噂も既に流れていますぜ?」
「ふ、ふざけるなっ!!何でそんな話になるんだ?!結婚を申し込むどころか、俺はアリアドネに告白すらしたことないぞっ!!」
エルウィンの怒声が執務室に響き渡るのだった――。
51
あなたにおすすめの小説
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
【完結】身勝手な旦那様と離縁したら、異国で我が子と幸せになれました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
腹を痛めて産んだ子を蔑ろにする身勝手な旦那様、離縁してくださいませ!
完璧な人生だと思っていた。優しい夫、大切にしてくれる義父母……待望の跡取り息子を産んだ私は、彼らの仕打ちに打ちのめされた。腹を痛めて産んだ我が子を取り戻すため、バレンティナは離縁を選ぶ。復讐する気のなかった彼女だが、新しく出会った隣国貴族に一目惚れで口説かれる。身勝手な元婚家は、嘘がバレて自業自得で没落していった。
崩壊する幸せ⇒異国での出会い⇒ハッピーエンド
元婚家の自業自得ざまぁ有りです。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/07……アルファポリス、女性向けHOT4位
2022/10/05……カクヨム、恋愛週間13位
2022/10/04……小説家になろう、恋愛日間63位
2022/09/30……エブリスタ、トレンド恋愛19位
2022/09/28……連載開始
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)
【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!
大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。
なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。
顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。
それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!?
しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。
アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。
【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。
雨宮羽那
恋愛
聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。
というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。
そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。
残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?
レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。
相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。
しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?
これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。
◇◇◇◇
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます!
モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪
※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
※アルファポリス先行投稿(他投稿サイトにも掲載予定です)
虜囚の王女は言葉が通じぬ元敵国の騎士団長に嫁ぐ
あねもね
恋愛
グランテーレ国の第一王女、クリスタルは公に姿を見せないことで様々な噂が飛び交っていた。
その王女が和平のため、元敵国の騎士団長レイヴァンの元へ嫁ぐことになる。
敗戦国の宿命か、葬列かと見紛うくらいの重々しさの中、民に見守られながら到着した先は、言葉が通じない国だった。
言葉と文化、思いの違いで互いに戸惑いながらも交流を深めていく。
【電子書籍化・1月末削除予定】余命一カ月の魔法使いは我儘に生きる
大森 樹
恋愛
【本編完結、番外編追加しています】
多くの方にお読みいただき感謝申し上げます。
感想たくさんいただき感謝致します。全て大切に読ませていただいております。
残念ですが、この度電子書籍化に伴い規約に基づき2026年1月末削除予定です。
よろしくお願いいたします。
-----------------------------------------------------------
大魔法使いエルヴィは、最大の敵である魔女を倒した。
「お前は死の恐怖に怯えながら、この一カ月無様に生きるといい」
死に際に魔女から呪いをかけられたエルヴィは、自分の余命が一カ月しかないことを知る。
国王陛下から命を賭して魔女討伐をした褒美に『どんな我儘でも叶える』と言われたが……エルヴィのお願いはとんでもないことだった!?
「ユリウス・ラハティ様と恋人になりたいです!」
エルヴィは二十歳近く年上の騎士団長ユリウスにまさかの公開告白をしたが、彼は亡き妻を想い独身を貫いていた。しかし、王命により二人は強制的に一緒に暮らすことになって……
常識が通じない真っ直ぐな魔法使いエルヴィ×常識的で大人な騎士団長のユリウスの期間限定(?)のラブストーリーです。
※どんな形であれハッピーエンドになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる