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12-14 噂を知ったエルウィン
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「戻ったぞ!」
上機嫌で執務室へエルウィンが帰ってきた。
「あ、お帰りさないませ。エルウィン様」
「大将、お帰り!」
執務室には仕事をしているシュミットと、何故かソファに座って剣の手入れをしているスティーブの姿まであった。
「何だ?何故スティーブ、お前までいるんだ?」
「まぁまぁ、そう硬いこと言わずに大将。座って下さいよ」
眉をしかめるエルウィンに、スティーブは悪怯れることもなく自分の向かい側の席を勧めた。
「うむ……」
ソファに座り、腕組みするエルウィンに早速2人は尋ねてきた。
「それで、エルウィン様。どうでしたか?」
「その様子だと、良い結果だったみたいですね?」
「ああ、聞いてくれ。あの弱虫だったミカエルとウリエルが、何と将来騎士になりたいと申し出てきたんだ。驚きだろう?」
「なんと!そうなのですか?」
「すごい成長じゃないですか!」
シュミットとスティーブも驚きの表情を浮かべる。
「ああ、あの2人……俺やロイのように強くなりたいそうだ」
腕組みしながら鼻高々のエルウィンに、スティーブとシュミットは一瞬顔を見合わせ…続きをスティーブが促した。
「そうでしたか、でもこれでアイゼンシュタットも安泰ですね。次の城主候補が見つかったのですから」
「ああ、全くだ。死んだ者を悪く言うのも何だが、叔父上は最低な男だった。だが、あの2人は違うぞ。見どころがある。早速明日から訓練を始めようと思っている」
「なるほど、ミカエル様とウリエル様のお話は良く分かりました。それで?一番肝心なアリアドネ様とのお話はどうなりましたか?」
スティーブが尋ねた。
「うん?アリアドネ……?アリアドネがどうした?」
「お忘れですか?アリアドネ様を説得する為に意気込んで執務室を出られたではありませんか?
「あ!そ、そうだった!!そのことはすっかり忘れていた!」
「何ですってっ?!」
「大将!マジですかっ?!」
「ああ…くそっ!俺としたことが…肝心なことを…。ま、まぁいい…。どうせ1週間後には陛下に謁見する為に2人で『レビアス』国へ向かわなければならないからな。話す機会はいつでもあるし……」
エルウィンは右手で頭を押さえた。
「まぁ…でも、エルウィン様は女性に対しては奥手だと思っていたのですが…これで安心しましたよ」
「ああ、そうだな。それどころか見直しましたよ。一度振られたくらいで諦めない所は尊敬に値しますね。俺だったら無理だろうな~」
「…は?お前たち、一体さっきから何を言ってるんだ?」
エルウィンは顔を上げて2人を見た。
「え?何って、アリアドネ様に求婚しに行ったのですよね?」
「もう城中の皆がその話で持ちきりですよ?」
シュミットとスティーブの話にエルウィンは青ざめた。
「お、おい……何だ?その話は。俺がアリアドネに会いに行ったのは、この城を出ていくのを考え直してもらえないか説得に行く為だったんだぞ?!」
「そうだったのですか?エルウィン様はアリアドネ様に結婚を申し込んだという噂が城中に伝わっていますよ?!」
「それでついでに言えば、エルウィン様はアリアドネ様に結婚を断られたという噂も既に流れていますぜ?」
「ふ、ふざけるなっ!!何でそんな話になるんだ?!結婚を申し込むどころか、俺はアリアドネに告白すらしたことないぞっ!!」
エルウィンの怒声が執務室に響き渡るのだった――。
上機嫌で執務室へエルウィンが帰ってきた。
「あ、お帰りさないませ。エルウィン様」
「大将、お帰り!」
執務室には仕事をしているシュミットと、何故かソファに座って剣の手入れをしているスティーブの姿まであった。
「何だ?何故スティーブ、お前までいるんだ?」
「まぁまぁ、そう硬いこと言わずに大将。座って下さいよ」
眉をしかめるエルウィンに、スティーブは悪怯れることもなく自分の向かい側の席を勧めた。
「うむ……」
ソファに座り、腕組みするエルウィンに早速2人は尋ねてきた。
「それで、エルウィン様。どうでしたか?」
「その様子だと、良い結果だったみたいですね?」
「ああ、聞いてくれ。あの弱虫だったミカエルとウリエルが、何と将来騎士になりたいと申し出てきたんだ。驚きだろう?」
「なんと!そうなのですか?」
「すごい成長じゃないですか!」
シュミットとスティーブも驚きの表情を浮かべる。
「ああ、あの2人……俺やロイのように強くなりたいそうだ」
腕組みしながら鼻高々のエルウィンに、スティーブとシュミットは一瞬顔を見合わせ…続きをスティーブが促した。
「そうでしたか、でもこれでアイゼンシュタットも安泰ですね。次の城主候補が見つかったのですから」
「ああ、全くだ。死んだ者を悪く言うのも何だが、叔父上は最低な男だった。だが、あの2人は違うぞ。見どころがある。早速明日から訓練を始めようと思っている」
「なるほど、ミカエル様とウリエル様のお話は良く分かりました。それで?一番肝心なアリアドネ様とのお話はどうなりましたか?」
スティーブが尋ねた。
「うん?アリアドネ……?アリアドネがどうした?」
「お忘れですか?アリアドネ様を説得する為に意気込んで執務室を出られたではありませんか?
「あ!そ、そうだった!!そのことはすっかり忘れていた!」
「何ですってっ?!」
「大将!マジですかっ?!」
「ああ…くそっ!俺としたことが…肝心なことを…。ま、まぁいい…。どうせ1週間後には陛下に謁見する為に2人で『レビアス』国へ向かわなければならないからな。話す機会はいつでもあるし……」
エルウィンは右手で頭を押さえた。
「まぁ…でも、エルウィン様は女性に対しては奥手だと思っていたのですが…これで安心しましたよ」
「ああ、そうだな。それどころか見直しましたよ。一度振られたくらいで諦めない所は尊敬に値しますね。俺だったら無理だろうな~」
「…は?お前たち、一体さっきから何を言ってるんだ?」
エルウィンは顔を上げて2人を見た。
「え?何って、アリアドネ様に求婚しに行ったのですよね?」
「もう城中の皆がその話で持ちきりですよ?」
シュミットとスティーブの話にエルウィンは青ざめた。
「お、おい……何だ?その話は。俺がアリアドネに会いに行ったのは、この城を出ていくのを考え直してもらえないか説得に行く為だったんだぞ?!」
「そうだったのですか?エルウィン様はアリアドネ様に結婚を申し込んだという噂が城中に伝わっていますよ?!」
「それでついでに言えば、エルウィン様はアリアドネ様に結婚を断られたという噂も既に流れていますぜ?」
「ふ、ふざけるなっ!!何でそんな話になるんだ?!結婚を申し込むどころか、俺はアリアドネに告白すらしたことないぞっ!!」
エルウィンの怒声が執務室に響き渡るのだった――。
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