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17-4 口に出せない気持ち
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その頃、アリアドネはメイド服に着替えて既にミカエルとウリエルの世話を焼いていた。
「ミカエル様、ウリエル様。おやつをお持ちしました」
今日の授業の復習をしている2人の元へアリアドネはお茶とケーキを乗せたワゴンを運んできた。
「ありがとう、リア」
「ありがとう。うわ~美味しそう」
早速ミカエルとウリエルはケーキを食べ始め、アリアドネは側で紅茶を注ぎながら2人の様子を見つめていた。
(フフフ……本当にお2人とも可愛らしいわ。出来ればもっと一緒にいたかったわ。だけどエルウィン様から退職金を頂いたら、ここを去らないといけないものね……)
既にアリアドネの中ではエルウィンから貰う300万レニーという大金は退職金なのだろうと結論づけてしまっていた。
(後、どれくらいこのお城にいられるか分からないけれども……ここを去るまでは出来るだけお2人の側にいたいわ……)
けれど、アリアドネの願いはすぐに断たれることになる――。
****
午後6時――
アリアドネはミカエルとウリエルの食事を運ぶ為、料理の積まれたワゴンを押して廊下を歩いていた。
その時、向かい側からエルウィンが髪を乱し、慌てた様子で駆けつけてきた。
「アリアドネッ!こんなところにいたのか?随分探したぞ!」
「エルウィン様?どうされたのですか?」
「どうしたもこうしたもあるか。まさか城に戻ってからすぐにメイドの仕事をしていたのか?」
「はい、すぐにではありませんが……」
「何故、そんな真似を。お前はもうそんなことはしなくたっていいんだぞ?」
アリアドネの何処かのんびりした口調に苛立ちを感じながらエルウィンはため息をついた。
(何しろ……お前はいずれ俺の妻に……)
けれど、エルウィンにはそんな台詞を口にすることが出来るはずも無かった。何しろ未だに自分の気持ちを告げてもいないのだ。
「余計なことをしてしまい、申し訳ございません」
エルウィンの言葉にアリアドネは慌てて頭を下げた。
一方のアリアドネは今のエルウィンの言葉を別の意味で捉えてしまったのだ。自分はもう用済みなのだと思い込んでしまったのだ。
「いや、別に謝る必要はないが……ところでそれは何だ?」
エルウィンは扉付きのワゴンを指さした。
「はい、このワゴンにはミカエル様とウリエル様のお食事が積まれています。今から運ぶところです」
「そうか……ミカエルとウリエルの食事を運んでいるのか……。なら仕方あるまい。分かった。それなら食事を運び終えたら俺の執務室に来てくれ。大事な話がある」
「分かりました……。それでは後ほど伺います」
アリアドネはお辞儀をすると、再びワゴンを押してミカエル達の元へ向かった。
いよいよ自分は解雇されるのだろうという思いを胸に――。
「ミカエル様、ウリエル様。おやつをお持ちしました」
今日の授業の復習をしている2人の元へアリアドネはお茶とケーキを乗せたワゴンを運んできた。
「ありがとう、リア」
「ありがとう。うわ~美味しそう」
早速ミカエルとウリエルはケーキを食べ始め、アリアドネは側で紅茶を注ぎながら2人の様子を見つめていた。
(フフフ……本当にお2人とも可愛らしいわ。出来ればもっと一緒にいたかったわ。だけどエルウィン様から退職金を頂いたら、ここを去らないといけないものね……)
既にアリアドネの中ではエルウィンから貰う300万レニーという大金は退職金なのだろうと結論づけてしまっていた。
(後、どれくらいこのお城にいられるか分からないけれども……ここを去るまでは出来るだけお2人の側にいたいわ……)
けれど、アリアドネの願いはすぐに断たれることになる――。
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午後6時――
アリアドネはミカエルとウリエルの食事を運ぶ為、料理の積まれたワゴンを押して廊下を歩いていた。
その時、向かい側からエルウィンが髪を乱し、慌てた様子で駆けつけてきた。
「アリアドネッ!こんなところにいたのか?随分探したぞ!」
「エルウィン様?どうされたのですか?」
「どうしたもこうしたもあるか。まさか城に戻ってからすぐにメイドの仕事をしていたのか?」
「はい、すぐにではありませんが……」
「何故、そんな真似を。お前はもうそんなことはしなくたっていいんだぞ?」
アリアドネの何処かのんびりした口調に苛立ちを感じながらエルウィンはため息をついた。
(何しろ……お前はいずれ俺の妻に……)
けれど、エルウィンにはそんな台詞を口にすることが出来るはずも無かった。何しろ未だに自分の気持ちを告げてもいないのだ。
「余計なことをしてしまい、申し訳ございません」
エルウィンの言葉にアリアドネは慌てて頭を下げた。
一方のアリアドネは今のエルウィンの言葉を別の意味で捉えてしまったのだ。自分はもう用済みなのだと思い込んでしまったのだ。
「いや、別に謝る必要はないが……ところでそれは何だ?」
エルウィンは扉付きのワゴンを指さした。
「はい、このワゴンにはミカエル様とウリエル様のお食事が積まれています。今から運ぶところです」
「そうか……ミカエルとウリエルの食事を運んでいるのか……。なら仕方あるまい。分かった。それなら食事を運び終えたら俺の執務室に来てくれ。大事な話がある」
「分かりました……。それでは後ほど伺います」
アリアドネはお辞儀をすると、再びワゴンを押してミカエル達の元へ向かった。
いよいよ自分は解雇されるのだろうという思いを胸に――。
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