330 / 376
17-23 カルタン族の焦り
しおりを挟む
その頃――。
エルウィン達は猛スピードで地響きを立て、雪を飛び散らせながら着実に『ウルス』の宿場村へ近づいていた。
「おい!皆見ろ!『ウルス』の宿場の村が見えてきた!スピードを上げるぞ!」
エルウィンが背後を振り向き、必死で追いかけてくる騎士たちに叫んだ。
「そ、そんな!」
「冗談ですよね?!」
「これ以上なんて無理です!」
騎士たちの口から悲鳴が出る。
「おい誰だっ!無理だと言った奴は!我等には『無理』『不可能』という言葉は存在しない!」
その言葉に、騎士たちは泣き言を飲み込む代わりに手綱を強く握りしめた――。
****
「よーし、お前ら。準備は出来たな?」
武器を携えたリーダーが仲間たちを見渡した。
「ああ!バッチリだ!」
「いつでも出れるぞ!」
「腕がなるぜ……!」
中には指をバキバキ鳴らす猛者もいる。
「よし!では行くぞ!」
『おう!!』
リーダーの掛け声に全員が声を揃えて返事をした時――。
バンッ!!
突然勢いよく扉が開かれ、見張りの男が飛び込んできた。髪は振り乱し、目は血走っている。
「何だ?お前。随分慌ててるじゃないか?」
リーダーが声を掛けた。
すると――。
「た、た、た、大変だ!!」
見張り番の男はかなり取り乱している。
「落ち着け、まずは深呼吸しろ」
リーダーに肩を叩かれ、見張り番の男は大きく深呼吸すると叫んだ。
「大変だ!!この村に……ア、アイゼンシュタッとの騎士共が大軍で押し寄せてきている!!」
「何だと?!どういうことだ!何故我等の動きがばれたのだ!」
リーダーの顔色が変わる。
「大変だ!」
「我等の動きが読まれていたのか?」
ざわめくカルタン族の男達。
「くっそ~……騎士共には他に仲間もいたに違いない。恐らく援軍を呼んだな?」
悔しがるリーダーに詰め寄る男たち。
「おい!どうする!」
「もうすぐここへやって来るぞ!」
「何とかしなければ!」
「よし……どうせ奴らを急襲する計画だったのだ……。少々予定が狂ってしまったが……かえってこちらから攻め込む手間が省けたというものだ!幸い我等には人質がいる!まずは教会に捕らえていた人質共を全員……」
そこへ別の見張り番の男が飛び込んできた。
「おい!大変だ!教会の人質が全員消えている!」
「何いっ?!教会につけていた見張りはどうした?!」
リーダーが激しく男を詰る。
「そ、それが……見張りの2人も消えているんだよ!」
『何だって?!!』
その場にいたカルタン族の男たちが一斉に声を揃える。
「どうするんだよ!」
「なんとかしなければ!」
狼狽えるカルタン族の男たち。
「落ち着け!皆!我等は誇り高きカルタン一族!!こうなったらやぶれかぶれだ!打って出るぞ!」
『おう!!』
そして身の程知らずのカルタン一族達は、やぶれかぶれでエルウィン達を出迎えることになるのだった――。
エルウィン達は猛スピードで地響きを立て、雪を飛び散らせながら着実に『ウルス』の宿場村へ近づいていた。
「おい!皆見ろ!『ウルス』の宿場の村が見えてきた!スピードを上げるぞ!」
エルウィンが背後を振り向き、必死で追いかけてくる騎士たちに叫んだ。
「そ、そんな!」
「冗談ですよね?!」
「これ以上なんて無理です!」
騎士たちの口から悲鳴が出る。
「おい誰だっ!無理だと言った奴は!我等には『無理』『不可能』という言葉は存在しない!」
その言葉に、騎士たちは泣き言を飲み込む代わりに手綱を強く握りしめた――。
****
「よーし、お前ら。準備は出来たな?」
武器を携えたリーダーが仲間たちを見渡した。
「ああ!バッチリだ!」
「いつでも出れるぞ!」
「腕がなるぜ……!」
中には指をバキバキ鳴らす猛者もいる。
「よし!では行くぞ!」
『おう!!』
リーダーの掛け声に全員が声を揃えて返事をした時――。
バンッ!!
突然勢いよく扉が開かれ、見張りの男が飛び込んできた。髪は振り乱し、目は血走っている。
「何だ?お前。随分慌ててるじゃないか?」
リーダーが声を掛けた。
すると――。
「た、た、た、大変だ!!」
見張り番の男はかなり取り乱している。
「落ち着け、まずは深呼吸しろ」
リーダーに肩を叩かれ、見張り番の男は大きく深呼吸すると叫んだ。
「大変だ!!この村に……ア、アイゼンシュタッとの騎士共が大軍で押し寄せてきている!!」
「何だと?!どういうことだ!何故我等の動きがばれたのだ!」
リーダーの顔色が変わる。
「大変だ!」
「我等の動きが読まれていたのか?」
ざわめくカルタン族の男達。
「くっそ~……騎士共には他に仲間もいたに違いない。恐らく援軍を呼んだな?」
悔しがるリーダーに詰め寄る男たち。
「おい!どうする!」
「もうすぐここへやって来るぞ!」
「何とかしなければ!」
「よし……どうせ奴らを急襲する計画だったのだ……。少々予定が狂ってしまったが……かえってこちらから攻め込む手間が省けたというものだ!幸い我等には人質がいる!まずは教会に捕らえていた人質共を全員……」
そこへ別の見張り番の男が飛び込んできた。
「おい!大変だ!教会の人質が全員消えている!」
「何いっ?!教会につけていた見張りはどうした?!」
リーダーが激しく男を詰る。
「そ、それが……見張りの2人も消えているんだよ!」
『何だって?!!』
その場にいたカルタン族の男たちが一斉に声を揃える。
「どうするんだよ!」
「なんとかしなければ!」
狼狽えるカルタン族の男たち。
「落ち着け!皆!我等は誇り高きカルタン一族!!こうなったらやぶれかぶれだ!打って出るぞ!」
『おう!!』
そして身の程知らずのカルタン一族達は、やぶれかぶれでエルウィン達を出迎えることになるのだった――。
35
あなたにおすすめの小説
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。
ラディ
恋愛
一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。
家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。
劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。
一人の男が現れる。
彼女の人生は彼の登場により一変する。
この機を逃さぬよう、彼女は。
幸せになることに、決めた。
■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です!
■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました!
■感想や御要望などお気軽にどうぞ!
■エールやいいねも励みになります!
■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。
※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。
着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる