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第10話 待ちわびた、この瞬間
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「はい!勿論です!本来、断罪されるべき方はアンジェリカ様ではなく、このわたしなのですから!」
おおっ!ついにセリーヌが言い切った!
やっぱり、彼女はこの世界の知識を持っていたからこそ……積極的にアンジェリカを貶めようとしたのだ。
「そう?では早速皆の元へ戻りましょう?」
「ええ!勿論です!」
そして私は何故か張り切って?腕を振って歩くセリーヌの後に続いて、アイザック達の元へ戻った。
「セリーヌ、あの女に何か酷いことをされたりしなかったか?」
私達がやってくると、アイザックはセリーヌに駆け寄ってきた。
「はい、何もされていません」
頷くセリーヌ。
「そうか?本当に何もされていないのだな?それなら良かったが……では早速だが……」
アイザックはセリーヌの肩を抱き寄せると宣言した。
「これより、アイザック・ローゼンハイムは悪女であるアンジェリカ・デーゼナーとの婚約を破棄し、この女を辺境の地『ルーラル』へ追放を命じる!そしてここにいるセリーヌ・ティティスと婚約することを発表する!」
すると――。
「ごめんなさい!」
ドンッ!!
突如セリーヌがアイザック王子を突き飛ばし……ええっ?!王子を突き飛ばした?
突き飛ばされた王子は立ち方が悪かったのか、バランスを崩してそのまま無様に地面に尻餅を就いた挙げ句、衝撃で背後に倒れてしまった。
ゴツン!
あ、今アイザック王子が地面に頭を打ち付ける音が聞こえた。
王子がか弱い女性?に突き飛ばされ、地面に転び頭を打つ様子に辺りは水を打ったように静まり返る。
中には笑いを堪えているのか、うつむいて肩を震わせる学生もいる。
うんうん、その気持分かる。かくいう私も笑いを堪えるのに必死なのだから。
「う!い、痛いっ‼」
後頭部を抑えて地面にのたうち回るアイザック。本当に彼はソードマスターなのだろうか?何だか怪しくなってきた。
「大丈夫ですか?!王子!」
「しっかりして下さい!」
慌ててアイザックを助け起こすのはバートとクレイブだ。
「きゃあああ‼す、すみません!アイザック様‼」
セリーヌは顔面蒼白になりながら頭を下げる。
「い、一体何をする?セリーヌ。それに先程言った『ごめんなさい』とはどういう意味だ?」
まだ頭が痛むのか、右手で後頭部を抑えながらセリーヌに尋ねた。
う~ん……きっとこれが私だったら『不敬罪』を言い渡され、更に重い罪が課せられていたに違いない。
「はい!私はアイザック様と婚約する資格はありません!本来、断罪されて追放されるべき者はアンジェリカ様では無く、この私なのです!先程の罪も合わせて、どうか私をアンジェリカ様の代わりに『ルーラル』へ追放して下さいっ!」
セリーヌは自分から『断罪』を望んできた。
ついに……ついに待ちに待った瞬間が訪れたのだ――!
おおっ!ついにセリーヌが言い切った!
やっぱり、彼女はこの世界の知識を持っていたからこそ……積極的にアンジェリカを貶めようとしたのだ。
「そう?では早速皆の元へ戻りましょう?」
「ええ!勿論です!」
そして私は何故か張り切って?腕を振って歩くセリーヌの後に続いて、アイザック達の元へ戻った。
「セリーヌ、あの女に何か酷いことをされたりしなかったか?」
私達がやってくると、アイザックはセリーヌに駆け寄ってきた。
「はい、何もされていません」
頷くセリーヌ。
「そうか?本当に何もされていないのだな?それなら良かったが……では早速だが……」
アイザックはセリーヌの肩を抱き寄せると宣言した。
「これより、アイザック・ローゼンハイムは悪女であるアンジェリカ・デーゼナーとの婚約を破棄し、この女を辺境の地『ルーラル』へ追放を命じる!そしてここにいるセリーヌ・ティティスと婚約することを発表する!」
すると――。
「ごめんなさい!」
ドンッ!!
突如セリーヌがアイザック王子を突き飛ばし……ええっ?!王子を突き飛ばした?
突き飛ばされた王子は立ち方が悪かったのか、バランスを崩してそのまま無様に地面に尻餅を就いた挙げ句、衝撃で背後に倒れてしまった。
ゴツン!
あ、今アイザック王子が地面に頭を打ち付ける音が聞こえた。
王子がか弱い女性?に突き飛ばされ、地面に転び頭を打つ様子に辺りは水を打ったように静まり返る。
中には笑いを堪えているのか、うつむいて肩を震わせる学生もいる。
うんうん、その気持分かる。かくいう私も笑いを堪えるのに必死なのだから。
「う!い、痛いっ‼」
後頭部を抑えて地面にのたうち回るアイザック。本当に彼はソードマスターなのだろうか?何だか怪しくなってきた。
「大丈夫ですか?!王子!」
「しっかりして下さい!」
慌ててアイザックを助け起こすのはバートとクレイブだ。
「きゃあああ‼す、すみません!アイザック様‼」
セリーヌは顔面蒼白になりながら頭を下げる。
「い、一体何をする?セリーヌ。それに先程言った『ごめんなさい』とはどういう意味だ?」
まだ頭が痛むのか、右手で後頭部を抑えながらセリーヌに尋ねた。
う~ん……きっとこれが私だったら『不敬罪』を言い渡され、更に重い罪が課せられていたに違いない。
「はい!私はアイザック様と婚約する資格はありません!本来、断罪されて追放されるべき者はアンジェリカ様では無く、この私なのです!先程の罪も合わせて、どうか私をアンジェリカ様の代わりに『ルーラル』へ追放して下さいっ!」
セリーヌは自分から『断罪』を望んできた。
ついに……ついに待ちに待った瞬間が訪れたのだ――!
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