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第6話 恋愛相談?
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「……成程。そういうことでしたか……」
丸テーブルに向かい合わせに座るトニーはウンウンと頷いた。
「ああ、そうなんだ。いきなり『大嫌いでした、婚約破棄させて頂きます』なんて言われたんだぞ?どれだけ僕が驚いたか分かるか?」
結局、トニーに手紙のことを知られてしまった僕は何故か恋愛?相談をしていた。
「それでショックを受けたローレンス様はシェリル様の心を取り戻す為に大輪の花束を持って泣きつきに行ったわけですね?」
ん?何だって?
誰が心を取り戻す?しかも泣きつきに行っただって?
「おい、トニー。今の言い方は随分じゃないか?誰が誰の心を取り戻すだと?しかも泣きつきに行っただと?冗談じゃない!そんな筈あるわけ無いだろう?!」
「ええっ?ローレンス様はシェリル様に捨てられたくない一心で、両手一杯に花束を抱えてお屋敷に向かったのでしょう?」
「違うっ!そんなことあるか!大体僕は一度たりともシェリルのことを恋愛対象として見たことは無いぞ?親同士が決めた許婚だから月に2回のデートという名目の顔合わせを義務付けられていたから、彼女と会っていただけだからな」
「……ローレンス様、今ご自分が随分人でなし発言をされていたか自覚されていますか?」
トニーが僕をジト目で見つめる。
「今の台詞の何処が人でなしなんだよ。大体僕は浮気なんかしたことすら無いぞ?何故ならシェリルという許婚がいるのだから!それを言うならシェリルの方が酷いぞ?いつもいつも顔合わせの日に、愛犬のベスを連れてきて、僕そっちのけで自分たちだけの世界に入っているのだからな?」
どうだ?と言わんばかりにふんぞり返ってトニーに言い返した。
「確かに浮気はされていないのかもしれませんが、発言がかなり酷いですね…。もしかして、シェリル様はローレンス様のそういう冷たいところに嫌気がさして婚約破棄をしようと思ったのではないでしょうか?愛犬のベス様を連れているのもローレンス様への当てつけかもしれませんよ?」
そしてトニーはいつのまに用意していたのか、カップに注がれた紅茶を飲む。
「おい、それは僕の紅茶じゃないのか?どうしてお前が飲むんだよ」
「ほら、そこですよ。ローレンス様。そういう度量の狭いところも原因だとは思いませんか?やはり男性というものは度量が広く無いといけませんよ」
そして再び紅茶を飲むトニー。
「トニー。お前、随分知ったような口を叩くじゃないか?ひょっとして僕に恋愛指南でもするつもりか?」
腕組みしながらトニーを見た。
「いえ、そんなつもりはありませんが…ローレンス様の力になって差し上げたいとは思っておりますよ」
「何?今の話は本当か?」
「ええ、そうです。そこで質問させていただきますが、ローレンス様はシェリル様のことがお好きではないのですよね?」
「特に好きでは無い……と言うか、恋愛感情が無いだけだ。大体考えても見ろ。4歳
の時から僕とシェリルは許婚同士なのだぞ。まるで兄妹のような関係で恋愛感情なんか持てるはずないだろう?」
「成程、だったらシェリル様からの婚約破棄を受け入れればよろしいではありませんか?」
「何言ってるんだ?僕のことを大嫌いと言った挙げ句、一方的な婚約破棄の申し出を受け入れられる筈がないだろう?こっちにだってプライドはあるんだ。婚約破棄はしてもいいが、それでは自分のプライドが許さない。まずは、シェリルに僕のことを惚れさせる。そのうえで、こっちから彼女に婚約破棄を告げてやるのさ……ってなんだよ?その軽蔑の眼差しは?」
「いえ……別に…。つまりローレンス様が本日シェリル様宅を訪問されたのは捨てないでと泣きつく為では無かったということですね?」
「ああ、そうだ」
トニーの物言いが何だかものすごく引っかかるが、頷く。
「分かりました。動機は不純ですがシェリル様に関心を持たれるのは良いことだと思います。では私がお2人の距離が縮まるようにローレンス様に協力致しましょう!」
「本当か?よろしく頼む!」
話は何だか妙な方向に流れている気もしたが、こうしてトニーの協力を得ることが決定した。
見ていろよ……シェリル。
必ずお前の心を射止めてやるからな――!
丸テーブルに向かい合わせに座るトニーはウンウンと頷いた。
「ああ、そうなんだ。いきなり『大嫌いでした、婚約破棄させて頂きます』なんて言われたんだぞ?どれだけ僕が驚いたか分かるか?」
結局、トニーに手紙のことを知られてしまった僕は何故か恋愛?相談をしていた。
「それでショックを受けたローレンス様はシェリル様の心を取り戻す為に大輪の花束を持って泣きつきに行ったわけですね?」
ん?何だって?
誰が心を取り戻す?しかも泣きつきに行っただって?
「おい、トニー。今の言い方は随分じゃないか?誰が誰の心を取り戻すだと?しかも泣きつきに行っただと?冗談じゃない!そんな筈あるわけ無いだろう?!」
「ええっ?ローレンス様はシェリル様に捨てられたくない一心で、両手一杯に花束を抱えてお屋敷に向かったのでしょう?」
「違うっ!そんなことあるか!大体僕は一度たりともシェリルのことを恋愛対象として見たことは無いぞ?親同士が決めた許婚だから月に2回のデートという名目の顔合わせを義務付けられていたから、彼女と会っていただけだからな」
「……ローレンス様、今ご自分が随分人でなし発言をされていたか自覚されていますか?」
トニーが僕をジト目で見つめる。
「今の台詞の何処が人でなしなんだよ。大体僕は浮気なんかしたことすら無いぞ?何故ならシェリルという許婚がいるのだから!それを言うならシェリルの方が酷いぞ?いつもいつも顔合わせの日に、愛犬のベスを連れてきて、僕そっちのけで自分たちだけの世界に入っているのだからな?」
どうだ?と言わんばかりにふんぞり返ってトニーに言い返した。
「確かに浮気はされていないのかもしれませんが、発言がかなり酷いですね…。もしかして、シェリル様はローレンス様のそういう冷たいところに嫌気がさして婚約破棄をしようと思ったのではないでしょうか?愛犬のベス様を連れているのもローレンス様への当てつけかもしれませんよ?」
そしてトニーはいつのまに用意していたのか、カップに注がれた紅茶を飲む。
「おい、それは僕の紅茶じゃないのか?どうしてお前が飲むんだよ」
「ほら、そこですよ。ローレンス様。そういう度量の狭いところも原因だとは思いませんか?やはり男性というものは度量が広く無いといけませんよ」
そして再び紅茶を飲むトニー。
「トニー。お前、随分知ったような口を叩くじゃないか?ひょっとして僕に恋愛指南でもするつもりか?」
腕組みしながらトニーを見た。
「いえ、そんなつもりはありませんが…ローレンス様の力になって差し上げたいとは思っておりますよ」
「何?今の話は本当か?」
「ええ、そうです。そこで質問させていただきますが、ローレンス様はシェリル様のことがお好きではないのですよね?」
「特に好きでは無い……と言うか、恋愛感情が無いだけだ。大体考えても見ろ。4歳
の時から僕とシェリルは許婚同士なのだぞ。まるで兄妹のような関係で恋愛感情なんか持てるはずないだろう?」
「成程、だったらシェリル様からの婚約破棄を受け入れればよろしいではありませんか?」
「何言ってるんだ?僕のことを大嫌いと言った挙げ句、一方的な婚約破棄の申し出を受け入れられる筈がないだろう?こっちにだってプライドはあるんだ。婚約破棄はしてもいいが、それでは自分のプライドが許さない。まずは、シェリルに僕のことを惚れさせる。そのうえで、こっちから彼女に婚約破棄を告げてやるのさ……ってなんだよ?その軽蔑の眼差しは?」
「いえ……別に…。つまりローレンス様が本日シェリル様宅を訪問されたのは捨てないでと泣きつく為では無かったということですね?」
「ああ、そうだ」
トニーの物言いが何だかものすごく引っかかるが、頷く。
「分かりました。動機は不純ですがシェリル様に関心を持たれるのは良いことだと思います。では私がお2人の距離が縮まるようにローレンス様に協力致しましょう!」
「本当か?よろしく頼む!」
話は何だか妙な方向に流れている気もしたが、こうしてトニーの協力を得ることが決定した。
見ていろよ……シェリル。
必ずお前の心を射止めてやるからな――!
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