貴方誰ですか?〜婚約者が10年ぶりに帰ってきました〜

なーさ

文字の大きさ
13 / 21
第一章

近づく狂気と新しい出会い

しおりを挟む
「アーニャ?どーこかな?」また来た…私の婚約者だと名乗るナトリという男性はあれから毎日庭園に通っている。正直面倒くさい。私の結婚適齢期が過ぎたとかしつこい。私は別に気にしてないし何より知らないし。そろそろ貴族院に連絡して接近禁止命令を出してもらおうかと思ってる。
「すみません。職務中なので立ち去っていただけますか?」
「アーニャなぜそんな悲しいことを言うんだい?僕たちは運命に結ばれた二人だよ?」
「はぁ何度も言いますが私は結婚願望ないです。今は仕事をしたいので本当に来ないでください。衛兵さん!この人を出してもらえますか?」
「はっ!いくら英雄様であろうと王妃様管轄の者の職務の妨げをするのはいけません!即刻立ち去ってください。」
「アーニャまた来るね?バーイ」
「はぁ。」また来るのか。もういいや貴族院に行こう…




「すみません。私はマンタラ侯爵家の娘でアーニャ・マンタラと言うんですけども接近禁止命令を出して頂きたいのですがー」
「私はサルハン伯爵家のエドワード・サルハンと申します。貴族院で働いております。接近禁止命令ですねこちらの部屋にどうぞ。」
エドワードさんは黒縁メガネの青い瞳でダークブルーのとても美しい髪色だった。ザ・クール。
「はい。」
「具体的にどのような人物に接近禁止命令を出してほしいのか、罪に当たるか、等教えてください。」
「はい。私が接近禁止命令を出してほしいのはナトリ・ハラス。理由は元婚約者であるにも関わらず求婚にはお断りしているのにつきまとってくること。郵便受けはいつも手紙でパンパン。この前は国宝の花に手紙が結び付けられていました。」
「国宝の花!?」
「はい。そして許可しておないのに手を繋いできて至るところで妻は私だと公言してるそうです。これは貴族法典第134か条公共失言罪に当たりますよね?」
「そうですね。これは悪質なつきまとい被害ですね…訴えることもできますがどうしますか?」
「訴訟はいらないです。接近禁止命令を出して近づかなくなるなら大丈夫です。」
「マンタラさん。この手の悪質なつきまとい犯は何かきっかけがないとつきまとうことをやめません。貴族院に法廷ではありませんが公共執務室なるものがあることはご存知ですね?」
「はい。貴族名鑑で知りました。」
貴族名鑑は貴族の名前その家の歴史貴族院の紹介がついている辞書みたいなものだ。
「公共執務室は訴訟は起こしていないが接近禁止命令などの中級処罰の決着を付ける場所です。もし接近禁止命令を出して片付かないようでしたら公共執務室にお越しすることも一考です。長々と話してしまい申し訳ありません。しかし接近禁止命令を出す際には両者の立ち会いが必要です。こちらのほうでナトリさんはお呼びしましょうか?」
「お願いしていいですか?」
「勿論です。あの、もし良ければなんですけどこれが終われば一緒にディナーをしにいきませんか?」
エドワードさんの顔がさっきまでの冷静な顔と違い微かに赤くなった。
「勿論です。楽しみにしています。」
「あ、ありがとうございます。ゴホン!日程はいつにしますか?」
「ディナーは」
「あ、接近禁止命令の方です。両者立ち会いなのでナトリさんも聖騎士団としての仕事もあるでしょうし。」
恥ずかし…
「一週間後とか大丈夫でしょうか、」
「確認しておきます。ディナーはその日の夜でどうでしょう。」 
「はい。よろしくお願いします。今日はありがとうございました。」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。 ※新作です。アルファポリス様が先行します。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない

金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ! 小説家になろうにも書いてます。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

処理中です...