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手紙とエマ

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今日から第二王子公認の、正式な専属メイドになれる。

別になりたいわけじゃないけどヴィオラに心配をかけないためにしっかりと仕事をしよう。
頑張ってやるつもりだけど根本的に第二王子を許すわけではないから。

「いってきます」と小声で行ってから王室に向かった。

ヴィオラは子供たちの授業参観があるそうで見に行った。
初めて一人で行く。

いつもは短い道もヴィオラと一緒じゃなかったらとても長く感じる。

この町から王室までは10キロ近くある。
運動、といつも言ってヴィオラは馬車を使わない。私も慣れたので歩いて行ってる。

言っている間に王室についた。

昨日のように第二王子の部屋に入って第二王子を起こす。

「リヒト様、起きてください」

私は第二王子の体を揺らしながらそう言った。
すると小声でこう帰ってきた。

「エマ・・・」

すると第二王子にベットの中に引きずり込まれた。
ちょっとしたら第二王子が目を覚ました。

「何でお前ここにいるんだよ」

「リヒト様が引きずり込みました」

「わっ。まじかよ」

驚きながら自分の服を正している。

そして服を着替え終わった後リヒトが朝食を食べているとき

「お前今日仕事終わったら付き合え」

と一言言われたので仕方なくそうすることになった。
町に買いたいものがあるそうだ。

いつものように部屋の清掃をしていた。
すると上から大量の紙が降ってきた。

手紙のようなものだった。

リヒト宛で書いた人はわからない。
中を読んでみると

〃お元気ですか?私はとっても元気です。いつもリヒト君が手紙送ってくれるからぜんぜんさみしくありません。今日はお祭りです。もう手紙書けないかもしれません。いままでありがとうリヒト君。〃

と書かれていた。
朝に言っていたエマとかいう人も関係あるのかな。

ー仕事が終わりリヒトとともに町に出た。

しばらく歩いていると雑貨屋さんに着いた。
そこでリヒトはぬいぐるみを手にとって

「これどう思う?」

と聞いてきた。

「何がですか?可愛さだったら、まあいいと思いますけどね」

リヒトはそのままレジに持っていった。

その次にカフェに立ち寄った。

「付き合ってもらったお礼だ。好きなの頼め」

「え?何個でもいいですか?」

「ほどほどにな」

そう言われたので目に入った美味しそうなメニュー全部頼んだ。

「うわっ。食べきれんのかこれ」

テーブルの上に大量に並べられたスイーツを目の前に彼は言った。
一方で私は人生でこれ以上ない幸福を感じながらスイーツを食べていた。

「全部おいしいっ、ありがとうございます!」

柄にもなくニコニコの笑顔でそういった。
それと同時に彼もニコッと笑った。

そういえば何でぬいぐるみを買ったんだろう。

「あの、ぬいぐるみって何に使うんですか?」

リヒトが少し目をそらして言った。

「昔の好きな人・・・」

「朝に言ってたエマって人ですか?」

「え?いつ言った?」

「寝てた時です。そういえば手紙もその人ですか」

好きな人だったんだ。

「手紙見たのか?」

いえ、と私は答えた。
そうか、とリヒトが言ってトイレ行ってくるわと席を立った。

見ちゃダメだったかな。
でもさっきのリヒトの顔すごい青ざめてた。

リヒトが帰ってきて

「帰るか」

と一言言った。

帰っている途中さっきの話の続きをし始めた。

「あのさ、さっきの話なんだけど言ったほうがいいかなって思ったからちょっと話させてもらうぞ」

私はこくりとうなずいた。

「エマはもともとユーリの婚約者なんだけどヴィオラにユーリを取られて家の形成がつかなくなって破産して自殺したんだよ。ユーリの婚約者だけど俺も好きだった。いつも明るくてぬいぐるみとか可愛い物とか好きで特に食べ物には目がなくてすっげえ可愛くってさ」

じゃあそのぬいぐるみは亡くなったエマさんにあげるつもりだったのかな。

「毎年この時期になったら食べ物を供えるんだけど今年は女子がいたから参考にできたらなって思って」

「そうなんですね」

毎年ぬいぐるみとか可愛い物がわからないから食べ物供えてたんだ。
意外にけなげ。だからヴィオラにも意地悪してたわけだ。

「あとお前が似てたんだよ。エマに」

似てる?私が?

「食べ物前にするとニコニコしたり、髪の色も目の形もどことなく似てるんだよ」

そうなんだ。

「だからお前の事エマにしか思えなくて、付き合って・・・いややっぱいいわ」

いま付き合ってって聞こえた気がする。
まって付き合ってって何!
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