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さすがケイン
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護衛のライナスとは、よくケインの話で盛り上がる。
カーンがケインと稽古をつけるとき、ライナスも良く付き合っていると聞いたから。
だから、あのときも、ただの何気ない会話だった。
「ねぇ、ライナス。騎士になれるほどケインは剣が使えるのかい?」
「……そうですね。ここ最近で、かなり伸びましたよ。最初は、基本の型しかできなかったんですが。とにかく熱心に食らいつくんです。父と稽古するときも、ろくに休憩も取らないで、ずっと剣を振ってますからね」
「へぇ、すごいね」
さすが、ケインだ。
そう思ったら、自分のことのように嬉しくて、剣を握る僕の手にも自然と力が入った。
ライナスにときどき教えてもらうようになってから、僕も前よりは剣をうまく扱えるようになって来たと思う。
実はライナスの試合を間近に見るまでは、剣にあまり興味もなかったんだけど。
でも、あのときのライナスは、本当にものすごくカッコよくて。
あんな風に剣を振るえたら。そう思ったんだ。
でも、ケインは僕よりもずっと上達してるみたいで、もう軽い実践くらいはできるらしい。
ケインが騎士希望だってライナスが勘違いしたのもわかる。
よーし、僕も。
そう思った。そのとき。
ケインが、剣の稽古にあんなに真剣に取り組み始めた理由を知った。
守りたい人がいるのだと。
守りたい人。
ケインが、守りたい人。
一瞬、ここにはいない人の顔が浮かんだ。
剣を振っていたことなど、すっかり僕の頭から抜け落ちて。
はっと気が付いた時には、僕の手にあったはずの模造剣は、遠くにすっ飛んでいた。
ライナスが慌てて剣を拾いに行くのが見える。
あれ? 何が起きたんだ?
僕自身も驚いて、自分の空っぽの掌を見つめた。
ライナスに心配をかけてしまったみたいだ。
休憩しろとか怪我してないかとか、いろいろ聞いてくる。
大丈夫。ちょっと驚いただけ。
やっと、気が付いただけ。それだけ、だから。
だから。
体を、動かせ。まだ、何も考えるな。
そう思ったから、だから僕はライナスにこう言った。
もう少しやらせてほしいって。
夢中で剣を振る。力を込めて、何度も、何度も。
まだ、動ける。まだだ。
まだだ、もっと。動け。
大好きなケイン。小さい頃からずっと一緒で。
大事な僕の友達。……僕の親友。
あーあ。
僕はいつも自分のことばっかりだな。
自分のことばかり考えて、ケインに甘えてばかりで。
自分のことしか考えないから、馬鹿みたいに浮かれてて。
……ケインの気持ちを考えもしないから、こんな簡単なことにも気づかなくて。
そうか。
きっと。
きっと、ケインも僕と同じなんだね。
「……そういえば、ケインって、いつからカーンと稽古を始めたんだっけ?」
ただまっすぐ前を見据えて、思い切り剣を振る。
自分に、ゆっくりと、大丈夫って言い聞かせながら。
ライナスは顎に手を当てて、ちょっと考え込んで。
「えぇと、そうですね。確か……夏の少し前くらいだったでしょうか」
ほらね、やっぱり。
頭の中に蘇る。あの日見た、咲き誇るたくさんの薔薇。
僕が恋した、あの笑顔。
ケイン。……君って奴は本当に、無口にも程があるよ。
妙に頭の中がすっきりした。
ピースがきれいにはまったような、爽快感にも似て。
「それだけの期間で、剣の腕をそこまで伸ばしたのか。強くなって、……誰かを守れるようになりたいと」
「ええ、大した奴ですよ」
あぁ、もう。参っちゃうな。
ライナスの言うとおりだ。
僕は素振りの手を止めた。
模造剣を肩に乗せて、ライナスの方を振り返る。
そして、僕は笑った。
思いきり、笑ったんだ。
だって、なんだか嬉しくて。
ケインがいかにもケインらしいのが、誇らしくて。
「そうなんだよ。ケインはね、本当にすごいんだ」
ふふ、どうしたんだろう。
ライナスが、ボーっとこっちを見てる。
カーンがケインと稽古をつけるとき、ライナスも良く付き合っていると聞いたから。
だから、あのときも、ただの何気ない会話だった。
「ねぇ、ライナス。騎士になれるほどケインは剣が使えるのかい?」
「……そうですね。ここ最近で、かなり伸びましたよ。最初は、基本の型しかできなかったんですが。とにかく熱心に食らいつくんです。父と稽古するときも、ろくに休憩も取らないで、ずっと剣を振ってますからね」
「へぇ、すごいね」
さすが、ケインだ。
そう思ったら、自分のことのように嬉しくて、剣を握る僕の手にも自然と力が入った。
ライナスにときどき教えてもらうようになってから、僕も前よりは剣をうまく扱えるようになって来たと思う。
実はライナスの試合を間近に見るまでは、剣にあまり興味もなかったんだけど。
でも、あのときのライナスは、本当にものすごくカッコよくて。
あんな風に剣を振るえたら。そう思ったんだ。
でも、ケインは僕よりもずっと上達してるみたいで、もう軽い実践くらいはできるらしい。
ケインが騎士希望だってライナスが勘違いしたのもわかる。
よーし、僕も。
そう思った。そのとき。
ケインが、剣の稽古にあんなに真剣に取り組み始めた理由を知った。
守りたい人がいるのだと。
守りたい人。
ケインが、守りたい人。
一瞬、ここにはいない人の顔が浮かんだ。
剣を振っていたことなど、すっかり僕の頭から抜け落ちて。
はっと気が付いた時には、僕の手にあったはずの模造剣は、遠くにすっ飛んでいた。
ライナスが慌てて剣を拾いに行くのが見える。
あれ? 何が起きたんだ?
僕自身も驚いて、自分の空っぽの掌を見つめた。
ライナスに心配をかけてしまったみたいだ。
休憩しろとか怪我してないかとか、いろいろ聞いてくる。
大丈夫。ちょっと驚いただけ。
やっと、気が付いただけ。それだけ、だから。
だから。
体を、動かせ。まだ、何も考えるな。
そう思ったから、だから僕はライナスにこう言った。
もう少しやらせてほしいって。
夢中で剣を振る。力を込めて、何度も、何度も。
まだ、動ける。まだだ。
まだだ、もっと。動け。
大好きなケイン。小さい頃からずっと一緒で。
大事な僕の友達。……僕の親友。
あーあ。
僕はいつも自分のことばっかりだな。
自分のことばかり考えて、ケインに甘えてばかりで。
自分のことしか考えないから、馬鹿みたいに浮かれてて。
……ケインの気持ちを考えもしないから、こんな簡単なことにも気づかなくて。
そうか。
きっと。
きっと、ケインも僕と同じなんだね。
「……そういえば、ケインって、いつからカーンと稽古を始めたんだっけ?」
ただまっすぐ前を見据えて、思い切り剣を振る。
自分に、ゆっくりと、大丈夫って言い聞かせながら。
ライナスは顎に手を当てて、ちょっと考え込んで。
「えぇと、そうですね。確か……夏の少し前くらいだったでしょうか」
ほらね、やっぱり。
頭の中に蘇る。あの日見た、咲き誇るたくさんの薔薇。
僕が恋した、あの笑顔。
ケイン。……君って奴は本当に、無口にも程があるよ。
妙に頭の中がすっきりした。
ピースがきれいにはまったような、爽快感にも似て。
「それだけの期間で、剣の腕をそこまで伸ばしたのか。強くなって、……誰かを守れるようになりたいと」
「ええ、大した奴ですよ」
あぁ、もう。参っちゃうな。
ライナスの言うとおりだ。
僕は素振りの手を止めた。
模造剣を肩に乗せて、ライナスの方を振り返る。
そして、僕は笑った。
思いきり、笑ったんだ。
だって、なんだか嬉しくて。
ケインがいかにもケインらしいのが、誇らしくて。
「そうなんだよ。ケインはね、本当にすごいんだ」
ふふ、どうしたんだろう。
ライナスが、ボーっとこっちを見てる。
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