【完結】王太子と宰相の一人息子は、とある令嬢に恋をする

冬馬亮

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大切な友人

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「ハーブってこんなにたくさんの使い道があるんですね」
「本当に。こうやって実際に教わると、驚くようなことばかりです」
「ふふ、そう言っていただけると、わたくしも嬉しいです。もっと張り切ってしまいそうよ」

あれから、週に1回、アリエラとカトリアナはブライトン公爵家を訪れるようになった。

植物の知識は、花々の名前をいくつか知っている程度だったので、屋敷に来るたび、エレアーナの育てる薬草畑やハーブ園に行き、興味のありそうなものから覚えてもらうことにした。
きっかけが弟の喜んだハーブのうがい薬だったせいか、2人は薬草よりもハーブの方に興味津々で。

見分けられるようになったハーブ類もかなり増えてきた。

「花を見るのは好きでしたけど、自分で育てたことはなかったんです、エレアーナさま。でも、土に触るのって、なんだか落ち着きますね」
「お姉さまもそう思われて? わたくし、自分でも育てられないかしらって考えたんですの。庭に少しだけわたくしたちのスペースを空けてもらって。ねぇ、やってみたいと思いません?」
「いいわね、カトリアナ。今日、家に戻ったら、さっそくビリーに聞いてみましょうよ」
「まぁ、素敵。そのときは、ぜひ、こちらからお好きなものを選んで持って行ってくださいね」

喜びの歓声を上げる2人を、温室の方へ連れて行く。
先週、一緒に作ったドライハーブを見せたくて。

小さな束に分けて干したので、色も黒ずむことなく綺麗にできた。
自分たちで作ったものには、やはり思い入れがあるらしく、2人のテンションはさらにあがる。

「これで何が作れるんですか?」
「いろいろと楽しめますよ。簡単なのはハーブティーですね。あぁ、病院や孤児院に持って行くものとは違いますが、家で使うだけなら、ハーブティーをそのまま、うがい薬として使ってもいいんですよ。保たないので、作ったその日限りですけど」
「そうなんですか? でしたら、ウィルも家ではハーブティーを使ってうがいをしてもいいわけですね」
「そうですね。でも、うがいするのにわざわざハーブティーを淹れるのはかえって面倒ですよ。普通にハーブティーを飲んで楽しんで、もし余分があれば、うがい薬にすればいいのではないかと。やはり、ウィッテンハイムさまには、外から戻ったらすぐにうがいをしていただきたいですもの」
「ふふ、そうでした。うがいをするたびにハーブティーを淹れてたら、大変なことになりますわね」

たわいない話に笑えば、はたと、病院や孤児院に置いているうがい薬とどこが違うのかという質問が上がってくる。
これもエレアーナの影響なのか、2人とも質問する内容が少し深くなってきているのだ。

孤児院などのあちこちに届ける品はもちろん、最近では、ハーブや草木を使った普段使いの私用品の話までするようになった。

エレアーナが個人的に使っている化粧品とか、バームとか、入浴剤とか。
そして当然、女の子としては、そちらに関する品の方がもっと興味津々で。

まだ勉強し始めたばかりだから、そんなに色々たくさん作ることはできないけれど。
手始めに、と先週一緒に作ったのがドライハーブで。

これなら出来たものの中から好きなのを選んでもらって、お好みのハーブティーを作ってもいいし、匂い袋なら、もう作れるかもしれない。

これまでずっと、育てるのも作るのも1人でやってきて、そしてそれを寂しいと思ったこともなかったけれど、こうしてアリエラたちと一緒に作業するのは、意外にとても楽しかった。
自分が好きなことを、同じように楽しんでくれる人がいるのが嬉しくて。

一緒に孤児院に贈り物を届けに行ったときは、まだ知らなかった彼女たちの長所を知った。

アリエラは、小さい子の世話が好きで、子どもたちのためにお菓子を用意してくれたり、読み書きの手伝いをしてくれたり、色々と気を効かせてくれた。
カトリアナは、女の子の髪をきれいに結ってあげるのがすごく上手で。
昔、使っていたというリボンや髪留めをたくさん持ってきてくれたから、みんな目をキラキラさせていた。

それは全部、私一人ではできなかったこと。
助けて、助けられて、喜んでもらえることが増えた。

だからね、つい。
そう、ついつい、張り切りすぎて、最近は作りすぎてしまうのだ。
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