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第29章 広田5
第272話 どうしても気になる食材
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「何かあったか?」
「そこ、米のケーキって書いてある。」
「お?あ、本当だ。弾力があって伸びる生地で、中に甘いペーストって、大福か?」
「大福!」
大福と聞いて秋山さんが声をあげて勢い良く覗き込んだ。
マヨラーだけじゃなくて、甘党なのか。
「おちつけ、秋山。気になるのは大福かどうかじゃない。米だよ。米って書いてあるんだよ。」
武井さんの言葉に、俺はハッとした。岡部さんと秋山さんも同様だったらしくて、一瞬ポカンと目と口を開けていた。
「こ、コココ、コメ‥‥米?」
「コメって、あれか?あったかご飯か?」
慌てて目録をもう一度覗き込む岡部さんと秋山さん。武井さんは、落ちついた様子で首を少し捻った。
「弾力があるってことは、餅米の方だとおもう。」
「餅米!で、で、でも、コココ米は米だよな。餅米だって、あれだろ?赤飯とかおこわとか、餅米だろ?」
「おお,秋山は流石に食べ物に詳しいな。」
岡部さんが秋山さんを褒めた。秋山さんがちょっと得意げになる。コホンと、武井さんが軽く咳払いをした。
「‥‥レシピがあるってことは、この国には米があるってことだと思う。餅米かもしれないけど。そこが重要なんだ。」
「そ、そうだよな。どこかで売ってるってことか?‥‥もしかしてツェット商会?」
「わからんけど‥‥、さっきの職員さんに訊いてみよう。」
興味がすっかり米に向かってしまった。分厚くて何冊もある目録は一旦閉じて返した。
何しろ米だ。秋山さんのように食いしん坊でなくても、気になってしまう。
「米、でございますか。‥‥生産量が少なく、あまり出回ってはいないそうです。」
「でも、出回っていることは出回ってるんですか?」
「極少量だけ、この街にも入ってくることはあるようですよ。今在庫があるかはわからないですが。」
「どこ、ドコドコ何処ですか?」
「秋山、落ち着け!」
職員の人に詰め寄ろうとする秋山さんの前に岡部さんが腕を出して制した。俺も秋山さんの腕を掴む。こんなところでトラブルにでもなったら大変だ。
職員の人は気にした様子はなく、米を販売しているのはツェット商会だと教えてくれた。
「とんぼ返りだ!」
秋山さんがドヤ顔で宣言した。ドヤる場面じゃないと思うけど、行動としては同意だ。
商業ギルドを後にして、来た道を戻ってツェット商会に向かう。
「米、あるかな、米!米!コメコメ!」
秋山さんはメロディを付けて口ずさみ始めた。テンションが高い。
「秋山。気持ちは凄くわかるし、俺も似たようなものだけどさ。ちょっと食べ物の事に振り回されすぎてないか?」
「だって!米だぞ!ずっとずっとずっと食べてなかったんだぞ!食べたいじゃないか!食べた過ぎるじゃないか!」
振り向いた秋山さんの目が潤んでいた。
「‥‥それはわかる‥‥。だが、生産量が少ないし、今売っているか分からないって言ってたぞ。期待しすぎるとガッカリするぞ。」
「ううーん。デモデモダッテ。」
「お前の勢いだと、ツェット商会でも、店員に掴み掛かりそうじゃないか。店の外で待ってろよ。」
「やだよ!米の事を聞くんだ!この耳で!」
「じゃあ、絶対大人しくしてろよ。騒いだら売ってもらえなくなるかもしれないぞ。マヨとかも。」
「マヨ!マヨは困る!」
秋山さんがバッと、ツェット商会で購入したマヨネーズの瓶を入れた麻袋を両腕で抱え込んだ。米がないと秋山さんが落ち着かなそうだ。米、在ると良いんだけどなぁ。
「そこ、米のケーキって書いてある。」
「お?あ、本当だ。弾力があって伸びる生地で、中に甘いペーストって、大福か?」
「大福!」
大福と聞いて秋山さんが声をあげて勢い良く覗き込んだ。
マヨラーだけじゃなくて、甘党なのか。
「おちつけ、秋山。気になるのは大福かどうかじゃない。米だよ。米って書いてあるんだよ。」
武井さんの言葉に、俺はハッとした。岡部さんと秋山さんも同様だったらしくて、一瞬ポカンと目と口を開けていた。
「こ、コココ、コメ‥‥米?」
「コメって、あれか?あったかご飯か?」
慌てて目録をもう一度覗き込む岡部さんと秋山さん。武井さんは、落ちついた様子で首を少し捻った。
「弾力があるってことは、餅米の方だとおもう。」
「餅米!で、で、でも、コココ米は米だよな。餅米だって、あれだろ?赤飯とかおこわとか、餅米だろ?」
「おお,秋山は流石に食べ物に詳しいな。」
岡部さんが秋山さんを褒めた。秋山さんがちょっと得意げになる。コホンと、武井さんが軽く咳払いをした。
「‥‥レシピがあるってことは、この国には米があるってことだと思う。餅米かもしれないけど。そこが重要なんだ。」
「そ、そうだよな。どこかで売ってるってことか?‥‥もしかしてツェット商会?」
「わからんけど‥‥、さっきの職員さんに訊いてみよう。」
興味がすっかり米に向かってしまった。分厚くて何冊もある目録は一旦閉じて返した。
何しろ米だ。秋山さんのように食いしん坊でなくても、気になってしまう。
「米、でございますか。‥‥生産量が少なく、あまり出回ってはいないそうです。」
「でも、出回っていることは出回ってるんですか?」
「極少量だけ、この街にも入ってくることはあるようですよ。今在庫があるかはわからないですが。」
「どこ、ドコドコ何処ですか?」
「秋山、落ち着け!」
職員の人に詰め寄ろうとする秋山さんの前に岡部さんが腕を出して制した。俺も秋山さんの腕を掴む。こんなところでトラブルにでもなったら大変だ。
職員の人は気にした様子はなく、米を販売しているのはツェット商会だと教えてくれた。
「とんぼ返りだ!」
秋山さんがドヤ顔で宣言した。ドヤる場面じゃないと思うけど、行動としては同意だ。
商業ギルドを後にして、来た道を戻ってツェット商会に向かう。
「米、あるかな、米!米!コメコメ!」
秋山さんはメロディを付けて口ずさみ始めた。テンションが高い。
「秋山。気持ちは凄くわかるし、俺も似たようなものだけどさ。ちょっと食べ物の事に振り回されすぎてないか?」
「だって!米だぞ!ずっとずっとずっと食べてなかったんだぞ!食べたいじゃないか!食べた過ぎるじゃないか!」
振り向いた秋山さんの目が潤んでいた。
「‥‥それはわかる‥‥。だが、生産量が少ないし、今売っているか分からないって言ってたぞ。期待しすぎるとガッカリするぞ。」
「ううーん。デモデモダッテ。」
「お前の勢いだと、ツェット商会でも、店員に掴み掛かりそうじゃないか。店の外で待ってろよ。」
「やだよ!米の事を聞くんだ!この耳で!」
「じゃあ、絶対大人しくしてろよ。騒いだら売ってもらえなくなるかもしれないぞ。マヨとかも。」
「マヨ!マヨは困る!」
秋山さんがバッと、ツェット商会で購入したマヨネーズの瓶を入れた麻袋を両腕で抱え込んだ。米がないと秋山さんが落ち着かなそうだ。米、在ると良いんだけどなぁ。
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