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第3章

第128話 捜査範囲

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そもそも、殿下が寒さに我慢してるって環境、おかしいだろ。
トリー殿下を取り巻く環境にいつもモヤモヤする。行動は制限するのに、身の回りの世話とかの配慮は全然なさそうだ。
王宮事務はなにやってるんだ?仕事してないのかな。

もやっとしながらそんな事を考えていたけど、ペンダント事件の事を聞こうと思っていたんだった。
思い直して話題を振る。

「話は変わるけど、シュバルツ公爵のペンダント紛失の話って、1年の特進科でも話題になってるの?」
「ああ!あれ!」

エドワードは目を見開いた後、何か不愉快な事を思い出したのか眉を歪めた。
トリー殿下はキョトンとしている。知らされてないのかな。

「持ち物検査‥‥来てたよ。‥‥でね、僕はギリギリ捜査範囲からはずれたんだ。」
「捜査範囲?」

捜査範囲とはなんだ?というか、持ち物検査の対象でなくなったのに何故か怒ってる?。

「あの二年の特進科の生徒二人がやって来て、シュバルツ公爵令息の高価なペンダントが紛失したから所持品を改めるって言い出したんだ。
一人一人机の中やロッカーとか鞄を開けさせられてたんだよ。それでその調査に来た人が僕の前に来た時に、ベーレンドルフ伯爵令息が言ったんだよ。『彼は、まあいいでしょう。』って。そうしたら僕は荷物調査は免除になったんだ。」
「へえ‥‥。」
「もちろん殿下の周りに居た人達免除されてたよ。」

エドワードがちらりとトリー殿下の方を見た。トリー殿下はビックリした顔をした。

「そんな出来事があったなんて、僕全然知らなかった!」

やっぱり知らされてなかったのか。エドワードは軽く首を振って続けた。

「不愉快になるような事だから、トリー殿下は知らなくてよかったかも。何がむかつくってさぁ‥‥。
調査するかどうかの許可を!ベーレンドルフが!出してるってことだよ。何様なのあいつ!
盗難事件があったっている教室だって、うちの教室からは離れてるのに。疑いをもたれて手荷物を調査されるのもムカつくけど、100歩譲って荷物の開示を求められるのは許容するとしてもさ。トリー殿下の取り巻きだったら対象外とかさ。意味不明の基準作ってわけわからない!
そもそもあの人達、公爵令息の取り巻きで風紀委員でもないのになんなんだよ!!」

ぷくっと頬を膨らませた後、エドワードが俺達を見た。

「あいつらさ、公爵令息の婚約者の荷物まで調べたんだよ。ありえなくない?殿下の取り巻き免除して、婚約者の荷物をあらためるなんて。
やるならせめて公爵令息本人が来るべきじゃないかな。」

クラーラさんは淡々と荷物の開示には応じたそうだけど、服装の身体チェックは拒否したそうだ。というか、他の女生徒の身体チェックをしようとしたのを
クラーラさんが止めに入って、荷物開示を求められていた女生徒全員が賛同してブーイングとなったらしい。「痴漢行為に等しい」「正式な手続きを踏め」「風紀を呼んでこい。」どんどん口々に文句が上がって行って、その後ベーレンドルフ伯爵令息が止めにはいり、女生徒の身体チェックは中止となったそうだ。
またベーレンドルフ伯爵令息だ。
宰相子息ってそんなに実権握ってるの?
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