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第2章
第298話 救援の方針
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シャル叔父さんからナスタチウム辺境伯領に到着したという連絡が来た頃、
アンソラ男爵領からも情報が入ってきたらしい。
アンソラ男爵領の領都アンスに光水入りの栄養剤だとかの救援物資が届いて、アンスの感染症の患者さん達が回復傾向にあるそうだ。
北部のジランに向けても救援物資が送られているようだ。
ルシャル商会が運んだ物資は、ゲンティアナからの依頼ということが伝わっているらしくて、アンソラ男爵から父上にお礼の手紙が来たんだって。魔鷹便かな。
魔鷹便の魔鷹を見てみたいな。知らないと魔獣が襲ってきたのかと思って撃ち落としちゃいそうだし。
アンソラ男爵自身が感染症にかかったのかどうかは知らないけれど、連絡が来たってことは
今は大丈夫ってことなんだろうな。
光水入りの栄養剤が効いて回復しても、まだ川の水は毒で汚染されていそうだけど
原因がハッキリしたら元気になったアンソラ男爵領や辺境伯領の人達がなんとかできるかな。
辺境伯領についたシャル叔父さんは、兄上の予想通り、辺境伯様がいる領都じゃなくて、感染症が広がっているノドナスに直接向かうそうだ。
領都は大丈夫なのかな。
「毒探査」の魔道具だと、川とかが広範囲に毒で汚染されているような場所しかわからないからな。
殿下達が無事だと良いけど……。
あの、脳裏で見た光景のピンク髪の令嬢の住んでいた街はどこだったんだろう。
「ねえ。シャル叔父さんは、他の街も支援物資を届けに行ってくれるかな」
「毒探査」の魔道具を使った時に、ジランやノドナス以外で毒の反応があった川のあたりを
地図で眺めながら兄上に尋ねた。
「『あの栄養剤』の効果が出てきたら、ルシャル商会以外も動き出すんじゃないか?
感染症の対策がわかって、落ち着いてきたら、その地の領主が指示して動くもんだと思うよ」
「そうなの?」
「そうだよ。今は緊急そうだから現地に直接届けてもらっているけど、
感染症対策は、国かその地の領主がするもんだろうから、領主の意向とか関係なく他所の人間が動いていると怪しまれるかもしれないだろ」
板に羽根ペンで何か書いていた兄上は顔を上げてなんでもなさそうに言う。
「怪しまれちゃうのか……」
「そりゃそうだろ。もしも、家に
誰か病人がいて、他所の人が気がついて助けてくれたとして、
その時は助けてくれた人に感謝するとしても、その後もウロウロして世話を焼かれたら、ちょっとどうだろうって思わないか?」
「そうかも……。じゃあ、もうやることないかな……」
「いや、物資の原材料集めは必要だろう」
辺境伯様やアンソラ男爵が感染症対策の物資を運ぶとかの手配もするようになるなら
手伝えることは何もないかな、と思ったんだけど、兄上が首を横に振った。
「あの光水を使った栄養剤だとか、毒耐性の魔石だとか他の土地で手に入るのかわからないだろう?
毒だって分かってれば、解毒剤を試したりもするだろうけどさ。
ゲンティアナだって、毒対策をしないといけないし
他の領地に解毒剤を売るかもしれない。
だから毒耐性魔石集めは引き続きやらないと」
兄上はメモ書きした板を僕の方に見せた。
アンソラ男爵領からも情報が入ってきたらしい。
アンソラ男爵領の領都アンスに光水入りの栄養剤だとかの救援物資が届いて、アンスの感染症の患者さん達が回復傾向にあるそうだ。
北部のジランに向けても救援物資が送られているようだ。
ルシャル商会が運んだ物資は、ゲンティアナからの依頼ということが伝わっているらしくて、アンソラ男爵から父上にお礼の手紙が来たんだって。魔鷹便かな。
魔鷹便の魔鷹を見てみたいな。知らないと魔獣が襲ってきたのかと思って撃ち落としちゃいそうだし。
アンソラ男爵自身が感染症にかかったのかどうかは知らないけれど、連絡が来たってことは
今は大丈夫ってことなんだろうな。
光水入りの栄養剤が効いて回復しても、まだ川の水は毒で汚染されていそうだけど
原因がハッキリしたら元気になったアンソラ男爵領や辺境伯領の人達がなんとかできるかな。
辺境伯領についたシャル叔父さんは、兄上の予想通り、辺境伯様がいる領都じゃなくて、感染症が広がっているノドナスに直接向かうそうだ。
領都は大丈夫なのかな。
「毒探査」の魔道具だと、川とかが広範囲に毒で汚染されているような場所しかわからないからな。
殿下達が無事だと良いけど……。
あの、脳裏で見た光景のピンク髪の令嬢の住んでいた街はどこだったんだろう。
「ねえ。シャル叔父さんは、他の街も支援物資を届けに行ってくれるかな」
「毒探査」の魔道具を使った時に、ジランやノドナス以外で毒の反応があった川のあたりを
地図で眺めながら兄上に尋ねた。
「『あの栄養剤』の効果が出てきたら、ルシャル商会以外も動き出すんじゃないか?
感染症の対策がわかって、落ち着いてきたら、その地の領主が指示して動くもんだと思うよ」
「そうなの?」
「そうだよ。今は緊急そうだから現地に直接届けてもらっているけど、
感染症対策は、国かその地の領主がするもんだろうから、領主の意向とか関係なく他所の人間が動いていると怪しまれるかもしれないだろ」
板に羽根ペンで何か書いていた兄上は顔を上げてなんでもなさそうに言う。
「怪しまれちゃうのか……」
「そりゃそうだろ。もしも、家に
誰か病人がいて、他所の人が気がついて助けてくれたとして、
その時は助けてくれた人に感謝するとしても、その後もウロウロして世話を焼かれたら、ちょっとどうだろうって思わないか?」
「そうかも……。じゃあ、もうやることないかな……」
「いや、物資の原材料集めは必要だろう」
辺境伯様やアンソラ男爵が感染症対策の物資を運ぶとかの手配もするようになるなら
手伝えることは何もないかな、と思ったんだけど、兄上が首を横に振った。
「あの光水を使った栄養剤だとか、毒耐性の魔石だとか他の土地で手に入るのかわからないだろう?
毒だって分かってれば、解毒剤を試したりもするだろうけどさ。
ゲンティアナだって、毒対策をしないといけないし
他の領地に解毒剤を売るかもしれない。
だから毒耐性魔石集めは引き続きやらないと」
兄上はメモ書きした板を僕の方に見せた。
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