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第2章
第297話 改良はしないでおく
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「毒探査」の魔道具が取得した結果を兄上に見せたら、兄上はずーっと厳しい顔をして黙ったまま魔道具を見つめていた。
考え事でもしているのかなと思って、「収納」からコップを二つ出して、水魔法で氷を作って入れて水筒のお茶を注ぎ入れた。ジャックが作ってくれたクッキーを小さい皿に乗せて兄上の近くに置いた。
僕は自分の席に戻って、クッキーを一口齧った。
胡桃入りのサクサククッキーだ。軽い食感で美味しい。
兄上はお茶の入ったコップに手を伸ばして、こちらに目を向けた。
「……お茶ありがとう。……で……」
「で?」
「この表示している『毒』の表示基準はなんだ?森の奥には「呪いの毒」の元があるはずだろう?もっと毒だらけなはずなのに少ししか表示されていないよな。泉の近くを彷徨いている『呪いの毒』にやられた魔獣だとか、毒キノコなんかには反応しないのか?」
「んー……、点で指定したとこが外れたんじゃないかな……」
兄上が言うように、泉の近くとか毒の反応が出ていない。
「毒探査」って名前をつけちゃったけど、指定した範囲を全部探すようにはなってなかったんだよね。
毒鑑定する場所を一定間隔で移動させながら見てただけだから。
川の水が広範囲に毒に汚染されているような場所とかは、ほぼ全部「当たり」になるから毒がいっぱいみたいに表示されるんだ。
毒キノコがある場所が、ちょうど「点」の場所だったら「当たり」だけど、「点」の場所じゃなければ「ハズレ」だ。
……これだと毒があっても位置が外れちゃうと出ないね。
「もっと細かく確認点を移動させないと漏れが多そうだね……」
作り替えようかと思って、「毒探査」の魔道具に手を伸ばそうとしたら兄上に止められた。
「待て。精度を荒くても毒が集まって見える場所はやばいってわかるんだから、これはこれで良いと思うぞ」
「でも……」
「感染症の元になっている毒の場所を探すなら、この方がわかりやすいだろう」
確かに、細かく確認点を作っても、探す予定じゃなかった毒キノコだとか毒草とかの位置が出るだけかな。
毒の種類を指定して「呪いの毒」だけ探すとかができたらなぁ……。
「川で毒の反応があって、まだ流行病が伝わってきていない場所は調べてもらおう。
この結果の通りなのかどうか確認できるだろう。
……だから、これはもう充分。充分だからな?」
兄上が、改良するなって何度も念を押してくる。
ちょっと中途半端な出来な気がしているんだけど、「毒探査」の魔道具は、川が毒で汚染されている場所を見つけるのが目的だったから、一旦はこれで良いことにするかな。
「ああ、そうだシャル叔父さんはそろそろ辺境伯領だぞ」
「おお!」
シャル叔父さんはアンソラ男爵領に支援物資を届けたら、回復したかの確認とかはせずに辺境伯領に向かったって聞いた。
「シャル叔父さんは辺境伯様に会いに行ったりするのかな。殿下達が無事か聞けるかな」
「どうだろう……。ノドナスに直接届けに行くんじゃないかな」
「そうなの。領主に挨拶に行くものじゃないの?」
「シャル叔父さんは『商人』だからな」
貴族が他の領地を通る時は、その地の領主に挨拶に行くものだって聞いたことがあるけど、シャル叔父さんは「商人」として行動しているから、「貴族の習わし」とは違う行動をとるかもしれないようだ。
「……僕だったら、挨拶に行くとしても後からにするかもな」
「そうなの?」
「ノドナス用に用意したものを『領都で使う』とか言うかもしれないし……」
「そう?辺境伯領の領都がまだ感染してなかったら、そんなことないんじゃない?」
「殿下がいたら、万全にしようとするんじゃないかな」
「そうかあ……」
ゲンティアナを出る時に、王宮騎士は毒耐性の魔石のついた水瓶を沢山運んでいったから、騎士の人を含めて毒耐性はついているんじゃないかって思うけどな。
感染症は毒かまだはっきりされてないし心配だろうね。
考え事でもしているのかなと思って、「収納」からコップを二つ出して、水魔法で氷を作って入れて水筒のお茶を注ぎ入れた。ジャックが作ってくれたクッキーを小さい皿に乗せて兄上の近くに置いた。
僕は自分の席に戻って、クッキーを一口齧った。
胡桃入りのサクサククッキーだ。軽い食感で美味しい。
兄上はお茶の入ったコップに手を伸ばして、こちらに目を向けた。
「……お茶ありがとう。……で……」
「で?」
「この表示している『毒』の表示基準はなんだ?森の奥には「呪いの毒」の元があるはずだろう?もっと毒だらけなはずなのに少ししか表示されていないよな。泉の近くを彷徨いている『呪いの毒』にやられた魔獣だとか、毒キノコなんかには反応しないのか?」
「んー……、点で指定したとこが外れたんじゃないかな……」
兄上が言うように、泉の近くとか毒の反応が出ていない。
「毒探査」って名前をつけちゃったけど、指定した範囲を全部探すようにはなってなかったんだよね。
毒鑑定する場所を一定間隔で移動させながら見てただけだから。
川の水が広範囲に毒に汚染されているような場所とかは、ほぼ全部「当たり」になるから毒がいっぱいみたいに表示されるんだ。
毒キノコがある場所が、ちょうど「点」の場所だったら「当たり」だけど、「点」の場所じゃなければ「ハズレ」だ。
……これだと毒があっても位置が外れちゃうと出ないね。
「もっと細かく確認点を移動させないと漏れが多そうだね……」
作り替えようかと思って、「毒探査」の魔道具に手を伸ばそうとしたら兄上に止められた。
「待て。精度を荒くても毒が集まって見える場所はやばいってわかるんだから、これはこれで良いと思うぞ」
「でも……」
「感染症の元になっている毒の場所を探すなら、この方がわかりやすいだろう」
確かに、細かく確認点を作っても、探す予定じゃなかった毒キノコだとか毒草とかの位置が出るだけかな。
毒の種類を指定して「呪いの毒」だけ探すとかができたらなぁ……。
「川で毒の反応があって、まだ流行病が伝わってきていない場所は調べてもらおう。
この結果の通りなのかどうか確認できるだろう。
……だから、これはもう充分。充分だからな?」
兄上が、改良するなって何度も念を押してくる。
ちょっと中途半端な出来な気がしているんだけど、「毒探査」の魔道具は、川が毒で汚染されている場所を見つけるのが目的だったから、一旦はこれで良いことにするかな。
「ああ、そうだシャル叔父さんはそろそろ辺境伯領だぞ」
「おお!」
シャル叔父さんはアンソラ男爵領に支援物資を届けたら、回復したかの確認とかはせずに辺境伯領に向かったって聞いた。
「シャル叔父さんは辺境伯様に会いに行ったりするのかな。殿下達が無事か聞けるかな」
「どうだろう……。ノドナスに直接届けに行くんじゃないかな」
「そうなの。領主に挨拶に行くものじゃないの?」
「シャル叔父さんは『商人』だからな」
貴族が他の領地を通る時は、その地の領主に挨拶に行くものだって聞いたことがあるけど、シャル叔父さんは「商人」として行動しているから、「貴族の習わし」とは違う行動をとるかもしれないようだ。
「……僕だったら、挨拶に行くとしても後からにするかもな」
「そうなの?」
「ノドナス用に用意したものを『領都で使う』とか言うかもしれないし……」
「そう?辺境伯領の領都がまだ感染してなかったら、そんなことないんじゃない?」
「殿下がいたら、万全にしようとするんじゃないかな」
「そうかあ……」
ゲンティアナを出る時に、王宮騎士は毒耐性の魔石のついた水瓶を沢山運んでいったから、騎士の人を含めて毒耐性はついているんじゃないかって思うけどな。
感染症は毒かまだはっきりされてないし心配だろうね。
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