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第2章
第314話 追跡魔道具一号・二号君
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馬車のハーネスに転写した魔法陣が発した識別情報を検知して、位置情報を取得。
取得した位置情報から対象の「動く写し絵」を映し出すまで連続して動作するようになっている。
「わっ!」
「きゃっ!」
いきなり馬車がこっちに向かって突っ込んでくる様子が映し出されて、ちょっとびっくりしてしまった。
メイリもびっくりした声を上げた。
馬の顔が大写しになって、その後は誰もいない一本道。馬車のガタゴトと車輪が跳ねるような音と馬のパッカパッカって走る音が聞こえてくる。
「何だ?」
「どうしたの?」
「大丈夫か?」
父上と母様、兄上が心配した様子で近づいてきた。
「馬車の正面から写しちゃったみたい。大丈夫」
「お馬さんの顔がドーンってきて、ビックリしちゃった!」
僕とメイリの言葉に皆ホッとした様子だけど、まだ心配なのか僕の手元を覗き込んできた。
「今、何をしているんだ?」
何もない道が映っている表示ボードを見つめてから、目線を上げて父上が僕に尋ねた。
「馬車のハーネスに識別情報を付与してみたんだよ。識別情報から位置情報を取得して、その位置を写し出したんだけど、馬車の正面だったからこっちに向かってきて通り過ぎていっちゃったんだ」
「それは……、対象を、馬車を追尾することに成功したということか」
「成功、なのかな?もう一度、やってみるね!」
もう一度、識別情報から位置を取得して表示する処理を実行した。
カッポカッポカッポカッポ
表示ボードの中を馬車が通り過ぎる。そして何もない平原と馬の足音と馬車の走る音だけが続いた。
「通り過ぎちゃったな」
「……近すぎるんじゃないかしら?」
「表示する角度はランダムなの?」
「馬車は追跡できてるってこと?」
皆が口々にいろんなことを言う。
近すぎるのは対象を写し出す距離を指定していなかったからか。
指定すれば良いかな。とりあえず、近距離、中距離、遠距離の三段階で指定できるようにして、最初は中距離指定でそこそこ離れた位置にしておこう。
角度はどうしようかな。位置情報だけでは対象がどこに向かっているかわからないから、正面にきちゃったり、すぐ通り過ぎちゃったりってことになるんだよね。
位置情報を二回連続で取得すれば、その時点で向かっている方角が取得できるかな。
それと、相手は移動しているから、位置情報を取得し続けないと、すぐ見えなくなっちゃうよね。
「……馬車の位置がわかるようになったなら、こっちで追いかけなくても良い?」
兄上が、馬車を追いかけていた魔道具を指し示した。とりあえず「追跡魔道具一号君」って名前にしておこうかな。
正確には追跡する機能はなくて、人が位置を指定して追跡してたんだけど。
追跡する道具として使っていたからね。
「それなら、こちらの魔道具の映像を壁に映せないかしら?」
「追跡魔道具一号君」が「動く写し絵」を写し出している壁にチラリと目を向けて母様が言った。
「映せるよ」
僕の手元の表示ボードで表示していた絵の方を壁に写し出すことにした。
「追跡魔道具二号君」って呼ぼう。
取得した位置情報から対象の「動く写し絵」を映し出すまで連続して動作するようになっている。
「わっ!」
「きゃっ!」
いきなり馬車がこっちに向かって突っ込んでくる様子が映し出されて、ちょっとびっくりしてしまった。
メイリもびっくりした声を上げた。
馬の顔が大写しになって、その後は誰もいない一本道。馬車のガタゴトと車輪が跳ねるような音と馬のパッカパッカって走る音が聞こえてくる。
「何だ?」
「どうしたの?」
「大丈夫か?」
父上と母様、兄上が心配した様子で近づいてきた。
「馬車の正面から写しちゃったみたい。大丈夫」
「お馬さんの顔がドーンってきて、ビックリしちゃった!」
僕とメイリの言葉に皆ホッとした様子だけど、まだ心配なのか僕の手元を覗き込んできた。
「今、何をしているんだ?」
何もない道が映っている表示ボードを見つめてから、目線を上げて父上が僕に尋ねた。
「馬車のハーネスに識別情報を付与してみたんだよ。識別情報から位置情報を取得して、その位置を写し出したんだけど、馬車の正面だったからこっちに向かってきて通り過ぎていっちゃったんだ」
「それは……、対象を、馬車を追尾することに成功したということか」
「成功、なのかな?もう一度、やってみるね!」
もう一度、識別情報から位置を取得して表示する処理を実行した。
カッポカッポカッポカッポ
表示ボードの中を馬車が通り過ぎる。そして何もない平原と馬の足音と馬車の走る音だけが続いた。
「通り過ぎちゃったな」
「……近すぎるんじゃないかしら?」
「表示する角度はランダムなの?」
「馬車は追跡できてるってこと?」
皆が口々にいろんなことを言う。
近すぎるのは対象を写し出す距離を指定していなかったからか。
指定すれば良いかな。とりあえず、近距離、中距離、遠距離の三段階で指定できるようにして、最初は中距離指定でそこそこ離れた位置にしておこう。
角度はどうしようかな。位置情報だけでは対象がどこに向かっているかわからないから、正面にきちゃったり、すぐ通り過ぎちゃったりってことになるんだよね。
位置情報を二回連続で取得すれば、その時点で向かっている方角が取得できるかな。
それと、相手は移動しているから、位置情報を取得し続けないと、すぐ見えなくなっちゃうよね。
「……馬車の位置がわかるようになったなら、こっちで追いかけなくても良い?」
兄上が、馬車を追いかけていた魔道具を指し示した。とりあえず「追跡魔道具一号君」って名前にしておこうかな。
正確には追跡する機能はなくて、人が位置を指定して追跡してたんだけど。
追跡する道具として使っていたからね。
「それなら、こちらの魔道具の映像を壁に映せないかしら?」
「追跡魔道具一号君」が「動く写し絵」を写し出している壁にチラリと目を向けて母様が言った。
「映せるよ」
僕の手元の表示ボードで表示していた絵の方を壁に写し出すことにした。
「追跡魔道具二号君」って呼ぼう。
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