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第2章
第316話 地図との照らし合わせ
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ネロ君の様子を見て作業が中断しちゃったけど、正面からの「動く写し絵」も相手の顔色や表情がわかるから、あった方が良いと気がついた。移動している方角に合わせて、正面と後ろからの表示にする?
どうせなら、左右も表示しよう。
魔石を追加して対象の前後左右からの様子を写した四枚の「動く写し絵」を作り出す。
「追跡魔道具二号君」が取得した「動く写し絵」を表示している壁とは別の壁に、
表示を四つに分割して前後左右の角度から写した様子を表示する。
一秒置きに位置情報を取得し直すから、何も操作しなくても馬車が表示し続けるようになった。
「え?四分割になってる!」
「もう作り替えたの?」
「わぁ、すごーい!」
母様と兄上、メイリが「追跡魔道具三号君」が表示した「動く写し絵」を見て感心した声を上げた。
良かった。喜んでくれたようだ。
「全自動で追尾できるようになったんだね。それならこっちの映像だけで良いよね」
「追跡魔道具三号君」の「動く写し絵」を暫く眺めてから、兄上は「追跡魔道具二号君」を操作するのをやめて、どうやって表示しないようにするのかを僕に訊いてきた。
「追跡魔道具二号君」の終了操作を兄上の目の前でやってみせる。基本的に「追跡魔道具三号君」も使用終了の操作方法は同じだから、母様やメイリにも口頭で終了の仕方を伝えた。
四分割の画面を眺めていたメイリが口を開いた。
「このまま何もしなくても追いかけていられるなら、ずっとここで見ていなくても良いんじゃない?」
「馬車はそうだろうけど、人は馬車から降りちゃったらどこにいるか分からないんじゃないか?
目を離した隙に村とか街に到着して馬車をおりちゃうとかありえるだろ」
メイリは馬車が走っている様子を眺めているのに飽きたのかもしれない。識別情報で位置を見つけることができるなら、見ていなくても後から識別情報で探すことができると考えたようだ。でも、兄上が言う通り、黒ローブ達が馬車を降りちゃったら、分からなくなっちゃうんだよね。
「そうね……。どこかの村や街とかに到着したら馬車を降りちゃうかもしれないのね。……今はどこに向かっているのかしら。
道の先に村や街はある?」
「位置情報からすると……」
馬車の位置を確認して「位置表示」の魔道具で位置を確認する。川からは離れて東に向かって行っているようだ。
皆が見やすいように「位置表示」の魔道具の表示部分も壁に表示するように切り替えた。
「位置表示」の魔道具は、地図と照合させているわけじゃないから地名とかはでない。でも形状を取得して表示するようになっているから
川の位置、森の位置、建物が集まっているような場所は分かるようになっている。
馬車の位置から少し離れた場所に、集落っぽいものがあった。
「……これは、村かな?」
「そうかもしれないわね。アンソラの中央街道付近だとすると……」
母様が、「収納」から巻物のようなものを取り出した。クルクルと広げられたものは手描きの地図のようだ。
緩やかに歪んだ太い線は左斜め上から下に降りて途中で曲がって、右の方に続いている。その線沿いに丸印が描かれ、地名のようなものが添えられている。上の方に矢印があって「アンス」と記載されていた。
左下の方からも線が出ていて中央の少し右あたりで太い線と繋がっている。左端に小さく矢印があって「ゲンティアナ」と言う記載があった。
どうせなら、左右も表示しよう。
魔石を追加して対象の前後左右からの様子を写した四枚の「動く写し絵」を作り出す。
「追跡魔道具二号君」が取得した「動く写し絵」を表示している壁とは別の壁に、
表示を四つに分割して前後左右の角度から写した様子を表示する。
一秒置きに位置情報を取得し直すから、何も操作しなくても馬車が表示し続けるようになった。
「え?四分割になってる!」
「もう作り替えたの?」
「わぁ、すごーい!」
母様と兄上、メイリが「追跡魔道具三号君」が表示した「動く写し絵」を見て感心した声を上げた。
良かった。喜んでくれたようだ。
「全自動で追尾できるようになったんだね。それならこっちの映像だけで良いよね」
「追跡魔道具三号君」の「動く写し絵」を暫く眺めてから、兄上は「追跡魔道具二号君」を操作するのをやめて、どうやって表示しないようにするのかを僕に訊いてきた。
「追跡魔道具二号君」の終了操作を兄上の目の前でやってみせる。基本的に「追跡魔道具三号君」も使用終了の操作方法は同じだから、母様やメイリにも口頭で終了の仕方を伝えた。
四分割の画面を眺めていたメイリが口を開いた。
「このまま何もしなくても追いかけていられるなら、ずっとここで見ていなくても良いんじゃない?」
「馬車はそうだろうけど、人は馬車から降りちゃったらどこにいるか分からないんじゃないか?
目を離した隙に村とか街に到着して馬車をおりちゃうとかありえるだろ」
メイリは馬車が走っている様子を眺めているのに飽きたのかもしれない。識別情報で位置を見つけることができるなら、見ていなくても後から識別情報で探すことができると考えたようだ。でも、兄上が言う通り、黒ローブ達が馬車を降りちゃったら、分からなくなっちゃうんだよね。
「そうね……。どこかの村や街とかに到着したら馬車を降りちゃうかもしれないのね。……今はどこに向かっているのかしら。
道の先に村や街はある?」
「位置情報からすると……」
馬車の位置を確認して「位置表示」の魔道具で位置を確認する。川からは離れて東に向かって行っているようだ。
皆が見やすいように「位置表示」の魔道具の表示部分も壁に表示するように切り替えた。
「位置表示」の魔道具は、地図と照合させているわけじゃないから地名とかはでない。でも形状を取得して表示するようになっているから
川の位置、森の位置、建物が集まっているような場所は分かるようになっている。
馬車の位置から少し離れた場所に、集落っぽいものがあった。
「……これは、村かな?」
「そうかもしれないわね。アンソラの中央街道付近だとすると……」
母様が、「収納」から巻物のようなものを取り出した。クルクルと広げられたものは手描きの地図のようだ。
緩やかに歪んだ太い線は左斜め上から下に降りて途中で曲がって、右の方に続いている。その線沿いに丸印が描かれ、地名のようなものが添えられている。上の方に矢印があって「アンス」と記載されていた。
左下の方からも線が出ていて中央の少し右あたりで太い線と繋がっている。左端に小さく矢印があって「ゲンティアナ」と言う記載があった。
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