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第2章
第317話 地名の確認
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アンソラ男爵領の一部の地図らしい。
兄上が地図を覗き込んで、指で指し示した。
「この線が、アンソラの中央街道?」
「そうよ。この下の線が南街道ね。中央街道の真ん中あたりだとすると、この辺り……。『デイン』という街があるけれど、『デイン』の北の方に、『ジロス』という村もあるわね。向かっているのは、この辺じゃないかしら」
母様は兄上の質問に答えながら、馬車の位置を推測する。
「馬車が通っているのが中央街道ってこと?」
「いいえ、周りに何もない細い道だから地図には載っていない道だと思うわ」
壁に表示した「位置表示」の魔道具が示す馬車の位置と手元の巻物の地図を交互に見ながら母様が言う。
「位置表示」の魔道具は、道まで表示していないんだよね。風魔法で土地の形状を取得しているけど、平原の中に草がない場所みたいなものまでは検知できていないんだ。
なんとかしたいなぁ……。
「北の方から来るのなら、ジロス村の方が近いんじゃない?」
「小さい村だと他所から人が来ると注目されるわ。もし身を隠したいなら街に向かうんじゃないかしら」
兄上と母様は、馬車がジロス村かデインと言う街に向かうんじゃないかと予想を立てているようだ。
「位置表示」の魔道具で表示している馬車の位置はさっき僕が入力した場所だ、もう一度馬車の位置を取り直したら、向かっている方角がわかるかな。
……位置情報は一秒置きに取得しているんだから、連動して表示した方が便利だよね。
必要な情報はもう取得できているのだから、「追跡魔道具三号君」で取得した位置情報を「位置表示」魔道具で周期的に表示するようにするだけだ。
魔導ワイヤーで魔法陣の線を繋いで、周期的に再表示するように設定を加える。
「あ!馬車の点が動いてる?」
先程表示していた時と馬車の点の位置が変わった。それと少しずつだけど馬車の位置を示している点が移動しているのがわかる。
兄上や母上が「位置表示」魔道具が表示している様子を見ている間に、「追跡魔道具一号君」を手に取った。表示先を手元の表示ボードに変えてから、「位置表示」魔道具が表示している集落の位置を指定する。
ロバが荷車を引いている光景が見えた。まばらに建つ小さい家。開けた場所があり奥の方に人が集まっているのが見える。
少し位置を変えて、人が集まっている場所に近づけた。
『干し魚はないの?』
『今、魚はやめた方が良いって噂っスよ。アンスの流行病は魚と川の水から広がったって話で』
『まあ、怖い!その干し肉は大丈夫なの?』
『アンスやジランからは離れた場所で狩った魔獣の肉っスからね』
屋台で行商をしている人のところに、買い物しに人が集まってきているようだった。流行病の噂が広がっているんだな。
『ジロス村は川から離れててよかったっスね』
『アンスを通らない川も危ないの?』
『さあ。分からないところには近寄らないっス。ジロス村に行商に来たのも川から遠い場所だったからっス』
今表示している場所は「ジロス村」と言う場所で間違いないようだ。位置情報と村の名前をメモして、次の集落を見に行こう。
兄上が地図を覗き込んで、指で指し示した。
「この線が、アンソラの中央街道?」
「そうよ。この下の線が南街道ね。中央街道の真ん中あたりだとすると、この辺り……。『デイン』という街があるけれど、『デイン』の北の方に、『ジロス』という村もあるわね。向かっているのは、この辺じゃないかしら」
母様は兄上の質問に答えながら、馬車の位置を推測する。
「馬車が通っているのが中央街道ってこと?」
「いいえ、周りに何もない細い道だから地図には載っていない道だと思うわ」
壁に表示した「位置表示」の魔道具が示す馬車の位置と手元の巻物の地図を交互に見ながら母様が言う。
「位置表示」の魔道具は、道まで表示していないんだよね。風魔法で土地の形状を取得しているけど、平原の中に草がない場所みたいなものまでは検知できていないんだ。
なんとかしたいなぁ……。
「北の方から来るのなら、ジロス村の方が近いんじゃない?」
「小さい村だと他所から人が来ると注目されるわ。もし身を隠したいなら街に向かうんじゃないかしら」
兄上と母様は、馬車がジロス村かデインと言う街に向かうんじゃないかと予想を立てているようだ。
「位置表示」の魔道具で表示している馬車の位置はさっき僕が入力した場所だ、もう一度馬車の位置を取り直したら、向かっている方角がわかるかな。
……位置情報は一秒置きに取得しているんだから、連動して表示した方が便利だよね。
必要な情報はもう取得できているのだから、「追跡魔道具三号君」で取得した位置情報を「位置表示」魔道具で周期的に表示するようにするだけだ。
魔導ワイヤーで魔法陣の線を繋いで、周期的に再表示するように設定を加える。
「あ!馬車の点が動いてる?」
先程表示していた時と馬車の点の位置が変わった。それと少しずつだけど馬車の位置を示している点が移動しているのがわかる。
兄上や母上が「位置表示」魔道具が表示している様子を見ている間に、「追跡魔道具一号君」を手に取った。表示先を手元の表示ボードに変えてから、「位置表示」魔道具が表示している集落の位置を指定する。
ロバが荷車を引いている光景が見えた。まばらに建つ小さい家。開けた場所があり奥の方に人が集まっているのが見える。
少し位置を変えて、人が集まっている場所に近づけた。
『干し魚はないの?』
『今、魚はやめた方が良いって噂っスよ。アンスの流行病は魚と川の水から広がったって話で』
『まあ、怖い!その干し肉は大丈夫なの?』
『アンスやジランからは離れた場所で狩った魔獣の肉っスからね』
屋台で行商をしている人のところに、買い物しに人が集まってきているようだった。流行病の噂が広がっているんだな。
『ジロス村は川から離れててよかったっスね』
『アンスを通らない川も危ないの?』
『さあ。分からないところには近寄らないっス。ジロス村に行商に来たのも川から遠い場所だったからっス』
今表示している場所は「ジロス村」と言う場所で間違いないようだ。位置情報と村の名前をメモして、次の集落を見に行こう。
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