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第2章
第318話 落ち着かないらしい
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「ちょっ……。何か話し声が聞こえたけど、クリスは何を見てるんだ?」
次の集落の位置情報を入力していたら兄上が僕の手元の表示ボードを気にし始めた。音は小さくしていたんだけどうるさかったかな。
「集落の名前を確認しようと思って」
「え?」
「見に行けば、場所の名前がわかるかなって」
表示ボードに石造の街壁らしきものが表示された。壁に沿って位置を変えていくと門があって、門の側で旗が風に靡いていた。
『アンソラ男爵領 デイン』
旗に文字が見える。この街がデインという街のようだ。
「大きい集落の方がデインだったよ」
「……そ、そうか……。で、その情報をどうするんだ?」
「え?えーと……」
「位置表示」の魔道具で対象の位置はわかるのに、山とか川が近くにないと、位置が分かりにくいのをなんとかしたかったんだよね。
「小さい集落がジロス村」「大きい集落がデイン」って指し示して教えてあげられればと思ったんだけど
パッと見てわかった方が良いか。
位置情報と街や村の名前を紐付けた情報を魔石に記録して、「位置表示」の魔道具に連動させたらその位置に村や街の名前が
表示されるようにしよう。村や街は移動しないから、固定の情報を記録する魔石を用意しておいて、表示する時にその情報を読み込めば
良い。
「あ、文字が出たわ!」
「位置表示」の魔道具の表示をし直したら、メイリが声を上げた。
「『ジロス』と『デイン』て書いてあるわね!」
メイリは嬉しそうだ。でも兄上は何だか複雑そうな顔をしている。
母様は「まあ」とちょっと目を見開いた。驚いたのかな。
「……次から次へと、いとも簡単に作るんだな……」
兄上は目を細めて、溜息をついた。ええ?簡単じゃないよ?
「簡単じゃないよ。集落の位置を一つづつ指定して、住民の人達の会話とか聞いて、土地の名前を調べたりするんだよ。
門に街の名前とか書いてあるところは簡単かもしれないけど、集落は沢山あるし」
「いや、全部の集落の名前を確認するつもりか?それ、今、必要?」
「ええ?ジロスとデインだけじゃ、中途半端じゃない?」
「位置表示」の魔道具が使いやすいものになったら良いと思っているんだけど、
兄上の考えと違うみたいだ。
「……今は馬車の行方を追うことが大事だろう?」
「馬車の位置はちゃんとわかるようになっているよ?」
僕はチラリと壁の方に目を向けた。馬車の位置を表す点はジロス村より西側を通過して、デインに向かっているようだった。
「まあ……、後を追えるようにはなっているけど……」
ボソボソと兄上が口ごもる。
「クリス兄様。ローレン兄様はきっと一緒の馬車を追いかけたかったのよ」
壁を眺めていたメイリが顔をこちらに向けた。兄上はピクリと眉を動かした。
「そうなの?」
訊ねると兄上はふぅと息を吐く。
「うーん……。というか、馬車に集中している間にちょっとクリスから目を離すと、新しい事始めてるからさ……。
見てないと何するか分からないし……。落ち着かない!」
「落ち着かない」のところだけ兄上の口調が強くなった。落ち着かないらしい。
次の集落の位置情報を入力していたら兄上が僕の手元の表示ボードを気にし始めた。音は小さくしていたんだけどうるさかったかな。
「集落の名前を確認しようと思って」
「え?」
「見に行けば、場所の名前がわかるかなって」
表示ボードに石造の街壁らしきものが表示された。壁に沿って位置を変えていくと門があって、門の側で旗が風に靡いていた。
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旗に文字が見える。この街がデインという街のようだ。
「大きい集落の方がデインだったよ」
「……そ、そうか……。で、その情報をどうするんだ?」
「え?えーと……」
「位置表示」の魔道具で対象の位置はわかるのに、山とか川が近くにないと、位置が分かりにくいのをなんとかしたかったんだよね。
「小さい集落がジロス村」「大きい集落がデイン」って指し示して教えてあげられればと思ったんだけど
パッと見てわかった方が良いか。
位置情報と街や村の名前を紐付けた情報を魔石に記録して、「位置表示」の魔道具に連動させたらその位置に村や街の名前が
表示されるようにしよう。村や街は移動しないから、固定の情報を記録する魔石を用意しておいて、表示する時にその情報を読み込めば
良い。
「あ、文字が出たわ!」
「位置表示」の魔道具の表示をし直したら、メイリが声を上げた。
「『ジロス』と『デイン』て書いてあるわね!」
メイリは嬉しそうだ。でも兄上は何だか複雑そうな顔をしている。
母様は「まあ」とちょっと目を見開いた。驚いたのかな。
「……次から次へと、いとも簡単に作るんだな……」
兄上は目を細めて、溜息をついた。ええ?簡単じゃないよ?
「簡単じゃないよ。集落の位置を一つづつ指定して、住民の人達の会話とか聞いて、土地の名前を調べたりするんだよ。
門に街の名前とか書いてあるところは簡単かもしれないけど、集落は沢山あるし」
「いや、全部の集落の名前を確認するつもりか?それ、今、必要?」
「ええ?ジロスとデインだけじゃ、中途半端じゃない?」
「位置表示」の魔道具が使いやすいものになったら良いと思っているんだけど、
兄上の考えと違うみたいだ。
「……今は馬車の行方を追うことが大事だろう?」
「馬車の位置はちゃんとわかるようになっているよ?」
僕はチラリと壁の方に目を向けた。馬車の位置を表す点はジロス村より西側を通過して、デインに向かっているようだった。
「まあ……、後を追えるようにはなっているけど……」
ボソボソと兄上が口ごもる。
「クリス兄様。ローレン兄様はきっと一緒の馬車を追いかけたかったのよ」
壁を眺めていたメイリが顔をこちらに向けた。兄上はピクリと眉を動かした。
「そうなの?」
訊ねると兄上はふぅと息を吐く。
「うーん……。というか、馬車に集中している間にちょっとクリスから目を離すと、新しい事始めてるからさ……。
見てないと何するか分からないし……。落ち着かない!」
「落ち着かない」のところだけ兄上の口調が強くなった。落ち着かないらしい。
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