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第2章
第328話 浮遊
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周辺の魔力を確認すると、あまり強そうではないけど、木の上は藪の陰とかに魔獣が隠れているようだったので、はやる気持ちを抑えて警戒しながらフユウモモンガが落ちて行った方に進んだ。
ガサっと薮をかき分けると、また魔法陣が浮かび上がる。
シュッと木の枝から飛び立つフユウモモンガ。先程より飛ぶ速度が早い、魔法陣もちょっと違っている。
遠くに逃げ切らないうちに、螺旋の風で飛行を妨害してから、風刃で切り裂いた。
落ちて行ったフユウモモンガを追う途中で、ボブが仕留めた方のフユウモモンガが転がっていたが見えたので、「解体」のナイフで突いてみたら、緑色の魔石が転がった。
「風魔石なのか」
兄上とボブの方を振り返り、フユウモモンガは僕が回収しておくことを知らせる。取り出した魔石とフユウモモンガの遺骸を「収納」に入れてから、風刃で倒した方のフユウモモンガも回収しに行った。
もう一匹のフユウモモンガの魔石も風魔石だった。あの変な飛び方をする魔法は、風魔法のようだ。
ツノヒカリトカゲの魔石は、かなり小さいけど乳白色の光魔石だった。近くに何匹か隠れていたので、手分けして狩った。
木の枝の陰とかに隠れているのに、風魔法とかで刺激を与えると、ポゥッとツノが光る。周辺に弱い勢いで風魔法で風を起こすと、光って居場所を教えてくれるので、結構楽に狩ることができた。
更に進んでいった先で、乳白色の魔石を持った白蛇魔獣も見つけることができたので、順調に魔石を集めることが出来た。
屋敷に戻ってから、フユウモモンガの魔法を試してみた。風魔法だったら、僕も出来るんじゃないかと思ったんだ。
「おぉ!?」
グーンと片足の足裏から突き上げられて、思わず転びそうになる。もう一回やってみたら、今度は、錐揉み飛行したモモンガみたいになった。
「何やってんだ?」
訓練場の入り口で兄上が腕組みして立っている。僕の様子を見に来たらしい。
「フユウモモンガが使っていた魔法って、風魔法だったみたいだから、僕にもできないかなと思って」
「……面白そうではあるけど……。失敗すると怪我するぞ」
「飛べたらさあ、早く移動できそうじゃない?黒ローブのところにだって、ひとっ飛びで」
「クリスが行くのは危険だろう」
兄上が、キッと鋭い目つきになって、駆け寄ってきたと思ったら、僕の腕を掴んだ。
「やめとけ」
「ええ?」
「悪い奴らのところに、飛んで行こうとかするのはダメだ」
「でも、早く移動できたら、黒ローブを捕まえられるのに……」
「クリス一人が飛んで行けるようになったとしても、一人で行かせられないだろう。それならパラ……、んんっ……。他の人が使っても飛んで行けるような魔道具の方が良いよ」
「魔道具かぁ」
兄上は、僕が一人で黒ローブのところに向かうことを心配しているみたいだ。言われてみると、確かにゲンティアナの騎士とかが飛んで移動できるような魔道具を作った方が良い気がしてきた。
「いや……。作れとか言ってないぞ」
「でも、ゲンティアナの騎士が飛んで移動できたら、凄いよね」
「そう……。だけども……。いや、飛んだら目立つだろう」
目立たないで移動って考えた時、ネロ君が使っていた魔法を思い出した。夜に黒い影みたいなのに隠れて飛んだら、目立たないんじゃない?
「魔石は一つ持っていたはずだよ」
「モワモワってなるやつ」
僕は「収納」から闇魔石を取り出して兄上に見せた。
「黒い魔石って、闇魔石か……」
「そう。これで、モワモワって姿を見えにくくしたら目立たないんじゃない?」
「忍びか……」
「しのび?」
「いや、何か凄い特殊部隊が出来そうだな……」
僕が勝手に飛んで黒ローブを捕まえに行ったりしないって約束をして、兄上と一緒に、空を飛ぶための魔道具を作ることになった。
ガサっと薮をかき分けると、また魔法陣が浮かび上がる。
シュッと木の枝から飛び立つフユウモモンガ。先程より飛ぶ速度が早い、魔法陣もちょっと違っている。
遠くに逃げ切らないうちに、螺旋の風で飛行を妨害してから、風刃で切り裂いた。
落ちて行ったフユウモモンガを追う途中で、ボブが仕留めた方のフユウモモンガが転がっていたが見えたので、「解体」のナイフで突いてみたら、緑色の魔石が転がった。
「風魔石なのか」
兄上とボブの方を振り返り、フユウモモンガは僕が回収しておくことを知らせる。取り出した魔石とフユウモモンガの遺骸を「収納」に入れてから、風刃で倒した方のフユウモモンガも回収しに行った。
もう一匹のフユウモモンガの魔石も風魔石だった。あの変な飛び方をする魔法は、風魔法のようだ。
ツノヒカリトカゲの魔石は、かなり小さいけど乳白色の光魔石だった。近くに何匹か隠れていたので、手分けして狩った。
木の枝の陰とかに隠れているのに、風魔法とかで刺激を与えると、ポゥッとツノが光る。周辺に弱い勢いで風魔法で風を起こすと、光って居場所を教えてくれるので、結構楽に狩ることができた。
更に進んでいった先で、乳白色の魔石を持った白蛇魔獣も見つけることができたので、順調に魔石を集めることが出来た。
屋敷に戻ってから、フユウモモンガの魔法を試してみた。風魔法だったら、僕も出来るんじゃないかと思ったんだ。
「おぉ!?」
グーンと片足の足裏から突き上げられて、思わず転びそうになる。もう一回やってみたら、今度は、錐揉み飛行したモモンガみたいになった。
「何やってんだ?」
訓練場の入り口で兄上が腕組みして立っている。僕の様子を見に来たらしい。
「フユウモモンガが使っていた魔法って、風魔法だったみたいだから、僕にもできないかなと思って」
「……面白そうではあるけど……。失敗すると怪我するぞ」
「飛べたらさあ、早く移動できそうじゃない?黒ローブのところにだって、ひとっ飛びで」
「クリスが行くのは危険だろう」
兄上が、キッと鋭い目つきになって、駆け寄ってきたと思ったら、僕の腕を掴んだ。
「やめとけ」
「ええ?」
「悪い奴らのところに、飛んで行こうとかするのはダメだ」
「でも、早く移動できたら、黒ローブを捕まえられるのに……」
「クリス一人が飛んで行けるようになったとしても、一人で行かせられないだろう。それならパラ……、んんっ……。他の人が使っても飛んで行けるような魔道具の方が良いよ」
「魔道具かぁ」
兄上は、僕が一人で黒ローブのところに向かうことを心配しているみたいだ。言われてみると、確かにゲンティアナの騎士とかが飛んで移動できるような魔道具を作った方が良い気がしてきた。
「いや……。作れとか言ってないぞ」
「でも、ゲンティアナの騎士が飛んで移動できたら、凄いよね」
「そう……。だけども……。いや、飛んだら目立つだろう」
目立たないで移動って考えた時、ネロ君が使っていた魔法を思い出した。夜に黒い影みたいなのに隠れて飛んだら、目立たないんじゃない?
「魔石は一つ持っていたはずだよ」
「モワモワってなるやつ」
僕は「収納」から闇魔石を取り出して兄上に見せた。
「黒い魔石って、闇魔石か……」
「そう。これで、モワモワって姿を見えにくくしたら目立たないんじゃない?」
「忍びか……」
「しのび?」
「いや、何か凄い特殊部隊が出来そうだな……」
僕が勝手に飛んで黒ローブを捕まえに行ったりしないって約束をして、兄上と一緒に、空を飛ぶための魔道具を作ることになった。
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