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第1章
第17話 帰り道は危険?
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並んでいる馬車もちょっと豪奢だったり、ゴツかったりして、行商人とかが乗ってくる荷馬車とかとは違う。
「ねえ……。あなた達の家は、その先のお屋敷かしら。」
レオノールさんが馬車の列を眺めて言った。
「はい。」
「……ゲンティアナ男爵のご子息なの?」
「「はい。」」
レオノールさんは、一瞬だけ間を置いて、僕達の家の事を聞いてきた。僕と兄上は同時に返事をした。
「ええ!?」
ジャンさんが驚いた声を上げる。
「ワンチャン、狩猟担当の子かと!それか護衛騎士の子とか……っ!」
「ジャン、男爵令息に対して無礼になるわよ。」
レオノールさんがピシャリと言う。そしてちょっと首を傾げた。
「……まあ、私も男爵家の御令息がまだ幼いのにお供もつけずに狩りをしているわけはないんじゃないかって考えが何度かよぎったわ。」
僕達が品がないとか庶民的すぎたから、貴族令息だと思わなかったのかと思ったらそもそも護衛をつけずに狩りに行くと言うのがあり得ないって考えだったのか。
「弱い魔獣のいるところしか行かないですよ。」
「そうじゃないのよ。さっきだって、後を尾けられていたでしょう?」
「……普段は、地元の人しかいないんです……。」
兄上が渋い顔をして唇を歪めた。
兄上も僕と同じで自由にうろつきたい派だ。母様を説得してなんとか二人で狩りに出られる許可が出たのに、他所の人が来て僕達の行動が制限されるのは嫌だなぁ。
「……まあ、気をつけることね。今日みたいなことがあるってことは頭の隅にでも入れておいたほうが良いわ。
……それで……私達が誰の護衛で来たのかも、最初から知っていたのかしら。」
レオノールさんは僕達の考えを読もうとするかのように、少し身を屈めて僕達の顔を覗き込んだ。紫色の瞳がチリチリと何か圧をかけてくるみたいだ。
ヒンヤリして触れたら痛そうなドライアイスみたいな……。ドライアイス?
瞬きをして圧を跳ね除けようとしている間に、兄上が口を開いた。
「いいえ。辺境伯様がいらっしゃる予定だったのが、何組か追加になったと昼に先触れがあったと聞いただけです。」
「まあ……、その先触れもどうかと思うわね……。」
スッと、レオノールさんからの圧が引いた。
「……田舎貴族だからって舐められてるんですよ。」
兄上が突然毒付いた。目を細めて不機嫌そうな顔をしている。
「あら……。否定しにくいわね……。その先触れを送ったのはこちらの部隊ではないと思うけれど。
こちらから先触れを出す時はちゃんと必要な情報を開示するように伝えておくわ。……急に来られたら大変よね。」
レオノールさんは馬車の列の先の屋敷の方に目を向けて言った。
ああ、辺境伯様より偉い人が突然来たんだったら今頃屋敷の中は大慌てかもしれない。
「……ねえ、兄上。母様達、困ってないかな。」
「そうだな。急いで帰ろう。」
兄上がくるりとレオノールさん達の方に向き直ったので、僕もそれに習う。
ぺこりと兄上と一緒にお辞儀をする。
「送っていただきありがとうございます!もう大丈夫ですのでここで失礼します。」
「あっ…!ちょっと……!」
レオノールさんが何か呼び止めていたけれど、母様のことが心配だ。父上は朝は出かけてた気がするけどもう屋敷に戻ってきてるのだろうか。
元々辺境伯様が到着するのが夕方って話だったけど、まだ日が明るい。
到着が予定より早まったのなら、父上はまだ戻ってきていないかもしれない。
兄上と一緒に馬車が並んでいる坂道を駆け上がる。馬車が10台以上並んでいるんだけど、まさか全員うちに泊まる予定なのかな。
お客様の数が多い時は僕達は離れで過ごしたりしているけど、離れも提供しないと泊まれないんじゃない?
そんなことを考えながら屋敷の門を目指して坂道を駆け上っていたら、突然目の前が槍で塞がれた。
一瞬目の前を槍の鋒が通り過ぎたよ。びっくりした。
反射的にのけぞったら、兄上が僕の腕を掴んで支えてくれた。
「止まれ!何者だ!」
騎士服を着たゴツゴツした顔の男性が槍で通せんぼをして仁王立ちをしていた。
ブワッと「害意」を向けられる。近くにくるまで「害意」に気が付かなかった?
「ねえ……。あなた達の家は、その先のお屋敷かしら。」
レオノールさんが馬車の列を眺めて言った。
「はい。」
「……ゲンティアナ男爵のご子息なの?」
「「はい。」」
レオノールさんは、一瞬だけ間を置いて、僕達の家の事を聞いてきた。僕と兄上は同時に返事をした。
「ええ!?」
ジャンさんが驚いた声を上げる。
「ワンチャン、狩猟担当の子かと!それか護衛騎士の子とか……っ!」
「ジャン、男爵令息に対して無礼になるわよ。」
レオノールさんがピシャリと言う。そしてちょっと首を傾げた。
「……まあ、私も男爵家の御令息がまだ幼いのにお供もつけずに狩りをしているわけはないんじゃないかって考えが何度かよぎったわ。」
僕達が品がないとか庶民的すぎたから、貴族令息だと思わなかったのかと思ったらそもそも護衛をつけずに狩りに行くと言うのがあり得ないって考えだったのか。
「弱い魔獣のいるところしか行かないですよ。」
「そうじゃないのよ。さっきだって、後を尾けられていたでしょう?」
「……普段は、地元の人しかいないんです……。」
兄上が渋い顔をして唇を歪めた。
兄上も僕と同じで自由にうろつきたい派だ。母様を説得してなんとか二人で狩りに出られる許可が出たのに、他所の人が来て僕達の行動が制限されるのは嫌だなぁ。
「……まあ、気をつけることね。今日みたいなことがあるってことは頭の隅にでも入れておいたほうが良いわ。
……それで……私達が誰の護衛で来たのかも、最初から知っていたのかしら。」
レオノールさんは僕達の考えを読もうとするかのように、少し身を屈めて僕達の顔を覗き込んだ。紫色の瞳がチリチリと何か圧をかけてくるみたいだ。
ヒンヤリして触れたら痛そうなドライアイスみたいな……。ドライアイス?
瞬きをして圧を跳ね除けようとしている間に、兄上が口を開いた。
「いいえ。辺境伯様がいらっしゃる予定だったのが、何組か追加になったと昼に先触れがあったと聞いただけです。」
「まあ……、その先触れもどうかと思うわね……。」
スッと、レオノールさんからの圧が引いた。
「……田舎貴族だからって舐められてるんですよ。」
兄上が突然毒付いた。目を細めて不機嫌そうな顔をしている。
「あら……。否定しにくいわね……。その先触れを送ったのはこちらの部隊ではないと思うけれど。
こちらから先触れを出す時はちゃんと必要な情報を開示するように伝えておくわ。……急に来られたら大変よね。」
レオノールさんは馬車の列の先の屋敷の方に目を向けて言った。
ああ、辺境伯様より偉い人が突然来たんだったら今頃屋敷の中は大慌てかもしれない。
「……ねえ、兄上。母様達、困ってないかな。」
「そうだな。急いで帰ろう。」
兄上がくるりとレオノールさん達の方に向き直ったので、僕もそれに習う。
ぺこりと兄上と一緒にお辞儀をする。
「送っていただきありがとうございます!もう大丈夫ですのでここで失礼します。」
「あっ…!ちょっと……!」
レオノールさんが何か呼び止めていたけれど、母様のことが心配だ。父上は朝は出かけてた気がするけどもう屋敷に戻ってきてるのだろうか。
元々辺境伯様が到着するのが夕方って話だったけど、まだ日が明るい。
到着が予定より早まったのなら、父上はまだ戻ってきていないかもしれない。
兄上と一緒に馬車が並んでいる坂道を駆け上がる。馬車が10台以上並んでいるんだけど、まさか全員うちに泊まる予定なのかな。
お客様の数が多い時は僕達は離れで過ごしたりしているけど、離れも提供しないと泊まれないんじゃない?
そんなことを考えながら屋敷の門を目指して坂道を駆け上っていたら、突然目の前が槍で塞がれた。
一瞬目の前を槍の鋒が通り過ぎたよ。びっくりした。
反射的にのけぞったら、兄上が僕の腕を掴んで支えてくれた。
「止まれ!何者だ!」
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