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第1章
第33話 悲しい光景を描く
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描いていたら僕も悲しくなってきた。実際に会ったこともない人達の事なのに。そもそも、本館に滞在しているというリネリア嬢のイメージではあるけど、僕の脳裏に浮かんだだけの光景だ。現実の事という訳でもない。だけど……。
白い塗料が塗られた板の上に黒の色材と細い筆を使ってささっと線画で描いた後、いつの間にか目の端で溢れかけていた涙を拭う。
もしも母様が死んでしまったら……。そんなことを考えてしまって涙が出てきてしまった。
令嬢の母親が冷たくなって横たわっている絵を描いているうちに更に浮かんだイメージは馬車の事故だった。風雨で前が見えづらくなって、御者が馬車の操縦を誤ったんだ。
令嬢の母親は出かけた途中で嵐で馬車が横転してしまって打ちどころが悪くて亡くなってしまったようだった。馬車が横転する直前の様子も絵に描く。
激しい雨の中、山道を走る馬車。フードを被った年配の御者が吹き付ける雨に目を細めながら手綱を握っていた。
ふぅーーっと大きく息を吐いて、筆を置いて絵を眺める。線画だけで色はつけていない。灯りが暗いし、今は色は塗らなくても良いかな……。
筆を筆洗に突っ込んで洗う。筆を布で拭きながら、描いた絵を並べてもう一度眺めた。悲しい光景で気持ちが沈んでしまう。
「……もっと明るい場面が描きたいなぁ。」
他の人物で何か楽しそうな場面は思い浮かばないかなと、メイリのリクエストで描いた人物達の絵を見返す。王子様とハロルド君、青髪の令嬢の絵を順番に見ていたら、イメージが浮かんできた。
ーーーあはは!ハロルドの驚いた顔ったら。
ーーー真面目なハロルドでもそんなびっくり顔するんだな。
ーーーよして下さい!揶揄うのは!
金髪殿下の手にしていた小さい箱から蛙が飛び出す。深緑色の髪のハロルド君がギョッとした表情をしていて眼鏡がちょっとずれる。
その様子を見て大笑いする青髪の令嬢。仲が良さそうな光景だ。
蛙はオモチャの蛙だ。
悪戯顔の王子様。ハロルド君はギョッとしているけど心底嫌そうではないようだ。
昼間会ったハロルド君のイメージに引っ張られている気がするなぁ。今描いているイメージは、食堂で板に描いた時の年齢よりちょっと若くて、ちょうど昼に会ったハロルド君くらいだ。
殿下と青髪令嬢も食堂で描いた絵より少し若返り?。
何で思い浮かんだのかよくわからないけど、少しは楽しそうな光景が描けてよかった。さっきの悲しげな場面を描いたままだと、悲しくなって眠れないかもしれないからね。そう思ったらまた悲しい光景のことを思い出してしまった。なるべく考えないようにしよう・
ゆっくりと暗くなっていき魔道具の明かりが消えた。ランプの蝋燭ももうかなり短くなっている。お絵描きタイムはそろそろ終了だな。
魔道具の魔石に魔力を補充しておいたら、少ししてランプの蝋燭の灯りが消えた。そうなると月明かりだけの明るさになってしまう。
昼間使った治癒玉をいくつかもってベッドに入る。
寝ながら魔力の補充をしていたらいつの間にか眠ってしまった。
白い塗料が塗られた板の上に黒の色材と細い筆を使ってささっと線画で描いた後、いつの間にか目の端で溢れかけていた涙を拭う。
もしも母様が死んでしまったら……。そんなことを考えてしまって涙が出てきてしまった。
令嬢の母親が冷たくなって横たわっている絵を描いているうちに更に浮かんだイメージは馬車の事故だった。風雨で前が見えづらくなって、御者が馬車の操縦を誤ったんだ。
令嬢の母親は出かけた途中で嵐で馬車が横転してしまって打ちどころが悪くて亡くなってしまったようだった。馬車が横転する直前の様子も絵に描く。
激しい雨の中、山道を走る馬車。フードを被った年配の御者が吹き付ける雨に目を細めながら手綱を握っていた。
ふぅーーっと大きく息を吐いて、筆を置いて絵を眺める。線画だけで色はつけていない。灯りが暗いし、今は色は塗らなくても良いかな……。
筆を筆洗に突っ込んで洗う。筆を布で拭きながら、描いた絵を並べてもう一度眺めた。悲しい光景で気持ちが沈んでしまう。
「……もっと明るい場面が描きたいなぁ。」
他の人物で何か楽しそうな場面は思い浮かばないかなと、メイリのリクエストで描いた人物達の絵を見返す。王子様とハロルド君、青髪の令嬢の絵を順番に見ていたら、イメージが浮かんできた。
ーーーあはは!ハロルドの驚いた顔ったら。
ーーー真面目なハロルドでもそんなびっくり顔するんだな。
ーーーよして下さい!揶揄うのは!
金髪殿下の手にしていた小さい箱から蛙が飛び出す。深緑色の髪のハロルド君がギョッとした表情をしていて眼鏡がちょっとずれる。
その様子を見て大笑いする青髪の令嬢。仲が良さそうな光景だ。
蛙はオモチャの蛙だ。
悪戯顔の王子様。ハロルド君はギョッとしているけど心底嫌そうではないようだ。
昼間会ったハロルド君のイメージに引っ張られている気がするなぁ。今描いているイメージは、食堂で板に描いた時の年齢よりちょっと若くて、ちょうど昼に会ったハロルド君くらいだ。
殿下と青髪令嬢も食堂で描いた絵より少し若返り?。
何で思い浮かんだのかよくわからないけど、少しは楽しそうな光景が描けてよかった。さっきの悲しげな場面を描いたままだと、悲しくなって眠れないかもしれないからね。そう思ったらまた悲しい光景のことを思い出してしまった。なるべく考えないようにしよう・
ゆっくりと暗くなっていき魔道具の明かりが消えた。ランプの蝋燭ももうかなり短くなっている。お絵描きタイムはそろそろ終了だな。
魔道具の魔石に魔力を補充しておいたら、少ししてランプの蝋燭の灯りが消えた。そうなると月明かりだけの明るさになってしまう。
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寝ながら魔力の補充をしていたらいつの間にか眠ってしまった。
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