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第1章
第48話 試飲会
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「リネリア嬢。そろそろ昼食に戻ろう。」
「はい!……あ。ちょっと待ってください!」
ネイサン殿下に声をかけられて、リネリア嬢は彼らの方を振り向いた。リネリア嬢は返事をした後に、手元のコップに目線を戻した。そして僕と兄上に問いかけた。
「これ、殿下達にも飲ませて差し上げて大丈夫かしら?」
「飲んでも大丈夫ではああるのですが、属性によって効き目が違うんです。属性に合わせたものを後で用意します。」
「え、属性に合わせるの?何だか凄い……。」
リネリア嬢の瞳がキラキラと輝いた。
魔石水、気に入ってもらえたようだ。でも薬というより栄養補給剤みたいな感じだから、あまり期待はしないで飲んでくれたら良いな。
本館に戻っていく途中、リネリア嬢が殿下達に魔石水の話をした。魔石水の話を聞いて、ハロルド君が興味を示したようだった。
「魔石水?魔石を飲むのか?」
「いいえ、魔石の力を薬草で引き出しているみたいですわ。魔力ポーションに比べて効き目は緩やかだけど身体に負担が少ないのだとか。」
「ほう。」
リネリア嬢は、まるで営業の人のように魔石水のプロモーションをしてくれる。
「身体に負担が少ない、というのは良いな……。」
「そうですわよね。討伐で魔法を使う時も安心でしょう?」
「ああ……。それだけじゃなく……。その、魔石水は容易に手に入るもののか?」
「この町の薬師のところで売られていると聞きましたわ。」
「そうか……。」
ハロルド君は深く考え込んだ様子になった。目が何か思い詰めたような光を灯している。
ーーー兄様、そんな顔をしないで。どうか気にせず訓練に行ってらっしゃいませ。
ーーーラミル。なるべく早く戻るから。
水色の髪の女の子が青白い顔でベッドに横たわり、ハロルド君を見上げている。力無い笑顔を無理に作っている。
ハロルド君は心配そうに女の子を見つめている。脳裏にまた光景が浮かび上がってきた。
魔力欠乏症、だったっけ……。魔石水は助けになるだろうか。
僕はハロルド君に話しかけた。
「試飲用に用意します。風属性と、他の属性のも試しに飲んでみますか?水属性とか。」
「あ。ああ、頼む。」
「僕の火属性のもお願い。それと飲み比べしたい。」
「私も試してみたいですわ。」
ハロルド君と殿下とシェリル嬢が魔石水の飲み比べを希望したので、朝食前に小さいグラスに属性の違う魔力水を少しずつ分けて注いだものを提供した。
僕は本当は朝食の席に同席するつもりはなかったんだけど、魔石水の反応が気になって、朝食も彼らと一緒に摂ることになった。ごめん、メイリ。一人での朝食にさせちゃって。
どうやって紹介するのが良いかをちょっと考えて、細長い木の板に番号を並べ書いて、番号がカップの手前になるように、魔石水入りのカップを並べた。
「火、水、風、土の魔石水です。どれがどれだかは最初は伏せておきますので当ててみてください。」
「毒見は今私が行いました。」
魔石水を並べる際に、殿下の騎士が毒見をしてくれた。
「おお。当てるのか。面白いな!」
殿下は楽しそうに並べられたカップを凝視した。
「一番効くものが自分の属性の魔石水になるかしらね。」
シェリル嬢は細長い指で小さいカップをつまむように持ち、一つ一つ匂いを確認している。
ハロルド君は思い詰めたように、並べられた魔石水をじっと見つめた後、端のカップを掴んで一気に口に流し込んだ。
「わ、大胆。どうだ?味は?効果は?」
「少しスッとする薬のような香りだ。味は悪くない。効果は……。少し待ったほうが良いのか?」
「えーと……、効いていれば60数えるくらいで効果がわかるかと。この砂時計がちょうど60くらいで砂が落ちるので、それを目安にして様子を見てください。」
砂時計を作っておいてよかった!どれも同じ時間で砂が落ちるようにするのって大変だったけど、幾つも並べて一気にひっくり返すのが楽しくて沢山つくちゃったんだよね。
時間の目安がないと朝食がなかなか食べられないところだった。砂時計4回分なら、240回数える時間くらいで済むはず。
朝食の席なのに大試飲会になってしまった。
食後だと、魔石水の効き目がわかりにくくなるから仕方ないかな。
食べ物にも魔力が含まれているものもあるし、食事が胃のなかにあると、魔石水の吸収も遅くなってしまう。
「はい!……あ。ちょっと待ってください!」
ネイサン殿下に声をかけられて、リネリア嬢は彼らの方を振り向いた。リネリア嬢は返事をした後に、手元のコップに目線を戻した。そして僕と兄上に問いかけた。
「これ、殿下達にも飲ませて差し上げて大丈夫かしら?」
「飲んでも大丈夫ではああるのですが、属性によって効き目が違うんです。属性に合わせたものを後で用意します。」
「え、属性に合わせるの?何だか凄い……。」
リネリア嬢の瞳がキラキラと輝いた。
魔石水、気に入ってもらえたようだ。でも薬というより栄養補給剤みたいな感じだから、あまり期待はしないで飲んでくれたら良いな。
本館に戻っていく途中、リネリア嬢が殿下達に魔石水の話をした。魔石水の話を聞いて、ハロルド君が興味を示したようだった。
「魔石水?魔石を飲むのか?」
「いいえ、魔石の力を薬草で引き出しているみたいですわ。魔力ポーションに比べて効き目は緩やかだけど身体に負担が少ないのだとか。」
「ほう。」
リネリア嬢は、まるで営業の人のように魔石水のプロモーションをしてくれる。
「身体に負担が少ない、というのは良いな……。」
「そうですわよね。討伐で魔法を使う時も安心でしょう?」
「ああ……。それだけじゃなく……。その、魔石水は容易に手に入るもののか?」
「この町の薬師のところで売られていると聞きましたわ。」
「そうか……。」
ハロルド君は深く考え込んだ様子になった。目が何か思い詰めたような光を灯している。
ーーー兄様、そんな顔をしないで。どうか気にせず訓練に行ってらっしゃいませ。
ーーーラミル。なるべく早く戻るから。
水色の髪の女の子が青白い顔でベッドに横たわり、ハロルド君を見上げている。力無い笑顔を無理に作っている。
ハロルド君は心配そうに女の子を見つめている。脳裏にまた光景が浮かび上がってきた。
魔力欠乏症、だったっけ……。魔石水は助けになるだろうか。
僕はハロルド君に話しかけた。
「試飲用に用意します。風属性と、他の属性のも試しに飲んでみますか?水属性とか。」
「あ。ああ、頼む。」
「僕の火属性のもお願い。それと飲み比べしたい。」
「私も試してみたいですわ。」
ハロルド君と殿下とシェリル嬢が魔石水の飲み比べを希望したので、朝食前に小さいグラスに属性の違う魔力水を少しずつ分けて注いだものを提供した。
僕は本当は朝食の席に同席するつもりはなかったんだけど、魔石水の反応が気になって、朝食も彼らと一緒に摂ることになった。ごめん、メイリ。一人での朝食にさせちゃって。
どうやって紹介するのが良いかをちょっと考えて、細長い木の板に番号を並べ書いて、番号がカップの手前になるように、魔石水入りのカップを並べた。
「火、水、風、土の魔石水です。どれがどれだかは最初は伏せておきますので当ててみてください。」
「毒見は今私が行いました。」
魔石水を並べる際に、殿下の騎士が毒見をしてくれた。
「おお。当てるのか。面白いな!」
殿下は楽しそうに並べられたカップを凝視した。
「一番効くものが自分の属性の魔石水になるかしらね。」
シェリル嬢は細長い指で小さいカップをつまむように持ち、一つ一つ匂いを確認している。
ハロルド君は思い詰めたように、並べられた魔石水をじっと見つめた後、端のカップを掴んで一気に口に流し込んだ。
「わ、大胆。どうだ?味は?効果は?」
「少しスッとする薬のような香りだ。味は悪くない。効果は……。少し待ったほうが良いのか?」
「えーと……、効いていれば60数えるくらいで効果がわかるかと。この砂時計がちょうど60くらいで砂が落ちるので、それを目安にして様子を見てください。」
砂時計を作っておいてよかった!どれも同じ時間で砂が落ちるようにするのって大変だったけど、幾つも並べて一気にひっくり返すのが楽しくて沢山つくちゃったんだよね。
時間の目安がないと朝食がなかなか食べられないところだった。砂時計4回分なら、240回数える時間くらいで済むはず。
朝食の席なのに大試飲会になってしまった。
食後だと、魔石水の効き目がわかりにくくなるから仕方ないかな。
食べ物にも魔力が含まれているものもあるし、食事が胃のなかにあると、魔石水の吸収も遅くなってしまう。
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