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第1章
第69話 心配事を話してみる
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毒について考えていると何だか妙に焦ってしまう。僕の脳裏に倒れたレオノールさんの姿が鮮明に浮かんでくる。皮膚がどんどん黒ずんで、段々と息が途切れていくレオノールさんの姿だ。もしも「呪いの毒」でどんどん人が倒れていってしまったら……。
そんな想像までしてしまう。
レオノールさんに光水を渡したい。予防で飲んでもらったとしたら、どのくらいあったら足りるだろう。毎日飲むの?何日?
起きるかどうかすらわからないことだからなぁ。
……ああ、気持ちが焦るなぁ。
「クリス兄様、どうしてそんなに心配をしているの?まだ誰も『呪いの毒』の被害に遭っていないのよ?森の奥の魔獣だけでしょう?」
メイリが不思議そうに小首を傾げて僕を見つめた。
僕は脳裏に浮かんだアレコレを話すか迷った。だって、色々なことが浮かびすぎて僕自身が困惑している。本当に起こるかどうかも全くわからない。
「……ちょっと……夢みたいなのを見たんだ。レオノールさんという人が『呪いの毒』で倒れるっていう夢なんだ……。現実に起きたわけじゃないけど、レオノールさん自体は知っている人だから心配になっちゃうんだ……。」
口に出すか迷ったけれど、言わないと光水をレオノールさんに渡そうと思っていることを理解してもらえないんじゃないかと思った。
「レオノールさん?…‥もしかして、銀髪の綺麗な人?レオンさん?」
「え?
」
脳裏に浮かんだ光景の話をしたら笑われるかと思ったのに、メイリが目をパチクリと見開いて真剣な顔で聞き返してきた。しかも、メイリがレオノールさんのことを知っている?
「メイリ、レオノールさんに会ったことあるの?」
レオノールさんは町の宿に泊まっているはずだけど、屋敷を訪れたのかもしれない。そう思ってメイリに訊き返したらメイリがブンブンと首を横に振った。
「ううん。夢に出てきたのを思い出したの。殿下の思い出のお話よ。」
「思い出……?」
「殿下を庇って刺されて、若くして亡くなってしまう人だったの……。うん……毒だったかも……。」
最後の方、メイリは言いにくそうに口もごった。
メイリの見た夢の中では、レオノールさん(らしき人物)は、既に亡くなって思い出の中の人だったようだ。
僕の脳裏に浮かぶ光景とメイリの見る夢は、何か繋がりがあるような気がしてきてしまう。
僕がレオノールさんに光水をあげたいと言う話を思い切って母様にも話したら、特に反対はされなかった。気になるなら配っちゃいなさいって考えのようだ。
薬師のおばあちゃんに光水の効能を確認してもらえたら、レオノールさんに光水を渡そう。
保存が効くものかどうかも、薬師のおばあちゃんに相談しなきゃいけない。
秘密みたいな話が沢山出て、今日はもうお腹一杯というかヘトヘトになって部屋に戻った。
そのままベッドに横たわって眠ってしまいたかったけど、狩りに行ったりしたので、汗は洗い流さなきゃと思ってなんとかシャワーを浴びた。
そのあとは絵を描く気力も湧かずに、仰向けに横たわった。ぐるぐると色々考えてしまう。
僕はレオノールさんが刺された光景を見たという話をメイリには話さなかったのにメイリも、レオノールさんのことを殿下を庇って刺されたって言ったんだ。
偶然?偶然かもしれないけどね。
メイリが見た夢の話、度々脳裏に浮かび上がる光景、このタイミングで屋敷に滞在している客人達。
それらに繋がりがあると思いたくて、さらにイメージを膨らませているだけかもしれないとも、思うけれど。
あたかも未来に起きることみたいに考えて始めてしまっているけれど、「僕が見た未来」は一つも起きてないんじゃないか?
あれ?でも、何か「これは」って思った出来事もあった気がする。……蛙か。
殿下が蛙のおもちゃをハロルド君とシェリル嬢のところに持ってきた場面。すごく短いし、たわいもない出来事だけど、見た光景と同じだと思った。
でも、蛙のおもちゃの悪戯なんて、よくあることといってしまえばそれまでなんだよね。
「予言が当たった!」なんて偉そうなことを言える話じゃないんだよなぁ。
そんな想像までしてしまう。
レオノールさんに光水を渡したい。予防で飲んでもらったとしたら、どのくらいあったら足りるだろう。毎日飲むの?何日?
起きるかどうかすらわからないことだからなぁ。
……ああ、気持ちが焦るなぁ。
「クリス兄様、どうしてそんなに心配をしているの?まだ誰も『呪いの毒』の被害に遭っていないのよ?森の奥の魔獣だけでしょう?」
メイリが不思議そうに小首を傾げて僕を見つめた。
僕は脳裏に浮かんだアレコレを話すか迷った。だって、色々なことが浮かびすぎて僕自身が困惑している。本当に起こるかどうかも全くわからない。
「……ちょっと……夢みたいなのを見たんだ。レオノールさんという人が『呪いの毒』で倒れるっていう夢なんだ……。現実に起きたわけじゃないけど、レオノールさん自体は知っている人だから心配になっちゃうんだ……。」
口に出すか迷ったけれど、言わないと光水をレオノールさんに渡そうと思っていることを理解してもらえないんじゃないかと思った。
「レオノールさん?…‥もしかして、銀髪の綺麗な人?レオンさん?」
「え?
」
脳裏に浮かんだ光景の話をしたら笑われるかと思ったのに、メイリが目をパチクリと見開いて真剣な顔で聞き返してきた。しかも、メイリがレオノールさんのことを知っている?
「メイリ、レオノールさんに会ったことあるの?」
レオノールさんは町の宿に泊まっているはずだけど、屋敷を訪れたのかもしれない。そう思ってメイリに訊き返したらメイリがブンブンと首を横に振った。
「ううん。夢に出てきたのを思い出したの。殿下の思い出のお話よ。」
「思い出……?」
「殿下を庇って刺されて、若くして亡くなってしまう人だったの……。うん……毒だったかも……。」
最後の方、メイリは言いにくそうに口もごった。
メイリの見た夢の中では、レオノールさん(らしき人物)は、既に亡くなって思い出の中の人だったようだ。
僕の脳裏に浮かぶ光景とメイリの見る夢は、何か繋がりがあるような気がしてきてしまう。
僕がレオノールさんに光水をあげたいと言う話を思い切って母様にも話したら、特に反対はされなかった。気になるなら配っちゃいなさいって考えのようだ。
薬師のおばあちゃんに光水の効能を確認してもらえたら、レオノールさんに光水を渡そう。
保存が効くものかどうかも、薬師のおばあちゃんに相談しなきゃいけない。
秘密みたいな話が沢山出て、今日はもうお腹一杯というかヘトヘトになって部屋に戻った。
そのままベッドに横たわって眠ってしまいたかったけど、狩りに行ったりしたので、汗は洗い流さなきゃと思ってなんとかシャワーを浴びた。
そのあとは絵を描く気力も湧かずに、仰向けに横たわった。ぐるぐると色々考えてしまう。
僕はレオノールさんが刺された光景を見たという話をメイリには話さなかったのにメイリも、レオノールさんのことを殿下を庇って刺されたって言ったんだ。
偶然?偶然かもしれないけどね。
メイリが見た夢の話、度々脳裏に浮かび上がる光景、このタイミングで屋敷に滞在している客人達。
それらに繋がりがあると思いたくて、さらにイメージを膨らませているだけかもしれないとも、思うけれど。
あたかも未来に起きることみたいに考えて始めてしまっているけれど、「僕が見た未来」は一つも起きてないんじゃないか?
あれ?でも、何か「これは」って思った出来事もあった気がする。……蛙か。
殿下が蛙のおもちゃをハロルド君とシェリル嬢のところに持ってきた場面。すごく短いし、たわいもない出来事だけど、見た光景と同じだと思った。
でも、蛙のおもちゃの悪戯なんて、よくあることといってしまえばそれまでなんだよね。
「予言が当たった!」なんて偉そうなことを言える話じゃないんだよなぁ。
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