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第1章
第87話 鹿魔獣の肉
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泉の向こう岸にいる魔獣には普通の矢では攻撃が通らないかもしれないから、弓と矢を魔力で包むように意識をしてみる。
鹿の魔獣が水を飲んでいる様子を息を潜めてじっと見つめる。鹿の魔獣が水を飲み終えて頭を上げたタイミングで喉元を狙って矢を放った。
ギュンっと空気が唸り、矢が鹿の魔獣の喉元に吸い込まれていった。
ドサッという音ともにブワッと何か熱いものが降りかかってきたような感じがした。仕留めた!仕留めたってことだよね!
「よし!引っ張るぞ。」
慣れた感じで兄上が号令をかけた。
高い位置にある木の枝を狙って、端をこぶ結びにしたロープを放り投げる。ロープが枝の上を通過して、枝に引っかかった状態でこぶ結びの部分が落ちてきた。すかさず落ちてきたロープの端に飛びつく。ほぼ同じくらいのタイミングで兄上とボブがロープを掴んでいた。
体重をかけてロープを引っ張ると、枝にかかったロープがピンと張った。鹿の魔獣をずるずると引き寄せる。
鹿の魔獣の亡骸はザブンと一度泉に落ちながら、こちらの岸に引き上げられた。
「あ!こいつもちょっと黒くなってないか?」
兄上が泉の畔に引き上げられた鹿の魔獣の側にしゃがみ込み、後ろ足を指差した。確かに左の後ろ足の大腿部が爛れていて足先まで黒ずんでいる。
呪いの毒で爛れているので血に触れるのはちょっと警戒して皮手袋をした。
鹿の魔獣の胸元あたりにナイフを突き立てて、ほじくり出すようにして魔石を取り出すと、予想通りキラキラした内包物が出来ていた。
《グレートウィングディアの魔石》
《風属性・毒耐性、毒なし》
取り出した魔石をじっと見つめると毒の有無と情報が見えた。
「……風属性で毒耐性の魔石みたい。風属性の魔石だと、毒耐性も風属性の人に効くのかな。」
「どうだろう。……しかし、惜しいなあ。鹿肉って美味いのに……。」
「あー。」
一度呪いの毒にやられたらしい魔獣の肉を食糧として持ち帰るのは怖い。もしかしたら肉にも毒耐性がついているとかかもしれないけど毒が回っていて、食べた側に耐性がなくて倒れちゃうってこともあるかもしれない。そもそも、毒が気になっちゃって美味しさを味わえない気がする。
肉は諦めて角だけ持ち帰ることにした。一度泉の水にざぶんと浸かっているから大丈夫そうな気はするけれど、念の為に角にも残りの部位にも泉の水をかけておいた。
土魔石で穴を深めに掘って、鹿の魔獣の亡骸を捨て、とりあえずは穴は埋めずに次の獲物を探す。
獲物を探し歩くような時間もあったけれど、なかなか大猟だった。
毒耐性のついた魔石が6つ手に入った。それと、毒耐性がついていない鹿の魔獣の肉も手に入れることが出来たんだ。やったね!
午後に予定が入っているから、持ち帰る魔獣は魔石を採ったら、血抜きだけして解体せずに持ち帰る。
解体のタイムロスが無いので決めたタイムリミットまでひたすら狩った。
僕は弓を使っているけれど、兄上とボブは向こう岸までナイフやフックを手で投げて獲物を仕留めちゃうから凄い。
「……そろそろ持ち帰るの限界じゃないかな。」
兄上は荷物置き場にしていた敷布の上に腰を下ろし水筒に入った果実水を飲んだ。血抜き中の魔獣を見回す。
「そうだね。鹿が大きいからなぁ。」
「他もそこそこ重いだろう。午後の案内もあるから無理しないで帰ろう。」
兄上は水筒に蓋をすると立ち上がってた。血抜きしていた鹿の魔獣のところに近づいて行った。
鹿魔獣の亡骸をリュックに入れようとあれこれ試して、結局鹿の頭を落とすことにしたようだ。角を取ってロープで束ねている。
僕は鳥の魔獣と、角兎の進化系みたいな角の大きな魔獣をリュックに詰めた。角がギザギザした角兎を入れようとしたらリュックが引っかかってしまった。
兄上の真似してリュックに入れやすいように角を切り落とした。
「あ!」
よいしょとリュックを背負った途端、兄上が声を上げた。振り向くと兄上の頭上に大きな魔法陣が浮かび上がるのが見えた。そして背中のリュックが光に包まれてスッと消えた。
鹿の魔獣が水を飲んでいる様子を息を潜めてじっと見つめる。鹿の魔獣が水を飲み終えて頭を上げたタイミングで喉元を狙って矢を放った。
ギュンっと空気が唸り、矢が鹿の魔獣の喉元に吸い込まれていった。
ドサッという音ともにブワッと何か熱いものが降りかかってきたような感じがした。仕留めた!仕留めたってことだよね!
「よし!引っ張るぞ。」
慣れた感じで兄上が号令をかけた。
高い位置にある木の枝を狙って、端をこぶ結びにしたロープを放り投げる。ロープが枝の上を通過して、枝に引っかかった状態でこぶ結びの部分が落ちてきた。すかさず落ちてきたロープの端に飛びつく。ほぼ同じくらいのタイミングで兄上とボブがロープを掴んでいた。
体重をかけてロープを引っ張ると、枝にかかったロープがピンと張った。鹿の魔獣をずるずると引き寄せる。
鹿の魔獣の亡骸はザブンと一度泉に落ちながら、こちらの岸に引き上げられた。
「あ!こいつもちょっと黒くなってないか?」
兄上が泉の畔に引き上げられた鹿の魔獣の側にしゃがみ込み、後ろ足を指差した。確かに左の後ろ足の大腿部が爛れていて足先まで黒ずんでいる。
呪いの毒で爛れているので血に触れるのはちょっと警戒して皮手袋をした。
鹿の魔獣の胸元あたりにナイフを突き立てて、ほじくり出すようにして魔石を取り出すと、予想通りキラキラした内包物が出来ていた。
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取り出した魔石をじっと見つめると毒の有無と情報が見えた。
「……風属性で毒耐性の魔石みたい。風属性の魔石だと、毒耐性も風属性の人に効くのかな。」
「どうだろう。……しかし、惜しいなあ。鹿肉って美味いのに……。」
「あー。」
一度呪いの毒にやられたらしい魔獣の肉を食糧として持ち帰るのは怖い。もしかしたら肉にも毒耐性がついているとかかもしれないけど毒が回っていて、食べた側に耐性がなくて倒れちゃうってこともあるかもしれない。そもそも、毒が気になっちゃって美味しさを味わえない気がする。
肉は諦めて角だけ持ち帰ることにした。一度泉の水にざぶんと浸かっているから大丈夫そうな気はするけれど、念の為に角にも残りの部位にも泉の水をかけておいた。
土魔石で穴を深めに掘って、鹿の魔獣の亡骸を捨て、とりあえずは穴は埋めずに次の獲物を探す。
獲物を探し歩くような時間もあったけれど、なかなか大猟だった。
毒耐性のついた魔石が6つ手に入った。それと、毒耐性がついていない鹿の魔獣の肉も手に入れることが出来たんだ。やったね!
午後に予定が入っているから、持ち帰る魔獣は魔石を採ったら、血抜きだけして解体せずに持ち帰る。
解体のタイムロスが無いので決めたタイムリミットまでひたすら狩った。
僕は弓を使っているけれど、兄上とボブは向こう岸までナイフやフックを手で投げて獲物を仕留めちゃうから凄い。
「……そろそろ持ち帰るの限界じゃないかな。」
兄上は荷物置き場にしていた敷布の上に腰を下ろし水筒に入った果実水を飲んだ。血抜き中の魔獣を見回す。
「そうだね。鹿が大きいからなぁ。」
「他もそこそこ重いだろう。午後の案内もあるから無理しないで帰ろう。」
兄上は水筒に蓋をすると立ち上がってた。血抜きしていた鹿の魔獣のところに近づいて行った。
鹿魔獣の亡骸をリュックに入れようとあれこれ試して、結局鹿の頭を落とすことにしたようだ。角を取ってロープで束ねている。
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兄上の真似してリュックに入れやすいように角を切り落とした。
「あ!」
よいしょとリュックを背負った途端、兄上が声を上げた。振り向くと兄上の頭上に大きな魔法陣が浮かび上がるのが見えた。そして背中のリュックが光に包まれてスッと消えた。
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