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第1章
第86話 斬り捨てられた魔獣
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赤魔リスは赤っぽい毛並みをしていてボリュームのある尻尾を持った魔獣だ。真っ二つにはなっていないが刃物のようなもので切り裂かれているようだ。
再び馬を降りていって近寄り、槍で軽く突いて魔石の有無を確認すると小さいオレンジ色の魔石が出てきた。
「魔石あるね。さっきと一緒だね。」
「誰かが切り捨てて行ったか……。……ちょっとここに居ろ。」
兄上は眉を顰めて難しい顔をしたと思ったら馬で道の奥に駈けて行った。兄上を待つ間に魔石を水魔法で洗い流してしまう。しばらく経って兄上が戻ってきたと思ったら手には魔獣が詰まった網を持っていた。
「魔獣を切り捨てて進んでいった奴がいるらしい。多分冒険者か……どこかの騎士だろう。」
「騎士?」
「訓練に来てるって話だからな。」
「これって訓練で狩っているってこと?」
「どうだろうな。」
僕は、魔石だけさっさと取り出して、土魔石で採掘した穴に全部投げ込んでから水魔石で手と魔石を洗い流した。
じゃらじゃらと集まった魔石を布に包みながら、兄上を見あげた。
「斬った人、探してみる?」
「いや。そこまではしないよ。森の奥なら多少斬り捨てていて魔獣が寄ってきても別に問題ないし。」
追いかけて斬った魔獣を放置するなと注意するほどではないらしい。
再び馬に乗って先に進むと分かれ道に差し掛かった。黎明の泉に行くのは右の道だ。
兄上は左の道の奥を睨むように目を細めて見た。
「あっちに進んだみたいだな。足跡が続いている。」
「泉の方じゃなくてよかったね。」
左の道の奥の方に意識を向けると、なんとなく「ヒャッハー」って感じの雰囲気を感じた。それも複数人。
道の先でも後始末しないで狩りをしまくっているのかもしれない。
兄上は右の道に進み始めているし、僕も「ヒャッハー」な人達には関わりたくないので、気にしないことにして兄上に続いて右の道に進んだ。
分岐点から右の道に進んでからは特に何事もなく真っ直ぐに黎明の泉に向かうことが出来た。
運良くなのか、魔獣が襲いかかってくることもなかった。馬で通り過ぎる時に木の陰とかから様子を伺っている魔獣とかはいたけれどさっさと駆け抜けたら追いかけては来なかったんだ。
黎明の泉に着いたら、早速リュックから瓶を出して泉の水を汲む。
今回は泉の水の力を維持するために、水を汲んですぐに瓶に魔石を漬けることにした。
先に昨日採取した毒耐性の魔石を入れて、残りの瓶には水魔石を入れた。
水を汲み終わったら泉の向こう岸を伺いながら泉の辺りを歩く。少し歩いたところで禍々しい角をした鹿の魔獣が泉の水を飲んでいるのを見つけた。
僕は弓を手にしてから、伺うように兄上とボブの方を振り向いた。
兄上が細いロープをぬっと突き出してきた。あ、矢にロープを結びつけておかないといけなかったんだった。
一度矢をじめんに置いてロープの端を結びつける。最初ちょっと変な結び方になってしまって結び直した。
早くしないと鹿の魔獣がどこかに行ってしまうかもと思って気持ちが焦ってしまう。
「落ち着け。」
小声で言う兄上の言葉に頷いて、ちょっと深めに息を吐き出した。結んだロープをぐいぐいと引っ張ってしっかり結べていることを確認してから、立ち上がって弓を構えた。
再び馬を降りていって近寄り、槍で軽く突いて魔石の有無を確認すると小さいオレンジ色の魔石が出てきた。
「魔石あるね。さっきと一緒だね。」
「誰かが切り捨てて行ったか……。……ちょっとここに居ろ。」
兄上は眉を顰めて難しい顔をしたと思ったら馬で道の奥に駈けて行った。兄上を待つ間に魔石を水魔法で洗い流してしまう。しばらく経って兄上が戻ってきたと思ったら手には魔獣が詰まった網を持っていた。
「魔獣を切り捨てて進んでいった奴がいるらしい。多分冒険者か……どこかの騎士だろう。」
「騎士?」
「訓練に来てるって話だからな。」
「これって訓練で狩っているってこと?」
「どうだろうな。」
僕は、魔石だけさっさと取り出して、土魔石で採掘した穴に全部投げ込んでから水魔石で手と魔石を洗い流した。
じゃらじゃらと集まった魔石を布に包みながら、兄上を見あげた。
「斬った人、探してみる?」
「いや。そこまではしないよ。森の奥なら多少斬り捨てていて魔獣が寄ってきても別に問題ないし。」
追いかけて斬った魔獣を放置するなと注意するほどではないらしい。
再び馬に乗って先に進むと分かれ道に差し掛かった。黎明の泉に行くのは右の道だ。
兄上は左の道の奥を睨むように目を細めて見た。
「あっちに進んだみたいだな。足跡が続いている。」
「泉の方じゃなくてよかったね。」
左の道の奥の方に意識を向けると、なんとなく「ヒャッハー」って感じの雰囲気を感じた。それも複数人。
道の先でも後始末しないで狩りをしまくっているのかもしれない。
兄上は右の道に進み始めているし、僕も「ヒャッハー」な人達には関わりたくないので、気にしないことにして兄上に続いて右の道に進んだ。
分岐点から右の道に進んでからは特に何事もなく真っ直ぐに黎明の泉に向かうことが出来た。
運良くなのか、魔獣が襲いかかってくることもなかった。馬で通り過ぎる時に木の陰とかから様子を伺っている魔獣とかはいたけれどさっさと駆け抜けたら追いかけては来なかったんだ。
黎明の泉に着いたら、早速リュックから瓶を出して泉の水を汲む。
今回は泉の水の力を維持するために、水を汲んですぐに瓶に魔石を漬けることにした。
先に昨日採取した毒耐性の魔石を入れて、残りの瓶には水魔石を入れた。
水を汲み終わったら泉の向こう岸を伺いながら泉の辺りを歩く。少し歩いたところで禍々しい角をした鹿の魔獣が泉の水を飲んでいるのを見つけた。
僕は弓を手にしてから、伺うように兄上とボブの方を振り向いた。
兄上が細いロープをぬっと突き出してきた。あ、矢にロープを結びつけておかないといけなかったんだった。
一度矢をじめんに置いてロープの端を結びつける。最初ちょっと変な結び方になってしまって結び直した。
早くしないと鹿の魔獣がどこかに行ってしまうかもと思って気持ちが焦ってしまう。
「落ち着け。」
小声で言う兄上の言葉に頷いて、ちょっと深めに息を吐き出した。結んだロープをぐいぐいと引っ張ってしっかり結べていることを確認してから、立ち上がって弓を構えた。
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