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第1章
第88話 収納
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「ああ!」
浮かび上がった大きな魔法陣を見て僕も思わず声を上げてしまった。兄上の頭上の魔法陣はリュックが消えてからすうっと空気に溶けるように消えていった。
「『収納』だ。『収納』をゲットしたっぽい。」
「やっぱり!」
兄上が興奮気味にリュックが消えた背中に目を向けた。
「リュックの重さを全く感じなくなったんで『行けそう』と思ってやってみたら出来たんだ!今は全く重さを感じない!」
兄上は笑顔を浮かべ、リュックのストラップ部分に手を触れるような動作をした。
再び、兄上の頭上に魔法陣が浮かんできたと思ったら兄上の背中にリュックが現れた。
「やったね!兄上!もしかして、もっと魔獣を持ち帰れる?」
「そ、……それはそうかもしれない……。」
リュックが丸々「収納」できるなら、リュックの中身を「収納」してリュックは空にできるのかなと思ったけど、ボブが止めに入った。
「どのくらい魔力を消耗するかわからねぇですよ。加減が分かるまでは無理しない方が良いんじゃないですかねぇ。」
「あ。そうか。『収納』と『運搬』を一度に使うことになっちゃうのか。」
ボブに言われて気がついた。「収納」に入るだけ詰めてから、リュックも軽くするために「運搬」を使ったら少なくとも荷物運びに普段の倍以上の魔力消費をしてしまうだろうし、「収納」は「運搬」より魔力消費が多い可能性が高いよね。
「そもそも、追加で狩るにはあまり時間の余裕もないだろう。」
兄上が苦笑する。
「確かに。欲張ってもしょうがないよね。」
僕も納得して自分のリュックを背負った。
ショルダーストラップが肩に食い込み始めた瞬間、フワーッと何かしたから持ち上げられるような妙な感覚がした。リュックが突然消えたみたいな気がして、背中を見るとちゃんとリュックは見える。
だけど、ふわふわした魔力で包まれていて全く重さを感じない。兄上が経験した感覚はこれかと思った。
どこかの異空間に「収納」することをイメージしてみた。
キラキラした光が集まってきて、丸い円が僕を中心に浮かび上がって頭上に大きな魔法陣が出来る。
背中に背負っていたリュックが何かに少しだけ引っ張られるような感覚を感じた後、スッと消えた。自分が「収納」したのだと感覚的に理解した。
「おお。クリスもか。」
僕の様子を見て兄上がニヤリと笑った。僕は宙に浮かび上がった魔法陣が完全に見えなくなるまで見つめてから兄上の方に目を向けた。
「兄上も見えた?魔法陣。」
「魔法陣?」
兄上が首を傾げた。
「魔法陣が出てたでしょう?」
「そうか?リュックが消えたのしか見てなかった。」
「あー……。『収納』から出す時も魔法陣が出ると思うから僕の頭の上の辺りを見てて。」
僕はそう言って「収納」からリュックを出すことをイメージした。スッと肩にショルダーストラップの感触が戻ってきた。再び頭上に魔法陣が浮かんで消えていった。
浮かび上がった大きな魔法陣を見て僕も思わず声を上げてしまった。兄上の頭上の魔法陣はリュックが消えてからすうっと空気に溶けるように消えていった。
「『収納』だ。『収納』をゲットしたっぽい。」
「やっぱり!」
兄上が興奮気味にリュックが消えた背中に目を向けた。
「リュックの重さを全く感じなくなったんで『行けそう』と思ってやってみたら出来たんだ!今は全く重さを感じない!」
兄上は笑顔を浮かべ、リュックのストラップ部分に手を触れるような動作をした。
再び、兄上の頭上に魔法陣が浮かんできたと思ったら兄上の背中にリュックが現れた。
「やったね!兄上!もしかして、もっと魔獣を持ち帰れる?」
「そ、……それはそうかもしれない……。」
リュックが丸々「収納」できるなら、リュックの中身を「収納」してリュックは空にできるのかなと思ったけど、ボブが止めに入った。
「どのくらい魔力を消耗するかわからねぇですよ。加減が分かるまでは無理しない方が良いんじゃないですかねぇ。」
「あ。そうか。『収納』と『運搬』を一度に使うことになっちゃうのか。」
ボブに言われて気がついた。「収納」に入るだけ詰めてから、リュックも軽くするために「運搬」を使ったら少なくとも荷物運びに普段の倍以上の魔力消費をしてしまうだろうし、「収納」は「運搬」より魔力消費が多い可能性が高いよね。
「そもそも、追加で狩るにはあまり時間の余裕もないだろう。」
兄上が苦笑する。
「確かに。欲張ってもしょうがないよね。」
僕も納得して自分のリュックを背負った。
ショルダーストラップが肩に食い込み始めた瞬間、フワーッと何かしたから持ち上げられるような妙な感覚がした。リュックが突然消えたみたいな気がして、背中を見るとちゃんとリュックは見える。
だけど、ふわふわした魔力で包まれていて全く重さを感じない。兄上が経験した感覚はこれかと思った。
どこかの異空間に「収納」することをイメージしてみた。
キラキラした光が集まってきて、丸い円が僕を中心に浮かび上がって頭上に大きな魔法陣が出来る。
背中に背負っていたリュックが何かに少しだけ引っ張られるような感覚を感じた後、スッと消えた。自分が「収納」したのだと感覚的に理解した。
「おお。クリスもか。」
僕の様子を見て兄上がニヤリと笑った。僕は宙に浮かび上がった魔法陣が完全に見えなくなるまで見つめてから兄上の方に目を向けた。
「兄上も見えた?魔法陣。」
「魔法陣?」
兄上が首を傾げた。
「魔法陣が出てたでしょう?」
「そうか?リュックが消えたのしか見てなかった。」
「あー……。『収納』から出す時も魔法陣が出ると思うから僕の頭の上の辺りを見てて。」
僕はそう言って「収納」からリュックを出すことをイメージした。スッと肩にショルダーストラップの感触が戻ってきた。再び頭上に魔法陣が浮かんで消えていった。
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