転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第1章

第137話 お揃いの服

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レオノールさん達の話をこっそりと聞いていた時間はあまり長い時間じゃなかったと思うけど、いつの間にか日が沈んでしまってすっかり辺りが暗くなった。

初討伐祝いの宴に間に合わなくなるといけないから急いでシャワーを浴びて着替える。
シャワーは今回も自分で水魔法で温水を出してみた。ちょっと温かったけどだいぶ温度と量が安定してきた気がする。

リビングルームの長椅子に腰を下ろし風魔法で温風を作って髪を乾かしていると、メイリがやってきた。

「ねえ、パーティがあるの?」

微妙に不満げな表情を浮かべている。仲間外れにされてるって思ったのかな。

「殿下達の初討伐のお祝いなんだって。僕と兄様はお祝いを言うのにちょっとだけ顔を出すけど、夕食はこっちで食べるからすぐ戻ってくるよ」
「そうなのね」

メイリの表情がちょっと和らぐ。一緒にお祝いの言葉を言いに行けたら良いんだけどなぁ。メイリはまだ他の貴族家との交流をしたことがない。メイリはしっかりしているからご挨拶とか大丈夫そうな気がするけど、許可を出すのは母様だ。

最初の夕食の席とかに出たのは兄上だけだったし、元々は長男だけ顔を出せば良いって感じだったから多分まだメイリがお客様の前に出て挨拶をするという許可は出ないんだろうな。
僕は訓練とか手伝ったりとかで、結果的に関わることになっちゃったけど。

「そうだ。光水を使ってちょっと綺麗な感じの飲み物を作ったんだよ。夕食の時に出すね」
「わあ、楽しみ!綺麗ってどんなものなの?」
「光るんだ」
「……それって光水を使っているからよね」
「うん。光水に色々混ぜたんだ」
「そうなのね!どんな感じかしら。楽しみね」

光水を見たことがあるメイリからしたら、光る飲み物と聞いても珍しくもないかな。まあ、光水を使っているし、光り方は光水と同じ何だけど並べておいて部屋を暗くしたら綺麗って思ってくれるかな。
あまり詳しく教えちゃうと意外性がなくなっちゃうから、これ以上は説明しないでおこう。

メイリと話していたら、兄上がやってきた。

母様がお揃いのシャツを着ろって言ったから、兄上も僕と同じ紺色と銀のラインが入ったシャツを着ている。

「兄様達、シャツがお揃いなのね」
「母上のリクエストだよ」

メイリが僕と兄上の姿を交互に見た。兄上がシャツの裾あたりをちょっと引っ張ってみせた。

「そういえば、母様はどうしてお揃いにしろって言ったんだろう」
「揃っている方がキチンとして見える……というのもあるかもしれないけど、
着る機会が少ないからじゃないか」
「確かに……」

一応、お茶会やパーティがあった時のためにって用意してもらっているんだけど
どこかに着ていく機会って特にないんだよね。
新年や誕生日とかを家族内で祝う時とかに着ている位だ。
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