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第1章
第138話 祝賀パーティに向かう
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兄上とお揃いのシャツを着るのは嬉しい。兄上みたいに、キリッとして見えていると良いなぁ。
メイリとも今度何かお揃いにしたい。メイリはキリッとしたシャツとかより、ふわふわしたフリルみたいなのが似合うから、三人でお揃いの服って難しいかな。魔獣狩りに行く時の服とかならアリだろうか。
全く同じデザインとかじゃなくて、一部同じ柄の布を使うとかでも良いかな。それか、ブローチとかでも良いかな。ブローチだと魔石を使いたくなっちゃうな。魔法陣魔石だったら、どの系統が良いかな。
兄妹三人でお揃いにするなら何が良いかなと考えながら祝賀パーティにに向かう。
離れの玄関から出て、本館に向かいかけた時、視界の端に何か動くものが映った。
「あ、猫さん……」
見やると離れから正門方面に猫さんが軽やかに走っていくシルエットが見えた。
どこに向かうのかな。
立ち止まって少しの間、猫さんが走っていく姿を見守った。
「クリス、行かないのか」
「あ、うん」
メイリが待っているんだから、早く殿下達にお祝いの言葉を言って戻らないと。
向き直って一歩踏み出した時、ふと何か妙な気配を感じた。
猫さんが去って行った方角とは真逆の、本館の裏手側の方角からだ。
ちょっと嫌な感じの気配だ。「害意」かな。ちょっと曖昧なモヤーッとした感じだけど。
気配がした方にじっと目を凝らしてみたけど、姿は見えなかった。
「クリス?どうした?」
「何か、怪しい人がいたかも」
「え?」
兄上がギョッとした様子で振り向き、僕の視線の先を見ようとするように目を細めた。
「うーん、見えない……。誰かいたのか?何か見た?」
「ううん……。ちょっと気配がした……気がしたんだけど……」
姿が見えないのでちょっと自信がなくなってくる。
「王宮騎士かどこかの家の騎士じゃないか?どんな気配だったんだ?」
「……ちょっと嫌な感じだった」
「河原にいた騎士みたいなのがいるのかな」
河原にいた騎士って、言われるとちょっと近いかもしれない。河原にいた人達は僕や兄上がいることに気がついてからは露骨な「害意」を向けてきたけど、その前は、川や草むらに向かって火魔法を放ってた。僕や兄上に向けられる前から「害意」のようなものはあって、でもこちらには向けられてなかったから曖昧な感じだった。
兄上は訝しげに気配がした方向を睨んで、一歩踏み出した。
狩りをする時みたいに足音を立てないように歩きだしたので僕もついて行く。僕も足音を立てないようにして息を潜める。
本館の外壁の角のところで立ち止まり、壁にピッタリ張り付く。そーっと首を伸ばして角の向こう側を覗いてみた。
ドキドキしながら覗いたのに、そこには夕闇が満ち始めた空間しかなかった。
「誰もいない」
「逃げちゃったのかな」
「どうだろう。気配はまだするのか?」
「うーん……すこーしだけ。さっきまで誰かいたかなって感じ」
誰もいないので隠れている理由もない。気配がしたと思った辺りの近くまで言って辺りを見回した。
植込みとか芝生とかを目を凝らしてみたけど、特に異変みたいなものはなかったのでほっと安堵の息を吐いた。
「特に何もないね」
「そうだな……」
ちょっと気になるけど沼地みたいに荒らされているとかでもない。機嫌の悪い騎士とかが居ただけかもしれない。何もなさそうなので祝賀パーティに向かうことにした。
メイリとも今度何かお揃いにしたい。メイリはキリッとしたシャツとかより、ふわふわしたフリルみたいなのが似合うから、三人でお揃いの服って難しいかな。魔獣狩りに行く時の服とかならアリだろうか。
全く同じデザインとかじゃなくて、一部同じ柄の布を使うとかでも良いかな。それか、ブローチとかでも良いかな。ブローチだと魔石を使いたくなっちゃうな。魔法陣魔石だったら、どの系統が良いかな。
兄妹三人でお揃いにするなら何が良いかなと考えながら祝賀パーティにに向かう。
離れの玄関から出て、本館に向かいかけた時、視界の端に何か動くものが映った。
「あ、猫さん……」
見やると離れから正門方面に猫さんが軽やかに走っていくシルエットが見えた。
どこに向かうのかな。
立ち止まって少しの間、猫さんが走っていく姿を見守った。
「クリス、行かないのか」
「あ、うん」
メイリが待っているんだから、早く殿下達にお祝いの言葉を言って戻らないと。
向き直って一歩踏み出した時、ふと何か妙な気配を感じた。
猫さんが去って行った方角とは真逆の、本館の裏手側の方角からだ。
ちょっと嫌な感じの気配だ。「害意」かな。ちょっと曖昧なモヤーッとした感じだけど。
気配がした方にじっと目を凝らしてみたけど、姿は見えなかった。
「クリス?どうした?」
「何か、怪しい人がいたかも」
「え?」
兄上がギョッとした様子で振り向き、僕の視線の先を見ようとするように目を細めた。
「うーん、見えない……。誰かいたのか?何か見た?」
「ううん……。ちょっと気配がした……気がしたんだけど……」
姿が見えないのでちょっと自信がなくなってくる。
「王宮騎士かどこかの家の騎士じゃないか?どんな気配だったんだ?」
「……ちょっと嫌な感じだった」
「河原にいた騎士みたいなのがいるのかな」
河原にいた騎士って、言われるとちょっと近いかもしれない。河原にいた人達は僕や兄上がいることに気がついてからは露骨な「害意」を向けてきたけど、その前は、川や草むらに向かって火魔法を放ってた。僕や兄上に向けられる前から「害意」のようなものはあって、でもこちらには向けられてなかったから曖昧な感じだった。
兄上は訝しげに気配がした方向を睨んで、一歩踏み出した。
狩りをする時みたいに足音を立てないように歩きだしたので僕もついて行く。僕も足音を立てないようにして息を潜める。
本館の外壁の角のところで立ち止まり、壁にピッタリ張り付く。そーっと首を伸ばして角の向こう側を覗いてみた。
ドキドキしながら覗いたのに、そこには夕闇が満ち始めた空間しかなかった。
「誰もいない」
「逃げちゃったのかな」
「どうだろう。気配はまだするのか?」
「うーん……すこーしだけ。さっきまで誰かいたかなって感じ」
誰もいないので隠れている理由もない。気配がしたと思った辺りの近くまで言って辺りを見回した。
植込みとか芝生とかを目を凝らしてみたけど、特に異変みたいなものはなかったのでほっと安堵の息を吐いた。
「特に何もないね」
「そうだな……」
ちょっと気になるけど沼地みたいに荒らされているとかでもない。機嫌の悪い騎士とかが居ただけかもしれない。何もなさそうなので祝賀パーティに向かうことにした。
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