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第1章
第157話 入手困難な灰色キノコ
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正門の警備は厳しくなっては居たけど、特に出かけることを止められはしなかった。
森に狩りに行く前に、薬師のおばあちゃんのところに行って、光水を作ってもらった。光水をパッケージしてもらっている間に、光水や果実炭酸光水が毒で光るのかの実験をさせてもらった。
薬師のおばあちゃんとルドおじさんには、毒事件のことはまだ話さない方が良いのだろうけど、実験をする経緯として、果実炭酸光水が急に光った事は話をした。
「ほう。それで毒、かね。穏やかじゃないねぇ」
果実炭酸光水が毒に反応したかもって言ったら、薬師のおばあちゃんは何かを察したみたいだった。でも、詳しく突っ込んで効かないでいてくれて、工房で毒をつかって実験することを許可してくれた。
「灰色キノコの毒はある?あのキノコの毒が一番可能性がありそうなんだけど」
「ハイイロローダケのことかい?毒自体、あまり置いていないからねぇ」
「そうなの?ここには毒が一杯置いてあるかと思ってた」
「使わないものは置かないよ」
薬師のおばあちゃんの所には薬が沢山あるから、毒も沢山の種類を置いてあるのか思っていた。実験に使う用と量を間違うと毒になるような薬は置いてあるけど、いわゆる「毒」はあまり置いていないらしい。確かに使い道がなくて、置いていても劣化するだけのものは置いてないそうだ。それもそうか。
テキパキと光水用の小瓶の準備とかをしながら、棚の高い位置にある冊子に手をのばした。分厚い冊子を開いて、ページをパラパラとめくる。目を細め、冊子を持つ手を少し遠ざけてから、パタンと冊子を閉じた。
「ハイイロローダケの毒の在庫はないね。この辺だと沼地に生えているだろうからとってきたらどうだい?」
「沼地……は……」
沼地が荒らされた事は薬師のおばあちゃんには知らされていなかったのか。僕はチラッと兄上の方を見た。兄上と一瞬目が合う。兄上ぼ視線を僕から薬師のおばあちゃんに移して少しトーンを下げた声で言った。
「最近、森の沼地が荒らされたんです。生えていたキノコとかもダメになってしまって……。まだ、調査が終わったって聞いてないので詳しい事は言えないんですが」
兄上の言葉を聞いて、薬師のおばあちゃんは細い眉の片方をキュッと吊り上げた。
「おや、それは残念なことだね。そうなると、この辺りでハイイロローダケが手に入るところは思いつかないね」
「え?そうなの?灰色キノコは沼地にしか生えないの?」
「日が当たらないジメジメした水辺なんかに生えているという話だよ。沼地を探したらあるかもしれないねぇ。……今日のところは他の毒をつかってみたらどうかね」
灰色キノコは今は手元にない上に手に入りにくらしいので、他の毒で試す事にした。
実験してみた結果、光水と毒を合わせても、ピカーッと光る事はなかった。果実炭酸光水の時はピカッと光った。毒の種類によって光り方が違うみたいだ。
果実炭酸光水の果実なしとか炭酸なしとかでも実験してみたら、炭酸水が入っている光水が光った。
薬師のおばあちゃんの推測だと、魔法で炭酸水を作ったからじゃないかとのことだ。
炭酸水には僕の魔力が残留していて、光水と合わさった時に毒に反応して光る液体に変化したのではないかということだ。
炭酸水から炭酸が抜け切ったくらいになると、残留していた魔力も薄れていってしまいそうだ。果実炭酸光水の炭酸が抜けるまで置いておいてもう一度実験してみようということになった。
無事に果実炭酸光水が光る原因が確認できたので、薬師のおばあちゃんに毒をわけてもらえないかって言ったら、怒られてしまった。手軽に「毒」のやりとりはするもんじゃないって。
確かにそうなんだけど、果実炭酸光水をランプより部屋を明るくする道具が作れるんじゃないかと思っていて、試しに作ってみたかったんだよ。
こんな事なら、最初に赤いキノコと青いキノコで色材を作るためにキノコを採取したとき、灰色キノコも採っておけばよかった。
ふと、厨房で見た灰色キノコが混じっていた木箱のことを思い出した。あの木箱の中のキノコはもう処分だれたんだろうか。まだどこかに保管しているなら、灰色キノコを少しだけて貰うことはできないだろうか。
母様は許可してくれるかわからないな。別の意味で手に入りにくい。
あれ?
灰色キノコはこの辺りだと沼地以外では手に入りにくいんだったよね。
厨房に毒キノコ入りの木箱が持ち込まれたのはいつ?
沼地が荒らされた前?それとも後?
森に狩りに行く前に、薬師のおばあちゃんのところに行って、光水を作ってもらった。光水をパッケージしてもらっている間に、光水や果実炭酸光水が毒で光るのかの実験をさせてもらった。
薬師のおばあちゃんとルドおじさんには、毒事件のことはまだ話さない方が良いのだろうけど、実験をする経緯として、果実炭酸光水が急に光った事は話をした。
「ほう。それで毒、かね。穏やかじゃないねぇ」
果実炭酸光水が毒に反応したかもって言ったら、薬師のおばあちゃんは何かを察したみたいだった。でも、詳しく突っ込んで効かないでいてくれて、工房で毒をつかって実験することを許可してくれた。
「灰色キノコの毒はある?あのキノコの毒が一番可能性がありそうなんだけど」
「ハイイロローダケのことかい?毒自体、あまり置いていないからねぇ」
「そうなの?ここには毒が一杯置いてあるかと思ってた」
「使わないものは置かないよ」
薬師のおばあちゃんの所には薬が沢山あるから、毒も沢山の種類を置いてあるのか思っていた。実験に使う用と量を間違うと毒になるような薬は置いてあるけど、いわゆる「毒」はあまり置いていないらしい。確かに使い道がなくて、置いていても劣化するだけのものは置いてないそうだ。それもそうか。
テキパキと光水用の小瓶の準備とかをしながら、棚の高い位置にある冊子に手をのばした。分厚い冊子を開いて、ページをパラパラとめくる。目を細め、冊子を持つ手を少し遠ざけてから、パタンと冊子を閉じた。
「ハイイロローダケの毒の在庫はないね。この辺だと沼地に生えているだろうからとってきたらどうだい?」
「沼地……は……」
沼地が荒らされた事は薬師のおばあちゃんには知らされていなかったのか。僕はチラッと兄上の方を見た。兄上と一瞬目が合う。兄上ぼ視線を僕から薬師のおばあちゃんに移して少しトーンを下げた声で言った。
「最近、森の沼地が荒らされたんです。生えていたキノコとかもダメになってしまって……。まだ、調査が終わったって聞いてないので詳しい事は言えないんですが」
兄上の言葉を聞いて、薬師のおばあちゃんは細い眉の片方をキュッと吊り上げた。
「おや、それは残念なことだね。そうなると、この辺りでハイイロローダケが手に入るところは思いつかないね」
「え?そうなの?灰色キノコは沼地にしか生えないの?」
「日が当たらないジメジメした水辺なんかに生えているという話だよ。沼地を探したらあるかもしれないねぇ。……今日のところは他の毒をつかってみたらどうかね」
灰色キノコは今は手元にない上に手に入りにくらしいので、他の毒で試す事にした。
実験してみた結果、光水と毒を合わせても、ピカーッと光る事はなかった。果実炭酸光水の時はピカッと光った。毒の種類によって光り方が違うみたいだ。
果実炭酸光水の果実なしとか炭酸なしとかでも実験してみたら、炭酸水が入っている光水が光った。
薬師のおばあちゃんの推測だと、魔法で炭酸水を作ったからじゃないかとのことだ。
炭酸水には僕の魔力が残留していて、光水と合わさった時に毒に反応して光る液体に変化したのではないかということだ。
炭酸水から炭酸が抜け切ったくらいになると、残留していた魔力も薄れていってしまいそうだ。果実炭酸光水の炭酸が抜けるまで置いておいてもう一度実験してみようということになった。
無事に果実炭酸光水が光る原因が確認できたので、薬師のおばあちゃんに毒をわけてもらえないかって言ったら、怒られてしまった。手軽に「毒」のやりとりはするもんじゃないって。
確かにそうなんだけど、果実炭酸光水をランプより部屋を明るくする道具が作れるんじゃないかと思っていて、試しに作ってみたかったんだよ。
こんな事なら、最初に赤いキノコと青いキノコで色材を作るためにキノコを採取したとき、灰色キノコも採っておけばよかった。
ふと、厨房で見た灰色キノコが混じっていた木箱のことを思い出した。あの木箱の中のキノコはもう処分だれたんだろうか。まだどこかに保管しているなら、灰色キノコを少しだけて貰うことはできないだろうか。
母様は許可してくれるかわからないな。別の意味で手に入りにくい。
あれ?
灰色キノコはこの辺りだと沼地以外では手に入りにくいんだったよね。
厨房に毒キノコ入りの木箱が持ち込まれたのはいつ?
沼地が荒らされた前?それとも後?
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