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第1章
第158話 紫色の木の実
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「これも毒?」
灰色キノコのことを考えていたら、作業台の上に並べられた小さい容器の一つを兄上が指差した。
並べられた小さい容器の幾つかは、炭酸果実光水に入れてみて光るかどうかを試した。
毒の種類によって光り方は違っていたけれど、大体毒に反応して光る事はわかったから
全部は試していなかったんだ。
「ああ、それは最近持ち込まれたものでね。珍しい木の実だから毒でないか確認してくれっていわれたものさ」
「珍しい木の実?」
珍しいと言われるとちょっと気になってしまって容器を覗き込んでみた。
《パープルヴァレートレントの木の実》
《微毒》
親指の爪くらいの大きさの表面がゴツゴツした紫色の木の実だ。
「トレントの実なの?毒があるかって……トレントの実を食べるの?」
「さあね。持ち込んだ者は甘いって言っていたらしいが」
「ここに直接持ち込んだんじゃないんだ」
「ギルドからだよ」
薬師のおばあちゃんの店の裏手には冒険者ギルドがある。冒険者ギルドだと持ち込まれた物の買取をするんだろうけど、どんなものかわからないものを買い取って、薬師のおばあちゃんに確認してもらおうってことなんだろうか。
「『微毒』みたいだけど」
「『微毒』がどの程度なのかが難しいのさ。食べすぎなければ身体に影響がないのか、長期的に摂取したらどうなるかなど、不明点が多い」
「食べてみたの?」
僕は薬師のおばあちゃんとルドおじさんの顔を交互にみた。二人とも首を横に振った。
「『微毒』でも毒とわかっていて簡単には食べないよ。ローレンもクリスも食べるんじゃないよ」
ギラっと薬師のおばあちゃんが鋭い目線を僕達に向けてきた。
「食べないよ!」
慌てて首を横に振る。怪しげな紫色をしているし、採取してどのくらい経っているかもわからない。
食べたい感じではない。
「……微毒なら光るのかな」
ふと思いつきで、ピンセットで紫色の木の実をつまんで、炭酸果実光水が入ったゴブレットに木の実を入れてみた。
ほわっとほんの少し光った。しかし数秒後にはゴブレットから光が消えた。
果実炭酸光水はもともと淡く光を放っているんだけど、パープルヴァレートレントの木の実を入れて一瞬光った後は全く光らなくなった。
「『微毒』だからかなぁ」
「微毒」だったらあっという間に解毒を終えそうだよね。それが何か影響しているのかもしれない。
光の消えたゴブレットの中を覗き込むと、黒い木の実があった。
「黒くなってる?」
ゴブレットの中には、黒い木の実が静かに沈んでいた。木の実の色が変わってしまったようだ。
「おや」
薬師のおばあちゃんがゴブレットの中を見て片眉をあげた。
「解毒で原因で色が変わっちゃたのかな」
「そうかもしれないね」
兄上の言葉に薬師のおばあちゃんが頷いた。
「じゃあ、もう毒はないのかな」
《パープルヴァレートレントの木の実》
《微毒》
黒くなった木の実を見たら、まだ「微毒」と出た。解毒できていなかったってこと?
灰色キノコのことを考えていたら、作業台の上に並べられた小さい容器の一つを兄上が指差した。
並べられた小さい容器の幾つかは、炭酸果実光水に入れてみて光るかどうかを試した。
毒の種類によって光り方は違っていたけれど、大体毒に反応して光る事はわかったから
全部は試していなかったんだ。
「ああ、それは最近持ち込まれたものでね。珍しい木の実だから毒でないか確認してくれっていわれたものさ」
「珍しい木の実?」
珍しいと言われるとちょっと気になってしまって容器を覗き込んでみた。
《パープルヴァレートレントの木の実》
《微毒》
親指の爪くらいの大きさの表面がゴツゴツした紫色の木の実だ。
「トレントの実なの?毒があるかって……トレントの実を食べるの?」
「さあね。持ち込んだ者は甘いって言っていたらしいが」
「ここに直接持ち込んだんじゃないんだ」
「ギルドからだよ」
薬師のおばあちゃんの店の裏手には冒険者ギルドがある。冒険者ギルドだと持ち込まれた物の買取をするんだろうけど、どんなものかわからないものを買い取って、薬師のおばあちゃんに確認してもらおうってことなんだろうか。
「『微毒』みたいだけど」
「『微毒』がどの程度なのかが難しいのさ。食べすぎなければ身体に影響がないのか、長期的に摂取したらどうなるかなど、不明点が多い」
「食べてみたの?」
僕は薬師のおばあちゃんとルドおじさんの顔を交互にみた。二人とも首を横に振った。
「『微毒』でも毒とわかっていて簡単には食べないよ。ローレンもクリスも食べるんじゃないよ」
ギラっと薬師のおばあちゃんが鋭い目線を僕達に向けてきた。
「食べないよ!」
慌てて首を横に振る。怪しげな紫色をしているし、採取してどのくらい経っているかもわからない。
食べたい感じではない。
「……微毒なら光るのかな」
ふと思いつきで、ピンセットで紫色の木の実をつまんで、炭酸果実光水が入ったゴブレットに木の実を入れてみた。
ほわっとほんの少し光った。しかし数秒後にはゴブレットから光が消えた。
果実炭酸光水はもともと淡く光を放っているんだけど、パープルヴァレートレントの木の実を入れて一瞬光った後は全く光らなくなった。
「『微毒』だからかなぁ」
「微毒」だったらあっという間に解毒を終えそうだよね。それが何か影響しているのかもしれない。
光の消えたゴブレットの中を覗き込むと、黒い木の実があった。
「黒くなってる?」
ゴブレットの中には、黒い木の実が静かに沈んでいた。木の実の色が変わってしまったようだ。
「おや」
薬師のおばあちゃんがゴブレットの中を見て片眉をあげた。
「解毒で原因で色が変わっちゃたのかな」
「そうかもしれないね」
兄上の言葉に薬師のおばあちゃんが頷いた。
「じゃあ、もう毒はないのかな」
《パープルヴァレートレントの木の実》
《微毒》
黒くなった木の実を見たら、まだ「微毒」と出た。解毒できていなかったってこと?
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