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第1章
第161話 あの毒の要因
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「ここである程度の検証はした方がよいと思います。それを……父上に報告します」
「その方がよいだろうね」
兄上は深刻そうに言ってすぐに屋敷に戻ろうとしたんんだけど、少しだけ検証をしてからにすることになった。
僕が実験したがっていたということもあるんだけど、昨日の毒事件で父上は多分忙しいからある程度は検証してから報告した方が良いだろうという結論だ。
容器に入っている紫色の木の実の数は少ないしさっさと検証してしまうことになった。
一粒ずつ観察をして、他より少し大きいとか、形がいびつとか特徴があればメモする。意識して「毒鑑定」で頻繁に状態を確認して、変化があったらすぐ報告する。
果実炭酸光水、普通の光水、炭酸水、魔石水に木の実を丸ごと漬けるパターンとナイフで半分に割った実をつけてみる。実験の結果をみて残りの木の実をどうするか決める。
「呪いの毒」が発生した時の為にいつでも光水がかけられるように準備もしておく。
パターン分けをして実験するには木の実の数が少ないけど仕方ない。
先に半分に割った実は、果実炭酸光水に漬けても黒く変色もしなかったし「呪いの毒」にもならずに解毒されてしまった。最初にやったのと同じように木の実を割らずに果実炭酸光水に付けたら、黒く変色した。光水に漬けたものは黒くはならなかった。皮が硬くて分厚いから浸透するのに時間がかかるみたいで、漬けてすぐに取り出したものは中を割ると「微毒」の反応があったけど、長めの時間付けたものは解毒されていた。
炭酸水を試したのは、果実炭酸光水が毒に反応して光った理由が炭酸水を作った時の魔力が残留している為だということだったから、紫色の木の実も同じように炭酸水の魔力が作用した可能性があると思ったからだ。予想通り、炭酸水に漬けた木の実が黒く変色した。
魔石水も色々と試したところ、土の魔石水と水の魔石水の場合にも黒く変色することがわかった。
「丸のままの木の実が水属性か土属性の魔力に触れると呪いの毒に変化するようだね」
「じゃあ、食べてみて『甘い』って言った人は大丈夫だったってことかな」
薬師のおばあちゃんが実験の結果の見解を述べて、ルドおじさんが書類にまとめている。テキパキしている感じで格好いい!
「もともと『微毒』ではあるからね。何の影響もないとは言えないよ。後で具合が悪くなってもこの木の実のせいだと気がついていないってだけかもしれない」
「うへぁ」
「問題は……」
薬師のおばあちゃんが窓の外に視線を向けた。
「この木の実を丸のまま食べた場合だね」
「こんな固い実を丸のまま食べたりはしないんじゃ……。あっ……」
ルドおじさんが書類を書く手を止めて、顔を上げた。
「もしも魔獣が食べたら……!」
「!!」
ギョッとするのと同時に泉の向こう側にいた、身体の一部が黒く爛れた魔獣のことを思い出した。
「その方がよいだろうね」
兄上は深刻そうに言ってすぐに屋敷に戻ろうとしたんんだけど、少しだけ検証をしてからにすることになった。
僕が実験したがっていたということもあるんだけど、昨日の毒事件で父上は多分忙しいからある程度は検証してから報告した方が良いだろうという結論だ。
容器に入っている紫色の木の実の数は少ないしさっさと検証してしまうことになった。
一粒ずつ観察をして、他より少し大きいとか、形がいびつとか特徴があればメモする。意識して「毒鑑定」で頻繁に状態を確認して、変化があったらすぐ報告する。
果実炭酸光水、普通の光水、炭酸水、魔石水に木の実を丸ごと漬けるパターンとナイフで半分に割った実をつけてみる。実験の結果をみて残りの木の実をどうするか決める。
「呪いの毒」が発生した時の為にいつでも光水がかけられるように準備もしておく。
パターン分けをして実験するには木の実の数が少ないけど仕方ない。
先に半分に割った実は、果実炭酸光水に漬けても黒く変色もしなかったし「呪いの毒」にもならずに解毒されてしまった。最初にやったのと同じように木の実を割らずに果実炭酸光水に付けたら、黒く変色した。光水に漬けたものは黒くはならなかった。皮が硬くて分厚いから浸透するのに時間がかかるみたいで、漬けてすぐに取り出したものは中を割ると「微毒」の反応があったけど、長めの時間付けたものは解毒されていた。
炭酸水を試したのは、果実炭酸光水が毒に反応して光った理由が炭酸水を作った時の魔力が残留している為だということだったから、紫色の木の実も同じように炭酸水の魔力が作用した可能性があると思ったからだ。予想通り、炭酸水に漬けた木の実が黒く変色した。
魔石水も色々と試したところ、土の魔石水と水の魔石水の場合にも黒く変色することがわかった。
「丸のままの木の実が水属性か土属性の魔力に触れると呪いの毒に変化するようだね」
「じゃあ、食べてみて『甘い』って言った人は大丈夫だったってことかな」
薬師のおばあちゃんが実験の結果の見解を述べて、ルドおじさんが書類にまとめている。テキパキしている感じで格好いい!
「もともと『微毒』ではあるからね。何の影響もないとは言えないよ。後で具合が悪くなってもこの木の実のせいだと気がついていないってだけかもしれない」
「うへぁ」
「問題は……」
薬師のおばあちゃんが窓の外に視線を向けた。
「この木の実を丸のまま食べた場合だね」
「こんな固い実を丸のまま食べたりはしないんじゃ……。あっ……」
ルドおじさんが書類を書く手を止めて、顔を上げた。
「もしも魔獣が食べたら……!」
「!!」
ギョッとするのと同時に泉の向こう側にいた、身体の一部が黒く爛れた魔獣のことを思い出した。
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